地方自治体の持続可能性分析レポートについて #1

リュディアです。メディアが地方自治体の持続可能性についての報道を行いました。例えばNHKのような報道です。

消滅可能性というキーワードを見るとドキッとしますね。どうしてもメディアはセンセーショナルな部分だけを強調して報道しますから元データを丁寧においかけてみましょう。元データは次の人口戦略会議のページにあります。

人口戦略会議とは民間の経済人や研究者などの有識者らで構成され、民間の立場から人口減少問題の解決を目指し立ち上げられた組織のようです。2014年5月に前身である日本創生会議が地方自治体消滅可能性リストを発表し、その10年後である今年に全国の地方自治体の持続可能性について再度分析を行ったとのことです。今回の分析の新たな視点として人口の自然減対策と社会減対策というものがあります。前者はいわゆる出生率の向上についてであり、後者は人口流出の是正についてです。確かにある地域に着目したときに、出生率はあがっている、でも大学進学や就職で都心部に流出してしまうことも大きな問題になっていますので良い視点だと思います。

センセーショナルに報道される消滅可能性自治体は20~39歳の女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体と定義されています。男性と女性の人数、年齢分布のバランスがとれているという前提であればわかりやすい指標でよいですね。20~39歳の女性を若年女性という言葉で定義しています。

また封鎖人口移動仮定という言葉も出てきます。封鎖人口は各自治体において人口移動がなく出生と死亡だけの要因で人口が変化すると仮定した推計結果です。移動仮定は各自治体からの移動傾向が一定程度続くとした場合の比率を仮定するものです。封鎖人口の減少率、移動仮定の減少率のそれぞれを 20%未満、20~50%未満、50%以上、という3つのグループにして組合せを作ると3 x 3 = 9つのグループになります。その9つのグループを表にしたものがレポート中にある次の図です。

今回、対象となった自治体数は1729で、表の中に該当する自治体数と比率を追記すると次の表になります。

メディアが地方自治体のうちの744自治体、43%が消滅可能性と報じているのは、この表のC-1, C-2, C-3の合計 43.0%のことのようです。移動仮定50%以上、表の最下段に相当する部分です。減少率50%よりも移動仮定50%に重点をおいてるのですね。

今回は全体的な概要を眺めてみました。次回から順に見ていきたいと思います。

では、ごきげんよう。


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