2023年版情報通信白書より #6 ~ データ流通・活用の新たな潮流, メタバースとデジタルツイン
リュディアです。2023年7月4日に総務省が2023年「情報通信に関する現状報告」(2023年版情報通信白書)を公表しました。少しずつ内容を見ていき皆さんとも要点だけ共有したいと思います。
今回も3章1節のデータ流通・活用の新たな潮流、特に メタバースとデジタルツインを見てみます。メタバースという言葉も最近はよく見聞きするようになりましたね。Facebook社が社名を Meta に変更したこともありました。この白書の中で総務省はメタバースを「ユーザー間で“コミュニケーション”が可能な、インターネット等のネットワークを通じてアクセスできる、仮想的なデジタル空間」と定義しています。
海外のプラットフォーマーが大手ゲーム会社を買収するのは、ゲームがメタバースに最も近づいているからと言われていますね。次のリンクはMicrosoft がActivision Blizzard を買収しようとしている報道へのものです。独占禁止法の問題があるので各国の許認可待ちの状態です。それくらい規模が大きい買収であるということです。
ソニーのゲーム部門ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)による米ゲーム企業Bungieの買収の報道がこちらです。こちらもすごい金額ですね。
このようにメタバースに関して世界で熾烈な先行者争い、特にゲーム業界を中心に買収合戦や新規参入が行われていますが日本国内ではどこ吹く風という感じです。ではメタバースの認知度を見てみましょう。やはりこういう新しい技術に対する認知では日本が相当遅れています。英語圏の単語が使われるから、という話もあるのですが、それであれば中国も同じことが言えますから国民性の問題もありますね。
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次にメタバースの利用経験です。
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日本人のメタバース利用経験比率が圧倒的に低いですね。IT化の波に遅れたことが国力が落ちぶれた理由の1つと言われているのに、次の波にも乗り遅れるのでしょうか。
2025年の関西万博に向けてバーチャル大阪というメタバースの環境も準備されているのですが、現物のパビリオンが間に合わないというような話をしているご時世なので、メタバース環境の準備どころではないのかもしれません。
次にデジタルツインという言葉を見てみましょう。例えば万博でリアルな世界が構築されたとします。そのリアルな世界のあちこちにIoT技術に基づくセンサーを配置し情報を取得し、バーチャルな空間内にリアルな世界と同様の世界、つまりツイン(双子)を構築することを考えます。これをデジタルツインと言います。
メタバースもデジタルツインも仮想空間を扱うのですが、メタバースはあくまで仮想的な空間でよいわけです。リアルな空間との類似性を求めてもよいし、まったく別な雰囲気でも構わないわけです。しかしデジタルツインズはあくまでリアルな世界の複製に拘ります。
たとえば海外の美術館の室温などの環境、騒々しさなどの雰囲気も含めて美術品を複製できるとどうでしょうか?もちろん手で触れられる現物と、目で見るだけのものを比較することはできませんが今のようにWEBブラウザで美術品を見るだけよりはリアルな感じがしませんか。
また怪我で動けなくなり入院中の学生が、病院のベッドで一人勉強するよりは教室の雰囲気を完全に複製した環境の方が楽しく勉強できそうな感じがしませんか。
デジタルツインは通信環境やグラフィックスパワーなど、まだ現在のインフラでは実現できるレベルではありませんが、まずはその第一ステップとしてのメタバースととらえればよいと思います。その第一ステップで日本が出遅れていることもしっかりと認識してください。
では、ごきげんよう。