【俳句とエッセイ】この田んぼから。あの星へ。
ぼくの家からすこし行ったところにある田んぼ。
この田んぼの季節ごとのかんさつを
趣味にしている lylin です。
今年は夏のあつさが長引いたせいか
秋の実りも収穫もおくれぎみでしたが
11月の初旬には、ようやく刈り入れを終えました。
そして12月。
すっかり枯れた切り株が、まっすぐにならぶ田んぼ。
ようやく、いつもの冬と変わらない景色となりました。
田んぼが冬の姿になると、ふしぎとほっとします。
今年もやっと田んぼの一年が終わったなあ~
なんて、ちっとも働いていないくせに思うのです。
冬の田んぼは、一見吹きっさらしのがんどうです。
でも、藁で作った大きな藁塚が真ん中あり、
その近くには、あまった藁束がちらばっています。
働いていたひとの気配がのこっているのに
でも、今はだれもいない場処。
ここにただようものを、さみしさと言えば良いのでしょうか。
つぎの始まりを待っている、予感とも言えるかもしれません。
春になったら苗をそだて、
夏になったら田植えをして。
永遠につづくものは何もないと知っていて、
それでもこのサイクルをたいせつに感じるのです。
夜。
うす闇に広がる田んぼは、さむざむとしています。
でも乾いた土は、つかれた人が眠りの前にみせる、
休息の表情にも似ています。
そして頭上には、上りはじめた星が。
地上の田んぼよりは永くあるけれど、いつかはなくなる光。
それを見上げていると、田んぼの一年を見送るような、
なんとも言えないきもちになるのでした。