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おさんぽ俳句「はるとねこ」

  
     孕み猫花ぬれてふる神楽殿      梨鱗


大きな街道から一本、道を逸れてみる。
壮麗な、けれども
やねの片はしの大きくこぼれた神社。

人から忘れられたように
咲いていられる桜も、あるんだ。
あいにくの天気は
満開にうってつけだったりするし。

境内には神楽殿もあって
往時はさぞかし
にぎやいだことだろうけど。

祀られることを忘れた神は
それでもまだ、
ここら辺りにさまよっているのだろうか。

よく肥えた猫が、ぶるんと腰を上げ
社殿の裏手へと消える。
じぶんの縄張りの誇らしい春を
ちょっとのあいだ
人にも見せてやるために。

  
      子猫鳴く神のゆびかと木もれ日は 






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