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スピッツ歌詞考察(第91回)コスモス
【基本情報】
コスモス
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ
4分21秒
<リリース日>
1992年11月26日(5thシングル「日なたの窓に憧れて」カップリング)
<収録アルバム>
花鳥風月(1999年3月25日リリース、スペシャルアルバム)
花鳥風月+(2021年9月15日リリース、スペシャルアルバム)
【MUSIC VIDEO】
【歌詞】
歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。
【考察】
鮮やかなさよなら 永遠のさよなら
追い求めたモチーフはどこ
幻にも会えず それでも探していた今日までの砂漠
鮮やかなくらい急に訪れた永遠の別れ。
追い求めていたしあわせのかたちは、どこへ行ってしまったのだろう。
“君”の幻にも会えず、心は干からび、途方に暮れる。
それでも今日まで探し続けていた。
約束の海まで ボロボロのスポーツカー
ひとりで行くクロールの午後
君の冷たい手を暖めたあの日から手に入れた浮力
一緒に行こうと約束していた海まで、オンボロのスポーツカーを運転して一人で向かう午後。
冷たくなった“君”の手を握りしめたあの日から徐々に立ち直り、手に入れた力で向かう。
ささやく光 浴びて立つ 君を見た秋の日
さびしげな真昼の月と西風に
揺れて咲くコスモス 二度と帰れない
“君”がまだ生きていた秋の日を思い浮かべ、弱い太陽の光を浴びて立つ。
あの時も真昼の月が出ていて、西風に揺れながら咲くコスモスの花があった。
もう二度とあの時には帰れない。
鮮やかなさよなら 永遠のさよなら
追い求めたモチーフはどこ
幻にも会えず それでも探していた今日までの砂漠
鮮やかなくらい急に訪れた永遠の別れ。
追い求めていたしあわせのかたちは、どこへ行ってしまったのだろう。
“君”の幻にも会えず、心は干からび、途方に暮れる。
それでも今日まで探し続けていた。
あの日のままの秋の空 君が生きてたなら
かすかな真昼の月と西風に
揺れて咲くコスモス 二度と帰れない
あの日のまま“君”がまだ生きてたなら、秋の空にかすかに出ている真昼の月と、西風に揺れながら咲くコスモスの花を一緒に見ることができたのに。
もう二度とあの時には帰れない。
鮮やかなさよなら 永遠のさよなら
追い求めたモチーフはどこ
幻にも会えず それでも探していた今日までの砂漠
鮮やかなくらい急に訪れた永遠の別れ。
追い求めていたしあわせのかたちは、どこへ行ってしまったのだろう。
“君”の幻にも会えず、心は干からび、途方に暮れる。
それでも今日まで探し続けていた。
登場人物は主人公と“君”で、季節は秋です。
真昼の月が出ていて、西風に揺れるスモスが咲いています。
コスモスはキク科の、秋に咲く代表的な花で、色は白・ピンク・赤・黄などがあり、花言葉は以下のとおりです。
<コスモスの花言葉>
全体 :「乙女の真心」「調和」「謙虚」
白 :「優美」「純潔」「美麗」
ピンク :「純潔」「乙女の純情」
赤 :「愛情」
黄、オレンジ:「野性的な美しさ」「自然美」
茶、黒 :「恋の想い出」「移り変わらぬ気持ち」
主人公は、去年の秋に“君”と一緒に見たものと同じ光景を見ながら、この一年を振り返っています。
“君”は急逝してしまい、すでにこの世にはいません。
“君”がまだ生きてたなら、またこの景色を一緒に見ることができたのに…
あまりにも唐突すぎた永遠のさよなら。
主人公は“君”とともに歩む未来をイメージしていました。
結婚し、子供を作り、どんな家庭を築くのか。
そんな追い求めていたイメージも、今となっては見つけることができません。
“君”が亡くなったあの日から主人公の心は砂漠のように渇ききっていて、幻でもいいから“君”に会いたいと願いますが、それも叶いません。
コスモスの花言葉が「乙女の真心」なので、きっと“君”は乙女の心を持ったまま、つまり若くして亡くなったのでしょう。
そして主人公は“君”に対する「愛情」を持ち続けています。
救いようがないくらい悲しくて、ハッピーな要素がひとつもない「死」がテーマの曲でした。
ちなみにこの曲は、今まで一度もライブで演奏されたことがありません。
その理由のひとつとして、草野氏が手書きした歌詞の「モチーフ」の部分をエンジニアの人に「モチ一つ」と読み間違われ、
「追い求めた餅ひとつってなに?」
と言われたことがツボに入ってしまい、レコーディングがしばらく中断したとのことで、ライブでも笑わずに歌う自信がないからだそうです。
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