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波は誰が起こしているのか考えてみよう

その波の中に足を浸した時、押し寄せてくる力と引く力、ものすごいエネルギーを感じた。


一緒に行ったもうすぐ4歳の息子は初めて本格的に水着を着て、ゴーグルをつけ張り切って海の中に入っていった。
これ欲しかったの!と青いゴーグルを身につけた彼はとても誇らしそうで、海に向かう道すがらから、目のところに装着しており、海への途轍もないやる気を感じた。

やはり身体全てを水に入れるのは怖いのか、立ったままなのだけど、私は止まっているのに、波の引く力に引っ張られるの少しづつ離れていlた。
それでも彼は初めての経験で、波が押し寄せる度に歓声をあげ、引く度に笑い声を上げた。
腰に届きそうという深さになった時、ついに波に囚われ、盛大に転び一瞬全身が水の中に沈んだ。

勿論、私も夫も近くで見守っていたので、そのまま波にさらわれて行くこともなく、腕を引っ張り上げ、頭が砂まみれになるというだけ済んだわけだけど。

息子はその件で、一気にテンションを下げ、お決まりのもう帰る…を発動した。
じゃあ、帰る?と聞いてみると、やっぱり帰らない!と、前言撤回し、水の入ったゴーグルを拭いてもらってまた海に挑んだ。


帰らないんだ、と私はそこで驚いた。
頭から水を被り、きっと海水を飲んでしまった彼は泣いて帰るだろうと思っていたからだ。

それでも楽しそうに海の波に向かう彼に成長と、海の抗えない魅力を感じた。
とはいえ、その後息子はしっかりと母と父の手を両手に握り締め離さなかった。


海に入ると、そうそうこれこれと、思う事がある。
遠目に大きい波がきた!と思っても、実際自分のとこに来る時には小さい波になっていたり、余裕でしょと油断していると、思った以上に大きい水飛沫をあげて私の足にぶつかってきたりする。

そして引いていく力が思っている以上に強い。
波がぶつかってくる衝撃は踏ん張って耐えれるけれど、引いていく力にはよろけてしまう。小さい子供は持って行かれてしまう。


そんな波を、来るんじゃない!あれは大きいんじゃない!お母さん、手握ってて!とひとしきりはしゃいでいた息子が、私に何か問いかけた。
波の音が大きくて、聞こえなくて、低いところにいる息子の声が聞こえなくて、何回か聞き返した。

「どうやって水やってるんだろうねえ?」


そうか、彼はこれを壮大な水遊びだと思っているんだ。
確かに行きの車でも、海に行くよと伝えていたけれど、水遊び楽しみだねえ、と言っていた。
家のお風呂は両親が水を入れるし、保育園では先生がホースで子供たちに水をかけて遊んでくれる。

彼は雷様はいると思っているし、七夕の日には流れ星がきて願いを叶えてくれると思っている。

誰かが見えないところで、ザブンザブンと波を起こしているところを想像すると面白い。


私はそう問いかけてきた彼に、波に負けないよう大きい声で、うーん、これは自然の力で、多分地球の引力がね、などと言った後で、やっぱり分からなくなって、ごめん、お母さんちゃんと調べて説明するわ、と謝った。

適当な事を言ってしまったと反省する私に対し、息子はもう波に興味をさらわれて波を蹴り飛ばしていた。


後で調べたところ、波の発生源について引力云々は私の思い違いだったらしく、真相は全く違ったので、きちんと彼には説明したい所存である。


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