H31 (R1)年度 全国学力テストで統計量を扱う #4
株式会社リュディアです。今回もH31(R1)年度全国学力テストの結果を扱います。今回は正答率についてです。点数ではなくて正答率なのですがここではあたかも点数であるかのように扱います。
中学校は国語、数学、英語と三教科と合計、小学校は国語、算数と二教科の合計について扱います。まずそれぞれの都道府県別の順位を掲載します。また正答率を点数とみなした場合の偏差値も掲載します。
青字にしている秋田県、石川県、福井県の3県は新聞や雑誌でも有名なトップ 3 常連校です。確かに中学校、小学校を問わず、また教科も問わず上位常連であるということが理解できます。同じ公教育で同じような教科書を使って何が違うのですかね?不思議なものです。
中学校では都道府県の標準偏差が国語 2.0、数学 2.6、英語 2.2 と安定しています。小学校では都道府県の標準偏差が国語 3.3、算数 1.8 と国語の方がばらつきが大きいです。ただこの標準偏差を見て私は小さいな、つまり順位をつけてもその順位の印象ほど生徒間の学力差は大きくないなと思いました。
次に中学校での結果と小学校での結果を都道府県別に比較してみます。都道府県の隣にある数字はそれぞれ中学校の順位と小学校の順位になります。順位変化は中学校での順位から小学校での順位を引いた数字としています。頭に▲がついている都道府県はマイナス、つまり中学校での順位が小学校での順位より悪くなっていることを示します。
ここでも秋田県、石川県、福井県の 3 県は突出していることがわかります。またオレンジ色にしている神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、兵庫県は中学校での順位が小学校での順位から 25 ランク以上あげている都道府県です。47都道府県の中で25ランク以上あげている、ということは半分以上をごぼう抜きにしていることがわかります。また前述したように標準偏差が小さいので少しの点数の変動で大きく順位が変わります。ただし安定的に上位となっている秋田県、石川県、福井県はすごいものだな、と思います。
最後に中学校、小学校の教科合計の回帰分析をしてみましょう。教科合計と順位について回帰分析を行ってみました。散布図の横軸が中学校の三教科合計、縦軸が小学校の二教科合計です。
R2 = 0.2118 でほぼ回帰分析が意味をなしていません。つまり中学校の成績と小学校の成績に強い相関がないということです。次は順位についてみてみましょう。こちらも散布図の横軸が中学校の都道府県順位、縦軸が小学校の都道府県順位です。こちらは順位の比較ということもあり R2=0.1147 とさらに相関がありません。散布図で見ても傾向が読み取れる感じはしませんよね。
今回はH31(R1)年度全国学力テストの都道府県別正答率を中心に回帰分析をまじえてまとめてみました。新聞や雑誌で都道府県の順位で一喜一憂する記事を見かけます。もちろん上位集団と下位集団ではそれなりの差が存在することは否めません。ただ標準偏差が小さいことから考えて中心付近の 20番と30番を比較する意味はないと感じました。
では、ごきげんよう。