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バスタフェ2も最高だったなって話

ご無沙汰しております。こちらはバスタフェロウズ2をやりながら思ったことや感想なんかをとりあえず丸めて詰めておいたものになります。
前回と同じくネタバレの塊のため、プレイ予定のある方はクリアしてから、プレイ予定のない方は今から予定を作ってクリアしてからの閲覧をおすすめしております。


スケアクロウ編

・心の間取り
広すぎる心はそれだけ隙間が増えて、離れる余地を作ってしまうもの。なので献身の方向性があやしいクロちゃんをめちゃくちゃ心配してたんだけど、そこについては問題なさそうで笑った。テウタちゃんがガンガン詰めていくから大丈夫ですね。末永くリア充爆発の気持ち。
心は広いのに目線は同じ高さにしてくれるもんだから満たされ具合がすごい。クロちゃんがする最良の選択は常に相手の気持ちが尊重されていて温度を感じるし、ロマンチストな部分もあるから形あるものも無いものも考え抜いて送ってくれる。おまけに心からテウタちゃんを大切にしてるのが分かる上にどんなに良い雰囲気になってもキス以上はしてねぇだろうなという安心感。その童貞風をびゅうびゅうに吹かせたままご入籍してほしい。
他者へ理解を示す側のクロちゃんの闇が『自分のことなんて何も知らないくせに』だったのは興味深かった。
話したがらない自覚がありながらそんな理不尽な言葉が出るのは、理解や共有を求めているからに他ならないんじゃないかな。
そのくせ逃げる気も押し付ける気も無くちゃんと自分で消化していく覚悟を決めてるんだから、この本音は本当に心の奥底に沈めた淀みだったんだろうな。

・ネットの地獄
現代の地獄のごった煮。この問題をシナリオに取り上げた勇気に感服仕った。
盗撮や無許可投稿、誰でもいいから悲鳴を上げさせたい、自分より下の誰かを貶したい、無自覚のものだけでもまだまだある。
あまり意識したことは無かったけどチェックして選別する作業なんて正に地獄。幽白の黒の章を思い出した。時代の先取りがヤバい。
それも結局弱者や下請けがやらされるんだからとんだ搾取構造。
あって良い訳がないと声を上げたクロちゃんも、自分が起爆剤になればと行動を起こしたローフォドッグくんも、悪意がはっきり見えてしまった中で希望を失わずに行動で変化を促しにいける精神に尊敬する。

・バッドつらい
なぜ…何故一度希望を見せてから突き落としたんですか…。なぜついでにアラーム音でオーバーキル狙いにきたんですか…。
朝をくれた君が二度と目覚めないなら、あのクロちゃんにはもう朝日は見えないだろうて。

ヘルベチカ編

・性善説の地獄
この事件に関してはわりと明確にテウタちゃんに非がある。
極端な言い方をすれば『知らない人に付いて行ってはいけない、信用してはいけない』という子供に言い聞かせるような教訓で終わる。
本人が自覚してからの憔悴具合の声色の違いは必聴である。さぞ中の人も思わず台本の端っこに悲鳴をしたためるくらいには情緒をぐちゃぐちゃにされたことだろう。
正直に言えば情は移ってきてた。挙動に違和感は感じていたのに、『かわいそうなひと』というバイアスがそれを隠してしまった。あまりによく出来てる。
巻き込まれるのが自分だけならいいとしても、悪意を向ける側からはんなことどうでもいいし、何なら丁度いい枷になる。
おまけに相手の犯罪者レベルがいかほどなのかも未知数。路上で自分のイチモツを御開帳して満足するタイプもいれば、そこらの健康そうなイチモツを拝借して転売するタイプもいる。今回にかんしてはウーバーヤーク(最大限マイルドな表現)という内臓3次元ポケットチャレンジ(最大限マイルドな表現)とかいう最悪にほど近いギルティに加担することになったわけだが。
何が怖いってこの事例は現実に起こりえるしその時最強の盾は現実には無いということ。
善意を食いものにする輩は星の数ほどいる。
それでも誰かを愛し信じることは美しいと思えるヘルベチカは本当にかっこいい。

・サウリ先生とその後
ヘルベチカルート最大の懸念であるサウリ先生との関係、やっぱり複雑だった。
恋人のパパが身内を理由どうあれ苦しめた事実をどう片づけたものかと考えていたけど、テウタちゃんが強いおかげでなんとかなってしまった
私は結構サウリ先生好きだし半分くらいは理解できるので、彼に家族愛が無いことはありえないと感じていたのでとても嬉しみ。
サウリ先生が作品と家族へ向ける感情は割り切ってるように、テウタちゃんも許せないひとと大切なひとの家族を割り切る決意ができたのは面白い構図。
それはそれとして一発くらいはビンタしていいからね。

・バッド安定
とりあえず心のままに選択肢選んでたらナチュラルにバッドルート入って草も生えない。前作でもそうだった気がする。ヘルベチカとの相性はすこぶる悪い。多分リアルに合ってもお互いに読み合いになってバチクソ疲れるやつ。
正直展開が重すぎて何処からバッドなのかさっぱりわからなかった。やり直してみたら逆ピッコロさんチャレンジ(最大限マイルドな表現)をどっちがやるかの違いで泣いた。どっちも嫌やねん。
誰が言ったか、忘れてくれと愛してくれの懇願は同じ罪の重さと聞いたけど、自分のせいでズタボロになったヘルベチカに忘れてくれというのはなんと言うか、とどめを刺しにいったなと。
かわいそうなひとを助ける、という行為の心情は底抜けの善意であると同時にとんだ傲慢でもあるというおはなし。残酷が過ぎる。

モズ編

・終わりとエゴ
前作から時折り頑固な子供みたいな反応を反すことがあるなとは感じていたので、いざ言及されると無理もないよなぁの気持ち。
元々モズのIQが高いのもありそうだけど、上手に順応してしまった子供の姿はとても悲しい。
まさか膨れっ面が出来るほど信頼できる大人がいるとは思わなかったし、その唯一甘えられた大人が安楽死を選ぶと言い出したら、絶望の一言だろう。
ユズちゃんの時はもう手遅れ状態だった事を差し引いても比較的落ち着いていたのに対して、先生の場合はまだ生きている事に加えて甘えの部分も大いにあったんだと思う。病状を理解してないはずがないのに。
モズにとっての死は『望まぬ終わりの塊』で残される側は痛みや苦さだけが残る、実際自分はそうだし自分が毎日見ている死もそういうもの、という抜け出せないループに、先生の命でもって事件性も苦痛もなく急死でもない『自ら選択し人生を完結させるもの』というモズにとっての新しい死の形を体験させることで、長い間持ち続けていた固定観念に大きな一石を投じる壮大な計画だったわけだけど。(多分)
荒療治ではあるものの効果は絶大だし、両親の死にも区切りが付けられたし、結果的にモズの死に対する視野は広くなって息がしやすくなったんじゃないだろうか。
でもほんとに荒療治である。にこにこしながらスパルタタイプの教授だったに違いない。もっと話しあって。説明して。

・椅子取りゲーム地獄
各章のメインモブの中でヤーラが一番怖かった。私個人の人生経験の元で彼女が過去負った傷の痛みがどれほど辛いか分かるし、現在の彼女の行為がどれだけ最低なのかも分かる。リアルにダメージが来るバスタフェクオリティ。
正直言ってモズも悪い。面倒見る気が無いなら捨て犬の頭を撫でてはいけない、それは人間に対しても同じ。出られる見込みのない真っ暗な場所で火を灯されたら、必死で近寄るのもどうにかして自分のものにしようとするのも当然の反応だ。
全てのひとが救われることはない、全てのひとに善性が備わってるわけではない、全てのひとが変われるとは限らない、どれだけモズが他人の人間性ををfifty-fiftyで見れたとしても。

・バッドえぐい
閉じ込めからの凍死マジこわいんだが。絶望感やばい。『僕は馬鹿になった』の使い方がハピエンと対比になっちゃってやばい。医学の知識を持ってるからこそ生々しい死を感じちゃうんだろう事実もやばい。モズの家族みんないなくなることもやばい。臓器移植の選択でまた別の誰かの命まで負わされるのもやばい。プレイヤーの心痛もやばい。
ガチ凹みして数日手が付けられなかった。マジ無理たすけて…。。

シュウ編

・塀の無い庭
シュウの愛し方は放し飼いにしてる犬のようだなぁと。もちろん良い意味で。
何処へでも自由に走っていっていいし、当然帰ってくると思ってるし(もしもっと良い場所が見つかったなら帰らずとも良いし)、とは言えめちゃくちゃ大事にしてるので目の届く範囲は全力で安全確保してるような。慈愛と家族愛を混ぜた感じ。実はそのへんクロちゃんとちょっと近いんじゃないかな。
でも正直言えば側に置いておきたいし、割といじわるしてキャンキャン言ってるのを見るのも好きと。めっちゃテウタちゃん好きじゃん。ありがてぇ。
前作ではほぼ一匹狼だったけど今回一気に家族や関係者増えてにこにこした。ヤンと仲良くやってるのも嬉しい。捻くれ方とか他人のイジり方とかがよく似てて更ににっこり。
テウタちゃんと生きると決めてからテウタちゃん両親や無害な他人への誠実さが見られるのがすごく良い。シュウから見たテウタちゃんの世界がそうなんだろうね。一緒に生きるなら自分がそっち行くんだもんね。かわいいね。

帰結と清算
・シュウ自身が銀髪なのが程よいミスリードになっててレイさんが父親だとは思わなかったし、明かされた所でレイさんの瞳の色を確認してあぁ~(泣)ってなった。これはおそろですありがとう。
全体的に洋画みが強くてドキドキからのかっこいー!の流れが気持ちいい。3人で銃口を向けるスチルの事件解決感がめっちゃかっこいい。そのまま映画化いけるのでは。
状況が二転三転して黒探しになっても正直疑いたくないっていう心情が捨てきれない中でシュウとヤンはずっと冷静だったのはやっぱり場数を踏んできた差ではあるんだけど、それが出来てしまう悲しみが大きかった。嘘を吐かれてたとはいえ裏切られてなくて本当に良かった。
突き詰めてしまえば全員何かしらの罪人なので白にはなれない以上大団円は許されず、レイさんは自分の名前や身分を担保に差し出して生きてきて、延命をしないことで罪の清算をした訳だけど、それはいつかシュウやヤンにも訪れる未来なのかもしれない。
何を差し出すことになっても、手元に残るものがたくさんあってほしい。

・バッドきつい
心壊エンドだぁ。(絶望)死んでいくのを文字通り肌で感じながら助けることも出来ないなんてトラウマじゃ済まないし実際済まなかった…。
テウタちゃん脳がイカれるまで地獄をループし続けるのかな…。
静かな余生の夢のシンボルだったあの家が凄惨な現場に変わる絶望がやばいし描写が生々しくてやばいしなんなら普通に怖かった。
スナイパー側の情報がどのルートでもそこまではっきり明言されなかった気がするんだけど、クローザーの片割れの件は片付いたんだろうか。顔グラも無かったよね?見落とした?

リンボ編

・名前を付けたら永遠
白と黒の狭間で揺れることの多いリンボだけど一度自分の中で形を成したものは揺らがないので、テウタちゃんとの信頼関係がとても厚い。バリバリ働くアクティブご夫婦のよう。まぁそのお陰で多少のすれ違いもあるけどご愛敬レベル。時間をかけてたくさん話し合うのよ。マンネリには気を付けてね。たまには実家にも遊びにきてちょうだいね。
リンボの心の指針であるマシュー判事がヴァネキの元カレってのもアレだけど結果的に不倫みたいなものだったのは地獄だった。個人的には隠した側がクソだと思ってるけど、それが自分の道しるべにしていた人だったとしたらもうなんも許せんしその背中を追っていた自分すら汚された気持ちになる。
なので『自分の中にあるそれは否定しなくていい』という答えは救いだった。忘れがちだけど、過去は消せないという事実は何もマイナスなことにしか適用されなくてもいいんだよね。

・善と悪と何か
リンボが割とチート級というか安定した働きをしまくってたので事件自体はそこまで冷や冷やせずに終わったけどその分人間周りが厄介事ばっかりで多分普段からこんな感じでやってるんだろうなぁという印象。事を白黒付けるだけでは解決出来ないものもある。
弁護したグレンもジャッキーも悪側に属しながら決して悪ではなく、善であることが義務であるはずの検察や判事が黒く染まっている中で、正しく見極めるにはどれだけ心を裂けばいいんだろう。

・リンボにとってのバッド
多分プレイヤーみんな思ったであろう、死なない…だと…。
とはいえ胸糞具合と後味の悪さは中々でしたよと。
アイデンティティもレゾンデートルも失ったとして、それはリンボと言えるのか。
ところで最後の曲を前作バッドのアレにしたスタッフの方、ありがとう。許さん。

エピローグ編

・アシンメトリー
テーマ回収のターン。徹底的な対比で攻めてきた。
被害者と加害者、内側と外側、成功と失敗、火事を見つめるユノとグエロの対比があまりに悲しい。
誰が悪かったとも何が正しかったも無い、ただ変わったものと終わったもの。
最後に隠し続けた自分から変わることを選んだユノと怒りと後悔にひとつの終わりを与えたグエロ。
変わることも終わることも等しい価値なのかもしれない。

・なくしもの
前作でテウタちゃんの能力をふんわり考えたけど、言われてみれば記憶メモリについても確かに負担でかそう。
人の記憶容量は有限であるとも聞いたことあるけど早々使い切れるわけがない。
時間を遡った分蓄積されていけばいつかパンクするかもしれない。
一番最後に落とした記憶は前作のハピエンラストシーンっていう人の心が無いチョイスだった訳だが、何か法則性があるのだろうか。
遡った時に入れ替わった誰かに関係しそうな気がする。
なお個人的にテウタちゃんの声が一番うまいなと感じたのはシュウ役の細谷さんでした。声色高くするのうめぇ。

・トランペットの意味
某曲の前奏で聞いたことあるなぁが正直なところだったあの曲、ヘンデル作のオペラ、リナルドから『私を泣かせてください』ですね。
身勝手な理由で攫われてきた女性が自由を願い歌うというものですが、恐らくここではコンテナの彼らへ捧げられた曲なのでしょう。

どうか泣くのをお許しください
この過酷な運命に
どうか自由にあこがれることをお許しください
わが悲しみは、打ち続く受難に鎖されたまま
憐れみさえも受けられないのであれば

Wikipedia 私を泣かせてください

その他の皆さん

・カルメンさんかわいいやったー!
飲み明かした次の日の酒やけでガッサガサボイスになってたカルメンさん可愛すぎる。

・アレックスかわいいやったー!
前作ラストから心配してたけど前向きに生きててとても嬉しい。またパライソガレージの中で笑えて良かった。
受け入れるまでカルメンさんの中でどれだけの葛藤があったか想像も付かないけど、それでも一緒に生きることを選んでもらえたんだから、アレックスも嬉しかったろうな。幸せになってくれ。

・ウォッチャーどこへ行く
多分メインキャラの中では一番救いが無かったというか、まだ解決してないというか。ただ彼に関してはもう全て終わってしまった存在でもあるのかなとも。
結局本名分からなかったけど、もしかしたらそもそも無かった可能性もあるなとも。
死に損なった後に何を思って生きるんだろうとも。
なんにも分からないけど、ただ静かに眠れるようになったことだけは唯一の救いであって欲しい。

・ヤン結構フレンドリー
思ったより受け入れてくれてて驚いた。なんならシュウとも距離置くかなと思ってた。
人間くさくなって親しみ安さが出ていい感じ。意地の悪い言い回しをする辺りシュウと兄弟だなぁとにっこり。
なお敵に回したくはない。

・シュレディンガーのアダム
希望的観測だけど、季節や過去に関係する文面しか書かれない=もういない、とはならないはず。
多分書き溜めておいて月ごとに送ってもらってるのでは?
まだ希望はある。

・テウタちゃんご両親
どう絡むのかと思いきやばっちりご挨拶だった。良い両親だな。
ママと話し方が似てたりパパと根っこが似てたり、血と愛されて育った時間を感じた。

せっかくだから言っとけ

・攻略ルートどこですか勢の皆さん
最低なこと言えばグエロさん既婚者ではなく男寡ということになるので新キャラの皆さんルートいけるのでは?
違う主人公でサイドストーリーとしてなら各キャラ1本書けますよminetakaさん!

・ヘルベチカの髪
ぶっちゃけすめらぎ先生の絵が可愛すぎて黒髪全然イケる。短めテウタちゃんもかわいい。

・ファンブックありがとう
イラスト片っ端から&ボイスドラマ書き起こし&とんでもねぇ量のデータまとめ&minetakaさんのコメントいっぱい。ありがとう。
各キャラの声優さんの演技についてまでコメントしてくれるファンブック初めて見た。たすかる。
あと前回の感想でごちゃごちゃ語った名前の由来についても触れてくれてた。半分くらい当たってたっぽい。
リンボは素直に中間とか不確定の意だったね。恥ずかし。

・個人的に感じたテーマ
全てのルートに『被害者から加害者になった者』と『加害者でありながら被害者になった者』が出てきたのにお気付きだろうか。
見る側面や動機で簡単に立場は裏返る。被害者は報復の元何をしても許されるのか?加害者の痛みは応報の元無きものとして扱っていいのか?
直接的に手を下さなければ罪にならないのか?死で贖えば罰足りえるのか?
弱者に際限はなくていい?強者は抑制され続けるべき?
善悪、白黒の一言で括れない全てに於いて、考える事を放棄することだけが明確な終わりだと信じたい。

最後に

・No silver bullet.
ボリュームがものすごくて読むの大変だったけど、読み終わるのが寂しくなるほどの人の息遣いや鼓動を強く感じる物語でした。
かなーり重たい、かつお手軽に触れると荒れるようなテーマにガンガン踏み込んで『あなたはどう思う?』を問うてくる、人の世に向き合う真っすぐな作品で、私自身の視野や考え方に大きな影響を得られたような気がします。
『変わるか、終わるか』とは単純な Change or die ではなく、選択そのものへの問いかけだったのかなと。私はそう捉えました。
あなたはどうでしょうか。

まだまだ残る謎や問題があるということは続編があるということなのでしょうか。
またニューシーグで皆さんに会える日を心より楽しみにお待ちしております。

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