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スピッツ歌詞考察(第2回)チェリー


【基本情報】

チェリー
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:笹路正徳&スピッツ
4分20秒

<リリース日>
1996年4月5日(13thシングル)

<収録アルバム>
インディゴ地平線(1996年10月23日リリース 7thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(2006年3月25日リリース)
CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-(2017年7月5日リリース)
など

<備考>
オリコン週間チャート最高1位、売上161.3万枚。
2023年2月6日に、ミュージックビデオ再生回数が1億回を突破。
2023年7月26日に、ストリーミング累計1億回再生を突破したと報じられた。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

第1回でも紹介しましたが、スピッツの曲のテーマは「性(セックス)」と「死(デス)」です。
爽やかな曲調で、タイトルも春を連想させるようなものになっていますが、実は「桜」でも「サクランボ」でもなく、「童貞(チェリーボーイ)」の「チェリー」です。
にわかに信じがたいかもしれませんが、このことは草野氏もミュージックステーション等で公言しています。
では「チェリー」が本当に「チェリーボーイ」のことで、「性」をテーマにした曲なのかを考察していきます。

君を忘れない 曲がりくねった道を行く
初体験の相手は絶対に忘れません。
「曲がりくねった道」は、物理的な場所のことではなく、人生の紆余曲折のことをさしているのでしょう。

産まれたての太陽と 夢を渡る黄色い砂
「産まれたて」は、童貞であることをさしています。
「夢を渡る」から、ワクワクしている様子が伺えます。

二度と戻れない くすぐり合って転げた日
きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる
「二度と戻れない」は、すなわち「童貞を捨てる」ため。
今までで一番女性と接近した経験は、くすぐり合ったことぐらいでしたが、もうワンステップ上には想像した以上にドキドキすることが待ち受けていると考えています。

「愛してる」の響きだけで 強くなれる気がしたよ
ささやかな喜びを つぶれるほど抱きしめて
主人公の初体験の相手はおそらく風俗嬢です。
「愛してる」の“言葉”ではなく、「愛してる」の“響き”と表現しているところから、本当の愛を知ったわけではないということが伺えます。
だから「強くなれた」のではなく、「強くなれる“気がした”」にとどまっているのです。

こぼれそうな思い 汚れた手で書き上げた
あの手紙はすぐにでも捨てて欲しいと言ったのに
事が終わって…
あふれる気持ち書き上げた手紙を風俗嬢に渡しましたが、やっぱり気恥ずかしくなり、読まずに捨ててと伝えました。
(「捨てて欲しいと言ったのに」なので、実際は読まれてしまったのですが) 

少しだけ眠い 冷たい水でこじあけて
今 せかされるように 飛ばされるように 通り過ぎてく
前日は興奮して眠れなかったからでしょうか。
それとも、初体験で頑張りすぎたからでしょうか。
少し眠くなり、冷たいシャワーで眠気をさまします。
制限時間になり、せかされるように店を飛び出します。

「愛してる」の響きだけで 強くなれる気がしたよ
いつかまたこの場所で 君とめぐり会いたい
相手のことが気に入ったのでしょうか。
いつかまたこのお店で、君を指名したいと思いました。

どんなに歩いても たどりつけない 心の雪でぬれた頬
どんなに頑張っても彼女ができず、冷え切ってしまった心から流れ出る涙もありました。

悪魔のふりして 切り裂いた歌を 春の風に舞う花びらに変えて Uh…
イキがってチェリーボーイじゃないふりをしてきたけど、春の風に舞う花びらのように変身することができました。

君を忘れない 曲がりくねった道を行く
きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる

「愛してる」の響きだけで 強くなれる気がしたよ
ささやかな喜びを つぶれるほど抱きしめて
他人から見たらささやかなことかもしれませんが、思いっきりガッツポーズが出て、喜びをかみしめています。

ズルしても真面目にも生きてゆける気がしたよ
風俗で童貞を捨てたとするのはズルいかもしれませんが、堂々と自信を持って生きていける気がしました。

いつかまた この場所で 君とめぐり会いたい
いつかまたこのお店で、君を指名したいと思いました。

さて、今回の私の歌詞考察はいかがだったでしょうか。
草野氏は各々聞き手が歌詞を解釈すれば良いと仰られており、もちろんこれもたくさんある解釈のうちの一つにすぎません。

しかしこのように解釈すると、童貞を捨てた男の物語になり、テーマの一つである「性(セックス)」に一致します。 
「なるほど!」と思っていただけたでしょうか。
それとも、「そんなわけあるかい!」と思われたでしょうか。
よろしければ、皆さんの意見もお聞かせください。

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