スピッツ歌詞考察(第20回)夜を駆ける
【基本情報】
夜を駆ける
作詞:草野正宗 作曲:草野正宗 編曲:スピッツ&亀田誠治
5分4秒
<リリース日>
2002年9月11日(10thオリジナルアルバム「三日月ロック」)
<収録アルバム>
三日月ロック(2002年9月11日リリース 10thオリジナルアルバム)
<タイアップ>
フジテレビ系アニメ『ハチミツとクローバー』第15話挿入歌(2005年)
【MUSIC VIDEO】
【歌詞】
歌詞は下記のサイトでご確認いただけます。
【考察】
研がない強がり 嘘で塗りかためた部屋
抜け出して見上げた夜空
「研がない」=「研ぎ澄まされていない」
つまり「未熟な強がり」=「反抗期」です。
「嘘で塗りかためた部屋」は、家にいるときは親に良い子を演じていたということをあらわしています。
バレないようにこっそりと自分の部屋から抜け出し、夜空を見上げているという状況です。
よじれた金網を いつものように飛び越えて
硬い舗道を駆けていく
通常とは異なるルートで家から抜け出しています。
そして「いつものように」なので、過去に何度も家から抜け出しています。
似てない僕らは 細い糸でつながっている
よくある赤いやつじゃなく
「似てない僕ら~」は、お互いの違う部分に惹かれ合っている様子をあらわしています。
「糸~よくある赤いやつ」は、「運命の赤い糸」のことですが、そうではないと言っているので、まだ結婚とかそういうことは意識していません。
ましてや「細い糸」なので、まだ浅い繋がりなのでしょう。
落ち合った場所は 大きな木もざわめき やんで
二人の呼吸の音だけが浸みていく
夜にこっそり家を出て、二人で落ち合いました。
いわゆる「駆け落ち」ですね。
風も吹かない静かな場所で、二人の呼吸の音だけが聞こえるという情景を描写しています。
君と遊ぶ 誰もいない市街地
目と目が合うたび笑う
夜を駆けていく 今は撃たないで
遠くの灯りの方へ 駆けていく
遠くの灯りの方を目指し、誰もいない市街地を二人で駆けています。
それ自体が「遊び」になったり、「目と目が合うたび笑う」ということは、二人きりでいることが余程楽しい時間なのでしょう。
こっそりと家を抜け出しているので、親に見つかるということは「死」を意味します。
銃で撃たれると、人は死にます。
つまり「今は撃たないで」=「今は見つけないで」ということになります。
壁のラクガキ いつしか止まった時計が
永遠の自由を与える
時が経っても変わらず残っている壁のラクガキをみて、永遠の自由を感じています。
転がった背中 冷たいコンクリートの感じ
甘くて苦いベロの先 もう一度
夜の市街地を駆けて、疲れて寝転がりました。
そしてコンクリートの冷たさを背中で感じながら、二人はディープキスをしました。
甘い雰囲気のみが漂っていますが、走った後で息が上がっているせいか、舌の味は少し苦く感じました。
味を確認するかのように、もう一度キスをします。
でたらめに描いた バラ色の想像図
西に稲妻 光る
バラ色の人生をなんとなく想像していた。
でもそれは本当に望んでいるものだったのか。
稲妻が光るような衝動を覚えた。
夜を駆けていく 今は撃たないで
滅びの定め破って 駆けていく
自分の意志で人生を駆けていく。今は見つけないで。
用意されたレールを進むことは、自分を滅ぼす運命をたどることになるので、それを破って駆けていく。
君と遊ぶ 誰もいない市街地
目と目が合うたび笑う
夜を駆けていく 今は撃たないで
遠くの灯りの方へ 駆けていく
遠くの灯りの方を目指し、誰もいない夜の市街地を駆けていく。
これが“君”との遊びであり、目と目が合うたび笑い合う。
どうか今は見つけないで。
思春期の逃避行が描かれており、「性」と「死」の両方の要素が入っています。
官能的な表現もあり、まるで文学作品のような歌詞ですね。
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