ガンマ補正 #3
株式会社リュディアです。今回も引き続きガンマ補正についてまとめてみます。
前回までの ガンマ補正についてのまとめへのリンクは以下を参考にしてください。
今回はウェーバー・フェヒナーの法則についてです。この法則はガンマ補正の理解を混乱させる要因の1つだと思っていますのでガンマ補正のまとめの1つとします。
ウェーバー・フェヒナーですが、ウェーバーとフェヒナーという2人の独立した人名です。ただしウェーバーの弟子がフェヒナーなので無関係というわけではありません。まず 1846年にウェーバーが感覚的な法則を発表しました。時代も 1846年なので重さに関するもので「重さの変化を感じ取る感覚は何 g 増えたかといった差ではなく、何倍になったかという比に依存している」というものです。何を言ってるかと言うと、例えばここに2つの荷物があり 1kg と 10kg であるとします。次の状況を考えてみましょう。
1) Aさんが 1kg の荷物を持っている状態で、Aさんの持っている荷物にさらに 1kg の荷物を追加した場合
2) Aさんが 10kg の荷物を持っている状態で、Aさんの持っている荷物にさらに 1kg の荷物を追加した場合
皆さんは 1), 2) のいずれの場合が「さらに重たくなった」と感じると思いますか?ほとんどの方が 1) と考えると思います。1) は重さが 2倍になっていますが 2)は 10% 増えたにすぎません。科学というよりは感覚的なものなのでウェーバーは実験心理学や精神物理学の父を言われています。
そしてこのウェーバーの研究を発展させたのが弟子のフェヒナーです。具体的には発展というよりも感覚的な法則を 1860年に定式化したと言えます。感覚量を P (Perception)、刺激を I (Intensity of stimulation) としたとき以下の数式が成り立つとしました。
この数式は感覚量の変化の感じ方(ΔP)は元の刺激に対する刺激の変化の割合(ΔI / I)に比例するという意味です。k は感覚によって異なる比例定数です。重さであったり、暑さであったり、臭いであったり、で変化します。個人差もあるでしょうね。ではこの式を微分方程式として解いてみましょう。
積分定数 C を求めるために以下の初期条件を適用します。I0 は感覚を感じなくなる刺激の強さです。
積分定数 C は以下のようになります。
求めた積分定数 C を反映すると最終的に P は以下のようになりました。
この式は感覚は刺激に比例するのではなく刺激の対数に比例すると言っています。つまり刺激が大きくなると人間の感覚は鈍感になると言っています。
これがウェーバー・フェヒナーの法則と言われているものです。時代も1840 ~ 1860年のことですので当然ながらディスプレイデバイスはありません。また明るさを含めた感覚全体についての法則であり明るさだけの話をしているわけでもありません。しかしこのウェーバー・フェヒナーの法則の都合の良い部分を切り出してガンマ補正と絡める記事や書籍が多いので混乱の元になっています。次回はウェーバー・フェヒナーの法則をディスプレイに適用した場合の話をまとめます。
ガンマ補正に関するまとめの続きは以下からどうぞ。
では、ごきげんよう。