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【作詞テク】ソロ曲とグループ曲の歌詞を書き分ける!

  2022年が始まりました。相変わらずの日々ですが、日常があることにも感謝しなくちゃね、と思ったりするこの頃です。さて、今日はいきなり本題です。皆さんは作詞をするとき、ソロシンガーの歌詞と、グループの歌詞を書き分けていますか?もちろん、書き分けなければいけないわけではないです。無意識で書き分けている方もいるでしょうが、書き分けられずに、漠然と歌詞を書いてしまっている人もいるのです。今日はソロシンガー曲とグループ曲の違いについて見ていきましょう!

 

ソロとグループ、どれだけ違う?

 別にいい歌なら、いい歌詞なら、なんだっていいじゃない!そもそも書き分ける必要なんてあるの?と思っている方もいらっしゃるでしょう。確かに、私も「いい歌詞ならそれでよし」派です。異存はありません。でもねえ・・・そんな毎回毎回120点の歌詞が書けるわきゃないんです。私は自分の合格点を80点としているのですが、調子が悪い時にも80点を取るために、この書き分けは必須です。

 職業作詞家が歌詞を書くときに、必ずその歌い手・アーティストの「らしさ」を考えますよね。元気いっぱいとか、かっこいいとか、楽しいとか、アーティストの「らしさ」ってたくさんあります。その中に「ソロ」であるか「グループ」であるかも入っていると思いませんか?例えば「Snow Man」と言われたら、メンバー全員の顔と名前は一致しないかもしれないけど、10人くらいの男性アイドルということは頭に浮かびますよね。「星野源」と言われたら、恋ダンス踊ってる星野さんを思い浮かべませんか?ソロ/グループであるかどうかは、確実にアーティストらしさという要素の重要な一部なんです。つまりアイデンティティーですよね。とても大切な要素です。

最大の相違点

 そのソロとグループの、決定的な相違点は「ボーカルの人数」です。いますごく当たり前なことを、偉そうに言っています。でもこれが作詞に大きく関わってくる最大の相違点なのです。1曲に対するボーカルの人数は、ものすごく大切なんですよ。ソロシンガーなら、歌詞の世界でも主人公は一人です。その視点が、一人称「私、僕」目線であれ、三人称「彼、彼女」目線であれ、つまり主人公であれ語り部であれ、歌い手だけが存在する世界です。一人が語りつくす、深い世界観を作り上げることができます。あくまでボーカルの人数なので、ソロアーティストでなくとも、ボーカルが一人しかないないバンドだったら同じと私はみなしています。

 一方、グループ。Exile系ユニットのように、ボーカルとパフォーマーが分かれていてもボーカルの人数は2人以上ですよね。ジャニーズさん、KPOPアイドル、48・坂道系などのほとんどの女性アイドルグループはメンバー人数=ボーカル人数です。こういう何人もボーカルが混在するグループで、一人の深い世界観の歌詞を歌ったら・・・なにか違和感を感じませんか?誰が言ってるの?誰のことを言ってるの?歌声が変わるごとに、視点をどこに持っていけばいいのか、リスナーは迷子になります。

 おそらく一般のリスナーは、私たち作家のように「これはソロシンガーの歌詞」とか「グループの歌詞」とか、考えたりしないでしょう。そんなことまったく意識しないと思います。ただ不思議なもので、視覚的にか聴覚的にか(その両方か)ボーカルが2人以上いることをしっかり意識してしまうのです。そうなると、「主人公が一人の歌詞」をグループが歌うと、説得力に欠け、違和感が生まれてしまう。だからグループのためには「主人公たち」が活躍する歌詞、が必要なんです。

作曲家が作詞をするメリット

 一時は海外作家の名前がズラリとクレジットに並んでいたジャニーズさんの楽曲ですが、最近はそれが少し減って、日本の作曲家さんが作詞もするというパターンが増えているように思います。もちろんこれは昔からあったのですが、作曲家が作詞をするメリットが効果的に表れているからだろうな…なんて個人的には思っています。私もカラオケなどで歌ってみて初めてわかったのですが、アイドル曲は、息継ぎがなくて一人で歌うのは難しい曲が多いんですよね。これは掛け合いのように、バトンを渡すように、次から次へとメンバーたちが歌い継いでいくことを想定してメロディーを作っているので、一人で歌うと大変なんです。作曲家さんがメロディーを作る段階で、このグループにはこういうメンバーがいて、ここはこのメンバーが歌って、と計画を立てて、設計図に沿った歌詞を乗せることができれば、最強ですよね。設計図通りに作ることができるアドバンテージがそこにはあります。

グループ曲の作詞における注意点

 とはいえ、作詞家。我々も頑張らないといけません。作詞という専門分野を死守するために、作詞家だってきちんと「グループ曲」であるということを意識して作詞をすれば良いのです。

①主人公ではなく、主人公たち
 ボーカルが2人以上なら、主語が常に「僕・私」ではなく「僕たち・私たち」であることが大切です。ただし私もグループ曲で、便宜上「僕・私」を使うことは多々あります。その一文がどうであれ、感覚として常に主人公ではなく、主人公たちと意識していれば大丈夫です。

②フレーズはできるだけ短く
 最近のグループは巨大化しています。歌い手が10人以上というグループもたくさんあります。そんななかで、作詞家のエゴを発動させるとマイナスです。ついつい作詞家は「いいアイデア」「伝えたいこと」があると、メッセージを優先させようとする癖があります。伝えたいことを伝えようとすると、フレーズが長くなってしまうことが多々あるんですよねえ。でもグループ曲のフレーズはできるだけ短く!1フレーズ=1歌い手で歌詞を完結させます。

③歌っているところを想像してみる
 よく言われるのが、アイドル曲はライブシーンを想像して歌詞を書こうということ。私はどうもライブシーンを想像して書くのが下手なので、いつもMusic Videoを想像して書きます。それでも十分効果はありますよ。


 もしグループ曲を書くのが苦手だなと思っている方がいたら、ぜひ一度実践してみてくださいね。


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