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スピッツ歌詞考察(第106回)ブランケット
【基本情報】
ブランケット
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ
3分49秒
<リリース日>
2019年10月9日(16thオリジナルアルバム「見っけ」)
<収録アルバム>
見っけ(2019年10月9日リリース 16thオリジナルアルバム)
※初回限定盤、アナログ盤、デラックスエディション Spitzbergen会員限定盤のみ収録
<備考>
平井堅に提供した楽曲のセルフカバー。
【MUSIC VIDEO】
【歌詞】
歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。
【考察】
わかってんだ
みんなが言うような 幸せ
そんなもんは
手に入る時 しぼんでく
普通の幸せを求めたほうがいいということはわかってる。
でもそんなもんは、手に入れた瞬間にしぼんでいってしまう。
「みんなが言うような幸せ」とは、恋人ができて、結婚して、幸せな家庭を築くといった、みんなが想像するようなごくごく一般的な「幸せ」のことでしょう。
しかし主人公の“僕”は、そんなものは手に入れた瞬間に満足してしまい、徐々に忘れていってしまう「幸せ」だと言っています。
人間は 飛べるもんだとか 思ってた
ゆらゆらと 君の街まで 行けるはず
人間は「自由に空も飛べるはず」と思ってた。
ゆらゆらと“君”の街まで飛んで行けるはずだと…
「思ってた」と過去形なので、今はそうではないと感じています。
つまり、「人間は空を飛ぶように自由でいて良いはず」だから「“君”のいるところにも自由に行けるはず」と思っていたけど、実際にはそうもいかない事情があるということです。
わがままな望み 今カタチを持って
それだけのために 生きていこう
気づかれなくても
こごえそうな君を
優しく包める ブランケットに
“僕”のわがままな望みは、今はっきりとカタチになった。
これからは、その望みを叶えるためだけに生きていこう。
本心に気づいてくれなくてもいいから、寂しくてこごえそうな“君”を優しく包むブランケットになりたい。
登場人物を整理すると、実際に登場するのは“僕”と“君”ですが、どうやら裏側に“君”のことを傷つける存在がいるようです。
考えられるシチュエーションとして一例を挙げると、“君”は既婚者で夫がいますが、愛されていなかったり裏切られたり(浮気やDVやモラハラ等)しています。
“僕”は“君”に対して好意を持っていましたが、夫がいるため、今までは仲の良い友達であったり、素敵な女性だと想うだけにとどめていました。
しかし、深く傷つき、寂しさからこごえそうになっている“君”を見て、もうその枠だけに抑えることができなくなってきました。
つまり、“君”のことを奪って、“僕”が“君”のことを守る存在になりたいという、本来なら許されない「わがままな望み」を強く抱くようになったのです。
戦いで 汚れてしまった
レンズ越しに
キラキラって 無垢な光が
見えたから
夫と冷戦状態で疲れきっていて、表情も暗いけど、一緒に写真を撮った一瞬だけ“君”のキラキラとした無垢な表情が見られた。
色のある明日 もしも来るのなら
定めを外れて 落ちていこう
傷だらけの時 君のそばにあって
悲しみをいやす ブランケットに
もしも可能性がある未来がやってくるのなら、運命を越えて堕ちていこう。
“君”が傷だらけの時にそばにいて、悲しみをいやすブランケットのような存在になりたい。
迷いながら ここまで来たよ
名前の無い アメーバのままで
ありがとう 心がまとまり
ついに僕は 姿を変える
地を這う名も無きアメーバのように、今までどうするべきか迷いながら生きてきた。
でもありがとう。
やっと心がまとまって、ついに“僕”は“君”のブランケットになることを決意する。
わがままな望み 今カタチを持って
それだけのために 生きていこう
気づかれなくても
こごえそうな君を
優しく包める ブランケットに
“僕”のわがままな望みは、今はっきりとカタチになった。
これからは、その望みを叶えるためだけに生きていこう。
本心に気づいてくれなくてもいいから、寂しくてこごえそうな“君”を優しく包むブランケットになりたい。
“僕”にとっての「幸せ」は、“君”を優しく包んで守ることであり、それは“君”がいる限りしぼんでいくことのない「幸せ」だということなのでしょう。
ショッカーに入って「怪人ブランケット男」に変身することを決意した「生」がテーマの曲でした。
なんでやねん!
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