見出し画像

【エッセイ】#15 曖昧な情報を与えると自分も、相手も信頼を落とす

 一緒に仕事をする若い子が、質問をしてきた。
 私たちの「専門の仕事について広く深い質問」だ。

 私たちの専門は深く追求していくと、他業種が専門としていることをより深く理解していることが必要になる。つまり、専門家よりも専門家でなければいけなくなるのだ。

 それは、その学会での最先端の考えや技術をすでに理解していることと同じである。
 そんな領域に踏み込み、学ぼうとしている若い子を見ると私の頬は緩む。

「最近の若い者は……」なんて言葉があるが、それは一部の若者であろう。

 必死に学び、自らを高めていこうとする若者は多い。むしろ30代後半から50代の方が学ぶことを辞め、人生を諦めているきらいがある。

 こういった若者からの質問には、私は全力で応えることにしている。
 私が学んできた内容や知識が若い子の中に蓄積され、成長していっていただければこの上ない喜びだからだ。

 そのときに気を付けるようにしていることがある。
 私が教えるのは、「私が知っていること」に限定しているということ。
 決して少しでも理解していないこと、把握しないことに言及した場合は、「わからない」「勉強不足でそこまで至らない」と答えるようにしている。

 私が知ったかをして返答してしまった場合、彼はそれが正しく思い、どこかでその知識を披露してしまう可能性がある。
 もし私が間違ったことを伝えてしまっていた場合、彼は無意識に嘘をついてしまうことになる。

 せっかく私を頼ってくれたのに、正確な情報を伝えていないことによって、彼をワルモノにしてしまうのは、なんとも心地悪い。

 だからこそ人に何かを伝えるときや教えるときには、あいまいな情報を伝えないよう気を付けている。

 あなたは、どうだろうか?

いいなと思ったら応援しよう!