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スピッツ歌詞考察(第93回)エトランゼ


【基本情報】

エトランゼ
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&棚谷祐一
1分29秒

<リリース日>
1998年3月25日(8thオリジナルアルバム「フェイクファー」)

<収録アルバム>
フェイクファー(1998年3月25日リリース 8thオリジナルアルバム)

<備考>
20thシングル「流れ星」のカップリングとして収録されている「エトランゼ(TANAYAMIX)」は8分以上におよぶ曲となっている。
そのため、スピッツの楽曲で最も短い曲であり、かつ、最も長い曲でもある。

【MUSIC VIDEO】

【歌詞】

歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。

【考察】

「エトランゼ」とは、フランス語で「見知らぬ人」「外国人」「異邦人」という意味です。
「ストレンジャー」も同じ意味ですが、こちらは「よそ者」といったニュアンスが含まれるようです。

目を閉じてすぐ 浮かび上がる人
目を閉じてすぐ浮かび上がるということは、その人のことをいつも思い描いていたり、一番大切に思っているということでしょう。

ウミガメの頃 すれ違っただけの
そんな人が、ウミガメの頃はすれ違っただけの人だった・・・
ここで突拍子もなく「ウミガメの頃」という表現が出てきます。
いったい、何が言いたいのでしょうか?

「輪廻転生」の考えを基にするならば、現在は人として生まれてきましたが、ウミガメだった時期があるかもしれないということでしょう。
また「亀は万年」と言われるように、長生きの象徴として扱われます。
なので「ウミガメの頃」はおそらく、「長い年月を経て輪廻転生を繰り返してきた」という意味合いが込められているのではないかと推察します。

「目を閉じてすぐ浮かび上がる人」は、恋人、配偶者、子供、親、ご先祖様、恩師、大好きなあの人・・・
それらは現世で深い関わりを持ち、真っ先に脳裏に浮かぶ存在です。
しかし、前世や太古の昔には出会っていない、或いは出会っていたとしても、ただすれ違っただけの存在かもしれません。

慣れない街を 泳ぐもう一度 闇も白い夜
「もう一度」は、輪廻転生を繰り返して、もう一度人生を経験しているということでしょう。
また慣れない街を歩く自分は、相手にとって「ただすれ違ったたけの見知らぬ人」(=エトランゼ)です。
同じく、慣れない街にいる人々は、自分にとって「ただすれ違っただけの見知らぬ人」(=エトランゼ)です。
しかし前世では「目を閉じてすぐ浮かび上がる人」だったかもしれませんし、来世では「目を閉じてすぐ浮かび上がる人」になる可能性もあります。

家族以外の人は皆、最初は「エトランゼ」ですが、生まれて死ぬまでの間の出会いによっては、「目を閉じてすぐ浮かび上がる人」になることもあります。
人と人との出会いは奇遇であり、それは輪廻転生によって大昔から繰り返されている。
「闇も白い夜」は、「そんなことを考ては、眠れぬ夜を過ごしている」といったところでしょうか。
草野マサムネ氏の独特な死生観が表現された曲ではないかと感じます。

ちなみに、歌詞にウミガメが登場するのは、この頃に草野氏がスキューバダイビングにハマっていたからという噂もあります。

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