スピッツ歌詞考察(第88回)ハチの針
【基本情報】
ハチの針
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
4分10秒
<リリース日>
2016年7月27日(15thオリジナルアルバム「醒めない」)
<収録アルバム>
醒めない(2016年7月27日リリース 15thオリジナルアルバム)
【MUSIC VIDEO】
【歌詞】
歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。
【考察】
タイトルから「ハチの一刺し」という言葉を連想しました。
自分の命をかけてでも相手に対して致命傷となる一撃を与えることで、ミツバチは一度刺したら命を失ってしまうことから由来しています。
歌詞の内容を簡潔にまとめると、
「困難な状況に陥っても、一撃必殺の特技と“僕ら”の絆があれば乗り越えられるので、命がけで思う存分やっちまえ!」
といった感じなので、まさに「ハチの一刺し」のことではないでしょうか。
歌詞のテーマは「死」と「生」で、反撃の時を待ってしっかりと準備しておこうという点と、いろんなシチュエーションを想像できるところが、なんとなく「美しい鰭」と通ずるものがあるような気がします。
では、実際に3つのシチュエーションで考察していきましょう。
【考察①「RPG」】
耳塞ぐ手を離して聞いた 魔女の予言
怖がるほどの地獄ではなく
恐る恐る魔女の予言を聞いたが、地獄を見るほど怖がるようなことではなかった。
分かれ道 松明もってより暗い方へ
子供の顔で鈴の音を待つ
分かれ道があり、松明を持って洞窟の奥深くへと進む。
無垢な表情で冒険をする。
どうしたらいい?これでもいい?ハニー どでかいヤツの足下
僕のこと捕まえたいとか なぜ?
そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ
強敵を目の前にして、横でゲームを見ている彼女に
「どうしたらいい? これでもいい?」と尋ねる。
「“僕”のことを捕まえようとする気か? そんなことはバレバレなんだよ!」とキザに決めて、狂った状況を楽しもう。
一撃必殺の技を隠し持って、調子に乗っていけ。
賢そうな物腰で 話しかける亡霊
バカにもわかるように導かれる
でもすでに気づいちゃったんだ 甘い声の向こうで
ウラハラな汚れてる LOL
利口そうな物腰で亡霊が話しかけてきた。
バカなフリしてわざと着いて行く。
でももう気づいちゃった。
甘い誘惑の声の裏に隠されているバカにした笑い声に。
凄いよ 泳げるの?ハニー 滅びてなかったゲンゴロウ
バラバラがまとまる 反抗の風
虹よりさらに鮮やかに くすんだ空を彩る
光の玉打ち上げ ワザと見つかれ
「凄いよ、こんなところに泳ぐゲンゴロウがいる。まだこんな自然が残ってたんだ!」
気持ちが一つにまとまり、反撃のムードが高まった。
虹よりさらに鮮やかに、くすんだ空を彩る呪文を唱えて、目立つ存在になってやれ。
シラフで恥を投げ捨て宣言しましょう!
そんで最低限君に届けばいいなと
だから邪魔をしたいんだったら勝手にやっとけ
しかし僕らにゃ通じないよその類のマインドゲーム
消せない胸のピースマークと夕陽の色
忘れないだろうキラめいた汗と希望
シラフのままで恥を投げ捨てて、勇者になりきろう!
この気持ちは、最低限“君”だけに伝わればいい。
だから批判したいヤツは勝手に言っとけ。
その類の挑発には乗らないよ。
“僕ら”にはともに汗をかき、同じ夢や希望を見てきた絆がある。
あの日見た夕陽の色は、決して忘れないだろう。
どうしたらいい?これでもいい?ハニー どでかいヤツの足下
僕のこと捕まえたいとか なぜ?
そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ
強敵を目の前にして、横でゲームを見ている彼女に
「どうしたらいい? これでもいい?」と尋ねる。
「“僕”のことを捕まえようとする気か? そんなことはバレバレなんだよ!」とキザに決めて、狂った状況を楽しもう。
一撃必殺の技を隠し持って、調子に乗っていけ。
「魔女」「松明」「亡霊」といったワードが、RPGの世界感を彷彿させます。
「どでかいヤツの足下」もゴーレムのような巨大なモンスターが目の前に現れたシーンを想像できますし、「ハチの針」も「ドラゴンクエストⅢ」に登場する武器で、敵を即死させることができる「どくばり」を連想させます。
主人公の“僕”はいわゆる中二病で、ゲームの世界にのめりこんでいるというシチュエーションです。
【考察②「結婚の挨拶」】
耳塞ぐ手を離して聞いた 魔女の予言
怖がるほどの地獄ではなく
占い師に恐る恐る結婚の運勢を占ってもらったが、地獄のような結果ではなかった。
分かれ道 松明もってより暗い方へ
子供の顔で鈴の音を待つ
先が見えない人生の分岐点。
緊張の面持ちでチャイムを鳴らし、呼ばれるのを待つ。
どうしたらいい?これでもいい?ハニー どでかいヤツの足下
僕のこと捕まえたいとか なぜ?
彼女のお父さんと対面し、
「ねぇ、どうしたらいい? これでもいい?」と彼女に確認する。
「めちゃくちゃ緊張するけど、“僕”のことを追い詰めたいの?」
そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ
緊張していることはもうバレバレ。
ならばいっそのこと、おかしいと思われてもいいからカッコつけつつ自分らしくしよう。
決めゼリフだけ用意して、思いきっていけ。
賢そうな物腰で 話しかける亡霊
バカにもわかるように導かれる
でもすでに気づいちゃったんだ 甘い声の向こうで
ウラハラな汚れてる LOL
上品な物腰で話しかけてくるご両親。
バカな“僕”にでもわかるように、会話のレベルを合わせてくれていることはすでに気づいている。
優しい声とは裏腹に、心の中ではバカにして笑われてるんだろうな。
凄いよ 泳げるの?ハニー 滅びてなかったゲンゴロウ
バラバラがまとまる 反抗の風
虹よりさらに鮮やかに くすんだ空を彩る
光の玉打ち上げ ワザと見つかれ
「凄い!ゲンゴロウって泳げるの? まだ滅びてなかったの?」
そんな他愛もない会話で少し緊張がほぐれたところで、気持ちが一つにまとまった。
今がチャンスだ。
重苦しい空気を打ち破る一言で、わざと目立ってやろう。
シラフで恥を投げ捨て宣言しましょう!
そんで最低限君に届けばいいなと
だから邪魔をしたいんだったら勝手にやっとけ
しかし僕らにゃ通じないよその類のマインドゲーム
消せない胸のピースマークと夕陽の色
忘れないだろうキラめいた汗と希望
シラフのままで恥を投げ捨てて結婚を宣言しましょう!
最低限“君”に気持ちが伝われば良いや。
だから邪魔をしたい奴は勝手にやっといてくれ。
“僕ら”にはそんな揺さぶりは通用しないよ。
心に秘めた思いと、あの日見た夕陽の色の記憶は決して消えない。
煌めいた汗と希望は忘れちゃいない。
どうしたらいい?これでもいい?ハニー どでかいヤツの足下
僕のこと捕まえたいとか なぜ?
そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ
彼女のお父さんと対面し、
「ねぇ、どうしたらいい? これでもいい?」と彼女に確認する。
「めちゃくちゃ緊張するけど、“僕”のことを追い詰めたいの?」
緊張していることはもうバレバレ。
ならばいっそのこと、おかしいと思われてもいいからカッコつけつつ自分らしくしよう。
決めゼリフだけ用意して、思いきっていけ。
緊張して彼女に「どうしたらいい?」と相談していたり、「どでかいヤツの足下」というワードから、自分の力だけではどうしようもできそうにない相手を目の前にしているシーンをイメージした時に浮かんだシチュエーションです。
【考察③「バンドマン」】
耳塞ぐ手を離して聞いた 魔女の予言
怖がるほどの地獄ではなく
マネージャーに怒られると思ってたけど、恐る恐る話を聞いてみたら、売れるためのアドバイスと大きな舞台の仕事をいただいた。
分かれ道 松明もってより暗い方へ
子供の顔で鈴の音を待つ
運命の分かれ道。
この先どうなるかわからないので、松明を持って暗い洞窟を進んでいるような気分。
なにも知らない子供のような顔で出番を待つ。
どうしたらいい?これでもいい?ハニー どでかいヤツの足下
僕のこと捕まえたいとか なぜ?
「どうしたらいい? こうしてもいい? こんな大きな舞台に何故? “僕”のことをスカウトする気かな?」と彼女に問いかける。
そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ
緊張していることはもうバレバレ。
ならばいっそのことカッコつけて、この狂った状況を楽しんでいこう。
一番自信のある曲を最後に用意して、思いっきりハジけろ。
賢そうな物腰で 話しかける亡霊
バカにもわかるように導かれる
でもすでに気づいちゃったんだ 甘い声の向こうで
ウラハラな汚れてる LOL
賢そうな物腰で話しかけてくるスタッフに導かれて、素直について行く。
でも途中で気づいちゃった。
心の中で「どうせ売れるわけないよ」と大笑いされていることに。
凄いよ 泳げるの?ハニー 滅びてなかったゲンゴロウ
バラバラがまとまる 反抗の風
虹よりさらに鮮やかに くすんだ空を彩る
光の玉打ち上げ ワザと見つかれ
彼女と他愛もない会話をしてリラックスした。
気持ちが一つにまとまり、準備が整った。
イマイチ盛り上げりに欠けるステージで、空気を一変するようなことをしてやろう。
シラフで恥を投げ捨て宣言しましょう!
そんで最低限君に届けばいいなと
だから邪魔をしたいんだったら勝手にやっとけ
しかし僕らにゃ通じないよその類のマインドゲーム
消せない胸のピースマークと夕陽の色
忘れないだろうキラめいた汗と希望
シラフのままで恥を投げ捨ててやってやろう!
最低限、誰かに伝われば良いや。
だからアンチしたい奴は勝手にやっといてくれ。
“僕ら”にはそんな揺さぶりは通用しないよ。
心に秘めた思いと、あの日見た夕陽の色は決して忘れない。
煌めいた汗と希望が詰まっている。
どうしたらいい?これでもいい?ハニー どでかいヤツの足下
僕のこと捕まえたいとか なぜ?
そんなのもうバレバレ キザに 狂った今を生きていこう
ハチの針だけ隠し持って イキがれ
「ねぇねぇ、どうしたらいい? こうしてもいい? こんな大きな舞台に何故? “僕”のことをスカウトする気かな?」と彼女に話しかける。
緊張していることはもうバレバレ。
ならばいっそのことカッコつけて、この狂った状況を楽しんでいこう。
一番自信のある曲を最後に用意して、思いっきりハジけろ。
「ハチの針」が「必殺の一撃」を意味しているとして、自分の一番得意なもので勝負しようとしているシーンをイメージした時に浮かんだシチュエーションです。
スピッツも若い頃は(もしかしたら今も?)こんな心境で舞台に立っていたのかなと思ったりしました。
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