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スピッツ歌詞考察(第81回)今
【基本情報】
【基本情報】
今
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&石田小吉
1分56秒
<リリース日>
2000年7月26日(9thオリジナルアルバム「ハヤブサ」「8823」)
<収録アルバム>
ハヤブサ(2000年7月26日リリース 9thオリジナルアルバム)
8823(2000年7月26日リリース 9thオリジナルアルバムのアナログ盤)
【MUSIC VIDEO】
【歌詞】
歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。
【考察】
ありがとう なぜか夏の花
渚の気まぐれな風を受け
噛み痕 どこに残したい?
付き合ってくれてありがとう。
今年の夏、なぜか“君”が恋人になった。
どんな思い出を残したい?
「花」は“君”のことで、「気まぐれな風」は「風向きの予想がつかない渚の風」と「まさかの出来事」がかかっていると思われます。
つまり、「どういう風の吹き回しかわからないけど“君”が恋人になってくれた」「神風が吹いて恋人ができた」ということではないでしょうか。
「噛み痕」は、性的なイメージで考察すると「じゃれ合って甘噛みをしてできる痕」や「キスマーク」のことになりますが、ここでは心に刻むものとして「どんな思い出を作ろうか」ということだと考察します。
つまり、「消えないように傷つけてあげるよ」(猫になりたい)の「傷」とほぼ同じ意味ではないでしょうか。
ただ、“君”に問いかけているのか、自分自身に問いかけているのかはわかりません。
君と歩く浅瀬
笑って 軽くなでるように
待ちこがれた「今」
“君”といっしょに浅瀬を歩く。
笑って、この時を大切に感じながら。
ずっと待ちこがれていた瞬間が「今」訪れた。
ここでの「浅瀬」は、実際に“君”と二人で浅瀬にいるということと、“君”とはまだ話をして笑い合ったり軽く触れてスキンシップを図るくらいの仲で、深いところまでいっていないという意味がかかっていると思われます。
ああ 君と歩く浅瀬
笑って 軽くなでるように
“君”といっしょに浅瀬を歩く。
笑って、この時を大切に感じながら。
いつかは 傷も夢も忘れて
だけど息をしてる それを感じてるよ今
いつかは、この思い出も夢のような気分も忘れてしまうだろう。
だけど「今」、生きていることを実感している。
草野氏は少年時代、趣味で切手を集めていましたが、今死んでしまうとこの集めた切手も無意味になってしまうことを悟り、これが死生観について考えるきっかけになったそうです。
この曲でも「いつかは 傷も夢も忘れて」とありますが、せっかく待ちこがれた「今」がきたにもかかわらず、いつかやってくるであろう別れや、思い出を忘れていく時のことを考えています。
ここに草野氏の「死生観」が表れていて、どことなく切なさや儚さを感じさせられるような気がします。
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