民間給与実態統計調査の解析 ~ 給付における年収制限の観点から #1
株式会社リュディアです。令和2年分の民間給与実態統計調査についてデータを解析してみたいと思います。
元データは以下から入手した PDF です。エクセルファイルは公開されてないのですかね、見つけられませんでした。嫌がらせかな ?
今回、調べてみようと思ったきっかけは以下のニュースです。
毎回給付となるともめますし、クレームとういか世間の文句もすごいですね。特に制限をかけるのは難しいです。どっちに転んでも損得が発生しますから。文句を最小化するには以下の 2 つのうちのいずれかになるのではないでしょうか。
1. 制限なく全員に一律給付
2. 誰が見ても困っていると思われる人への給付
2も文章で書くのは簡単ですが誰が見ても困っているをどのように定義するかが難しいですから結局 1 しかないんですよね。
どのように給付するかは置いておいて、この手の年収制限が設けられたときに制限を受ける側から出てくる意見は以下のものが多いです。
1. 高給な人は累進課税に従い税金を多く負担している、なおかつ制限で給付されないのはおかしくないか?
2. そもそも高級な人が所得税のほとんどを払っている、なぜ制限されて給付を受け取れないのか?
3. 世帯全体ではなく主たる世帯主に対する制限だと共働きで条件にひっかからないところが得
4. そもそも主たる世帯主の年収だけで困窮度は測定できない
3, 4 は国のシステムの問題ですね。いまだに専業主婦前提で社会システムが成立しているのではと考えられます。4 も共働き前提で世帯全体を前提とした収入を把握すべきなのですがいろいろ反対があるみたいですね。どのような団体とは書きませんけど...
今回はデータとして把握できる 2 について考えてみたいと思います。つまり高給な人が所得税のほとんどを支払いっているという話は事実なのかどうかを調べてみます。令和2年分の民間給与実態統計調査の結果を使います。
念のためですが民間給与に関する統計調査なので公務員や公務員に準ずる団体の情報が含まれていないことに注意してください。では PDF から起こした以下の表を見てください。
今回の給付金に関しては年収 960万円が境界となっています。扶養家族の数など厳密に全員が 960万円に境界があるわけではないのですが今回の議論のポイントではないので 960万円に境界があるとします。
表によると年収 900万円以下の方は 92.5%、年収1000万円以下の方は 94.6% となっています。逆に言うと 年収900万円以上の方は 7.5%、年収1000万円以上の方は 5.4% となるわけです。これに近い数字はよくみますね。今回は18歳以下の子がいる家庭のうち 960万円以下という制限をつけると 5% 程度の家庭を切り捨てることになるという報道をよくみます。今回のデータとも大きく離れていないですね。
次に給与総額です。年収 900万円以上の方の給与総額は給与総額全体の 20%、年収 1000万以上の方の給与総額は給与総額全体の 16% となっています。先ほどの人数とあわせて考えると上位 7.5% の方が給与総額全体の 20%を稼いでいる、上位 5.4% の方が給与総額是内の 16% を稼いでいると言えます。
最後に税金、この資料での税金とは所得税のことです。年収 900万円以上の方の所得税総額は所得税全体の 60%、年収 1000万以上の方の所得税総額は所得税全体の 53% となっています。
いろいろな数字が出回っていますが、民間給与に限定して令和2年のデータに特化するとこのような数字が得られました。先ほどの人数と税金をあわせて考えると上位7.5%の方が所得税全体の 60%を負担している、上位 5.4% の方が所得税全体の 53% を負担していることになります。
今回の結果は推測や雰囲気ではなく国税庁が発表している事実から導かれた数字です。この結果について皆さんはどう思われますか?確かに年収の高い方は激務であることが多いです。その挙句にこういう制限ばかりになるとモチベーションが下がると言われることも理解できます。
民間給与実態統計調査の解析 ~ 給付における年収制限の観点から に関するまとめの続きは以下からどうぞ。
では、ごきげんよう。
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