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プール

月に一度のペースで、9歳娘7歳息子と市営プールに通っている。始まりは、昨年の晩秋。

昨年の夏は足繁く近所の海に通い、結果7回入った。海は身近にあり、海水浴の季節でなくても、波打ち際で石投げをしたり、貝を拾ったりする。
一昨年10月の暑い日、海辺で遊ぶうち、ザボンと海水に入った二人、気持ちよさを味わった様子。
次の夏は、泳ぎに行こうと約束し、迎えた昨年夏。浅瀬に大の字で浮かび魚を探す娘と、笑顔で砂浜をあっちへこっちへと駆け回る息子の姿が印象に残る。

そして秋がきた。海で水遊びにたっぷり親しんだ二人。海の代わりに、年中利用可能な市営の屋内プールに足を運んでみることにした。
初めての屋内プールは思った以上に楽しかったようで、スイミング教室に通いたいと言い出したほど。
実際、近所にある子どものスイミングの体験に行くことになった。しかし、水の中にいる間ずっと声かけや指導が続くことに、息子は馴染まなかった。娘にしても、毎週同じ時間に通うとなると、ハードルが上がる。

そんなこんなで月一度くらいのペースで親子三人、屋内プールに通うようになった。習い事とは違って、体調や気分をみながら、時間帯も滞在時間も決めることができるし、費用も抑えることができる。

ここで打ち明けるが、私は泳ぎが得意ではない。もっとはっり言うと、顔を水に浸けるのが怖い。息つぎが上手くできないのだ。
先ほどの海での思い出。私はどこに居たかというと、主に波打ち際から1m程離れたところ。そこら辺が、海での私の居場所だ。海に入ることもあるが、たいていは波打ち際で足をつける程度だ。
浮き輪をしていても足が着かない深さのところには行かず、子ども達とも、ごく浅瀬で遊ぶようにしている。

話を屋内プールに戻そうと思う。
昨年の晩秋に通い始めた屋内プール。施設には子供用の浅いプールと自由に使える深めのプール、歩行専用の流れるプール、レーンが区切られた25mプール、の4種類に加えて、直径3m程のジャグジーがある。この小さな丸いジャグジーは他のプールに比べて水温が高く、ぬるめのお風呂くらいの温度がある。

過ごすにあたり、始めにつまづいたのが寒さだ。ジャグジーに入ったあと、プールに戻ると、ものすごく水が冷たいと感じる。はしゃぐ子供の傍ら、体は冷え、体温と共に気分も下がってくる。

その状況を三度ほど繰り返したある日、「つめたー!」と言いつつも、いつの間にか笑顔になる子ども達を見ていて思った。
体をストレッチし続けてはどうだろう?
子ども達がなぜ冷えきらないかというと、きっと体をたくさん動かしているからだ。それなら私も体を動かしてみよう。
歩行専用のプールで子ども達と歩く時はもちろん、子供のプールで遊ぶ間も絶え間なく、手首足首を回したり、腕を伸ばしたり、を繰り返してみた。そうすると、以前は寒くて仕方がなかったジャグジー後のプールが辛くなくなった。

そして想定していなかった変化が起こる。
その時を境に、プールへの仄かな楽しみが自分の中に芽生えたのである。

今ところ一番気にいっているのは、水中ウォーキングだ。歩行専用の流れるプールに入ると、子ども達は大抵「おかあさん、オニね~」と逃げていき、私が追いかける。追いかける時に、大股で腕も大きく振って歩く。
水中ウォーキングは、浮力で足腰の間接に負担がかかりにくく、尚且つ水圧で程よく筋肉に負荷がかかる。私の場合、水中で大股で歩くと、特に骨盤まわりの可動域が広がり心地よい。

最近では、水に顔をつけてみようかなという気持ちが出てきて、自分のゴーグルも用意するようになった。子どもと一緒にバタ足もやってみた。8月はじめに行ったプールでは、蹴伸びと息つぎを試みた。
気持ちよく泳いでいる人を参考に、横向きに顔を上げてみる。鼻と耳に水が入る。何回かやってみたが、毎回鼻から水が入る。鼻の奥が痛い。娘もも息つぎ練習中で、鼻をフンフン、険しい顔をしている。しばらく泳ぐ人を見ていたが、鼻の奥が痛くて…という様子は見受けられない。もしかして鼻に入るのは当然なことで慣れてくるものなのか?と頭を捻った。それとも、鼻に水が入らない技があるのだろうか。

家に帰り、夫にきいてみると、鼻から毎回水が入るわけではないと言う。鼻に水が入るのは、鼻から僅かに息を吸っているからではないかとの意見。そんなわけがない、と思うが、息が出来ない怖さから、力が入り…なんらかの原因で鼻に水が入っているのだろう。水の中ではなくても、息つぎを想像するだけで、今、水の中にいるように、みぞおち辺りに力が入るのだ。

先日、図書館の子供のスポーツコーナーで、水口高志監修『クロール完全攻略本』を借りた。泳げない人がクロールで25m泳げるようになることを目指す内容である。

一番気になったのが、息つぎについて。『まずは鼻から「フ~ン」と息を吐き、そのあと一瞬口からも「パッ」と吐きます。そして口から息を吐くと同時に「ハァッ」と息をすいます。』と書かれている。

自宅で娘と練習してみる。やってみると、「フ~ン」と「パッ」の後の、「ハァッ」がスムーズにいかない。パッの後にどうしても、妙な間があく。
それともうひとつ、気がついたことがある。「ハァッ」の時、口から息を吸うが、鼻からも入っている。何度やっても鼻の中に微かに空気が入る。
本には、「どうしても鼻から息を吸ってしまうという人がいますが、そういう人は鼻をつまみながら、口呼吸を練習してみてください。」とある。

娘を見ると、娘も「フ~ン」と「パッ」の後がぎこちない。練習をすると慣れてくるだろうか。
気持ちよく息つぎができる日を夢見て、しばらく続けてみようと思う。

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