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ソフトウェアエンジニアの面接TIPS!面接官に聞いた、構造化面接のポイント
LINEヤフーでは、新卒採用のエンジニア職・ソフトウェアエンジニアコース向けに構造化面接を導入しています。面接では応募者の技術力や問題解決能力を公正かつ客観的に評価するために設計を行い、LINEヤフーと候補者の双方にとって有益なプロセスを提供しています。
今回は、ソフトウェアエンジニアの面接設計に携わるエンジニアに聞いた、学生のみなさんが構造化面接を受けるポイントを紹介します。
※2025年2月時点の内容です。
プロフィール
石川 宗寿(いしかわ むねとし)
2015年4月旧LINE(現 LINEヤフー)入社。「LINE」のモバイルクライアントの開発や、新卒採用/教育の改善、他開発部署の技術サポートなどの業務に携わっている。LINEヤフー Tech Blog で、コード品質向上のテクニックを連載中。
著書: 読みやすいコードのガイドライン, エンジニアチームの生産性の高め方 (技術評論社)
花谷 拓磨(はなたに たくま)
2018年12月旧LINE(現 LINEヤフー)入社。HRドメインのフロントエンド領域のサービス開発とそのマネジメントを経て、現在はテクノロジーエンハンスメント部の部長として、専門技術の探求と事業貢献を担う部署を取り仕切る。
技術者コミュニティや採用との関わりとして、LINEヤフー主催のコミュニティ『UIT』の運営、新卒・中途採用の面接官などを担当している。
著書にNuxt.jsビギナーズガイド(C&R研究所)。
構造化面接とは
構造化面接とは、あらかじめ決められた設問の流れに沿って進められる面接形式です。LINEヤフーでは、面接でオンラインホワイトボードを活用し、応募者に設計やコーディングを実演してもらいます。これにより、面接プロセスの標準化をはかり、すべての候補者が同じ条件下で評価されるようにしています。
現在の新卒採用面接の設問では、候補者が特定領域の知識を持っているかや、トリッキーなアルゴリズムを思いつけるかを見るのではなく、開発者としての考え方やアプローチを重点的に評価できるように工夫しています。候補者がどのように課題を整理し、設計を進めていくのか...この面接では、候補者の技術的な思考プロセスを、議論を通じて深く理解することを目指しています。
このような、設計やコーディングを使う面接には、面接官が候補者を一方的に理解するのではなく、相互理解をしやすくなるというメリットがあります。議論を通じて候補者も面接官の技術力を評価することができますし、面接官も候補者が実務でどのような活躍ができそうかを想像しやすくなります。
面接に向けて
LINEヤフーの構造化面接では、応募者の技術的な思考プロセスと実践的な能力の評価を重視しています。特にライブコーディングセッションでは、以下のポイントが重要視されます。
設計とコーディングの練習方法
私たちの面接では、独創的なひらめきが必要になる問題は出しません。世の中にあるサービスやアプリケーションの設計や一部のコーディングについて、基本的なコンピュータサイエンスの知識に基づきながら議論できるかを評価します。そのため、まずは大学の講義でも学ぶ、基本的なデータ構造やアルゴリズム、データベース、ネットワークについて復習しておくと良いでしょう。
さらに面接の準備をしておきたい場合は、プログラミングとエンジニアリングの2つのカテゴリに分け、自分の不得意な方を重点的に伸ばすことが効率的です。
プログラミング能力を向上させるためには、アルゴリズム能力やシンプルなコーディング能力を鍛えることが重要です。思い描いたロジックをスラスラと書けるようになると、課題の全体を俯瞰する余裕が生まれます。プログラミング課題を自分で設定し、限られた時間で実装してみるといった練習方法も有効です。
エンジニアリング能力の向上には、現実の課題をプログラミングの関係性に落とし込む能力が求められます。特に、ドメインロジックと呼ばれるサービスやアプリケーションの仕様や挙動をデータモデリングに落とし込む力は選考において必須です。世の中のアプリやサービスのドメインロジックの設計を自分で考えてみたり、PublicなWeb APIの機能を再実装してみることが効果的です。その設計意図を友達や開発者仲間に伝えることで、理解を深めることができます。
これらの練習を通じて、面接における技術的な課題に対応する準備を整えることができます。重要なのは、自分の強みと弱みを理解し、バランスよく能力を伸ばすことです。
面接のTIPS
LINEヤフーの構造化面接では、戦略的なアプローチと柔軟な思考が重要です。面接でのパフォーマンスを向上させるためのポイントを紹介します。
1. 簡単なロジックから始める
面接の際には、まず簡単なロジックから実装を始めましょう。はじめから高度な実装を目指して詰まってしまうより、まずは書いてみて話してみることが重要です。ライブコーディングのコードは最終的な成果物ではなく、面接官とのディスカッションの基盤だと意識すると良いでしょう。
出題に対して、一回ですべてを解く必要もありません。ある条件でしか動かないコードや途中までのコードであったとしても、とりあえず書いてみて、面接官と一緒にブラッシュアップしていくことを目指しましょう。面接官のフィードバックを受けながら、より良い解決策について議論できるかが重要です。
2. 考えを声に出して説明する
自分の考えを常に声に出して説明することが大切です。不明確な点があれば、すぐに質問してクリアにしましょう。設計やコードを書くときも、何をつくろうとしているのかを面接官に伝えることで、意図を明確にできます。
3. アプリケーションを意識する
与えられた課題を解く関数だけを実装するというよりは、アプリケーション全体を実装していることをイメージしてください。ライブコーディングの中で仕様が拡張されることもあるため、その点を意識して実装を進めることが重要です。
面接は単なる技術的な試験ではなく、コミュニケーションを通じて自分の考えを伝える場であることを忘れずに臨みましょう。
面接官から学生へのメッセージ
花谷 緊張ゆえに愚直すぎる/冗長すぎると感じる実装や細かなミスをしてしまうことはあると思います。ただ面接官はそういった緊張も加味して、「一緒に良い成果物を作る」ことをゴールにコーディングを進めていくので、焦らず挑戦してみてください。
石川 面接では、ソフトウェアエンジニアとしての考え方ができているかや、議論ができるかを重視しています。問題を解くということを深刻に捉えるよりも、面接官との議論を楽しむという気持ちで受けてもらえればと思います。
LINEヤフーでは現在、2026年4月新卒入社のエントリーを受付中です。記事を読み、LINEヤフーのエンジニアに興味を持ってくださった方は、ぜひ採用ページからのエントリーをお待ちしております。
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