書評 世界でもっとも強力な9のアルゴリズム
株式会社リュディアです。世界でもっとも強力な9のアルゴリズムを読みましたので感想を記載します。
いわゆる伝統的なアルゴリズム本やデータ構造本とは趣が異なります。情報系専攻の学生やエンジニアが読むと物足りなさを感じるかもしれません。私は物足りなさは感じなかったのですが、この書籍を読むことで取り扱われている内容のコーディングができる、というレベルを期待してはいけない、という意味です。
アルゴリズムは抽象度の高いものが多く、いわゆる古典的な並び替えや検索についてじっくり記載されているものではありません。ただしこれらをしっかり理解している人しか読めないか、というとそうではなくて、雰囲気を知ることができるよう軽妙な文体で記載されています。基礎的な知識を既に持っている人は最先端のアルゴリズムへの入門になると思いますし、最先端のアルゴリズムに対する「ふんわり」とした入門書、概念だけ掴みたい方にとっても非常に面白い本だと思いました。絵やたとえ話を使った説明も興味深いものでした。
3章のページランクについては、まとまった内容で書籍で読んだのは初めてでした。断片的な情報はネット上で見つけることができますが、やはりまとまった状態で書籍で読むと頭に入りやすい気がします。また個人的には 7 章のデータ圧縮は文体も軽快で例え話も愉快でした。
専門性の高い内容を高度に、詳細に理解したいという方にはお勧めできませんが、現実の世界で使われている最先端のアルゴリズムの雰囲気の理解、あるいはその入門書としては非常に有意な書籍ではないかと思います。
では、ごきげんよう。