スピッツ歌詞考察(第92回)君が思い出になる前に
【基本情報】
君が思い出になる前に
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:笹路正徳&スピッツ
5分2秒
<リリース日>
1993年9月26日(4thオリジナルアルバム「Crispy!」)
1993年10月25日(7thシングル)
※「Crispy!」からシングルカット
<収録アルバム>
Crispy!(1993年9月26日リリース 4thオリジナルアルバム)
CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection(2006年3月25日リリース)
CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-(2017年7月5日リリース)
など
<タイアップ>
テレビ東京『もっと素敵に!』テーマソング
『味の素ギフト』CMソング(1997年)
<備考>
『オリコン』で自身初の週間チャート100位内(最高27位)を記録
『ミュージックステーション』初出演(1994年1月)
【MUSIC VIDEO】
【歌詞】
歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。
【考察】
あの日もここで はみ出しそうな 君の笑顔を見た
水の色も風のにおいも 変わったね
あの日もここで、とびっきりのはじけるような“君”の笑顔を見た。
季節が変わり、水の色も風のにおいも変わったね。
明日の朝 僕は船に乗り 離ればなれになる
夢に見た君との旅路は かなわない
明日の朝“僕”は船に乗り、“君”とお別れすることになる。
一緒について来てくれることを夢見ていたけど、その願いはかなわなかった。
きっと僕ら 導かれるままには歩き続けられない
二度と これからは
もう二度とこれから“僕ら”は、運命に導かれて人生を共に歩むことはないだろう。
君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて
優しいふりだっていいから 子供の目で僕を困らせて
“君”が思い出になる前(=最後)に、もう一度“僕”の前で笑ってみせて。
演技だっていいから、子供みたいな目で“僕”を見つめて、困らせてほしい。
ふれあう度に嘘も言えず けんかばかりしてた
かたまりになって坂道をころげてく
お互いバカ正直な性格が災いして、ことあるごとにけんかばかりしてた。
一緒に坂道を転げ落ちて行くように、なかなか歯止めが効かなかった。
追い求めた影も光も 消え去り今はただ
君の耳と鼻の形が 愛しい
“僕”が追い求めた、“君”が生涯の伴侶になるという未来も消え去り、“僕”はただ“君”の好きな部分を愛しく感じるだけ(=片思い)になってしまった。
忘れないで 二人重ねた日々は
この世に生きた意味を 越えていたことを
でも二人で重ねてきた日々は、この世に生を受けて死ぬまでの間で、本当に素晴らしい時間だったということ忘れないでほしい。
君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて
冷たい風に吹かれながら 虹のように今日は逃げないで
“君”が思い出になる前(=最後)に、もう一度“僕”の前で笑ってみせて。
冷たい風が吹いてるけど、今日だけは虹のようにすぐ消えないでほしい。
君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて
優しいふりだっていいから 子供の目で僕を困らせて
君が思い出になる前に もう一度笑ってみせて
冷たい風に吹かれながら 虹のように今日は逃げないで
“君”が思い出になる前(=最後)に、もう一度“僕”の前で笑ってみせて。
演技だっていいから、子供みたいな目で“僕”を見つめて、困らせてほしい。
冷たい風が吹いてるけど、今日だけは虹のようにすぐ消えないでほしい。
登場人物は“僕”と“君”で、最後のお別れを迎えるシーンです。
“僕”は明日の朝、船に乗ってこの場所を去ります。
海外に旅立つのか、都会に出るのか、田舎に戻るのか、あてもない旅に出るのか、或いは、この世から去ることを意味しているのか。
具体的なシチュエーションまではわかりませんが、“僕”は“君”が一緒について来てくれることを望んでいました。
しかし“君”の返事は「NO」でした。
もう二度と会えることはないと感じた“僕”は、せめて最後にもう一度だけ“君”の笑顔が見たいと願います。
切ない失恋ソングで、「この世に生きた意味を越えていたことを」のところに「死」と「生」の要素があらわれます。
意味合いとしては、「おっぱい」の「もうこれ以上の生きることの喜び」という表現に似ていると感じました。
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