見出し画像

セミナーと体験で理解を深める!アクセシビリティ

こんにちは。LINEヤフーコミュニケーションズ クリエイティブ部 デザインチームの佐々木です。

先日、LINEヤフーのWEBアクセシビリティチームの方を招いて勉強会を行いました。今回は、当日の内容や視覚障害の体験ツールを使用してみた感想などをお届けします。

デザイナーに限らず、サービスデザインを企画するプロダクトマネージャーや、バナーデザインに関わるマーケティング担当者の方にもおすすめの内容になっています。ぜひご覧になってください。


開催した背景

私の所属するデザインチームでも、WEBデザインやアプリのUIデザインにかかわり、アクセシビリティの知識を深めたいと考えるメンバーが増えてきました。とはいえ、まだまだプロダクトデザインの現場においてはその重要性を理解されないこともしばしばあります。

アクセシビリティを推進していくメンバーを創出していきたいという思いとともに、体験ツールに触れる機会を通して、アクセシビリティをより”自分ごと”に感じてほしいと思いました。

登壇者の紹介

今回、メインで進行してくださったのは、LINEヤフーWEBアクセシビリティチームの中野 信さん。

長年ヤフーでアクセシビリティ業務に携わり、デジタル庁での業務経験もある、いわばアクセシビリティのスペシャリストです。デザインメンバーとの交流機会を通じて、アクセシビリティを啓蒙する時間を作っていただきました。

登壇する中野さん

イベントの内容

「みんなのためのデザイン」の実現をめざす基礎知識

間嶋 沙知さんによる記事『「みんなのためのデザイン」の実現をめざす基礎知識』がアクセシビリティ理解の導入にぴったりということで、中野さんより記事の内容を紹介いただきました。

こちらは間嶋 沙知さんによる著書『見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン』の第1章をベースに構成された内容になっています。

・人が困る場面はなぜ生まれるのか
・困りごとを改善した先にあるもの
・困るヒトの理解を深めるためにできること

などなど、導入部分とはいえ障害やアクセシビリティに関して、固定概念や誤解にハッと気付かされる内容です。記事に書かれている様々な事例を通して、理解を深めることができました。

WEB、UI、バナー、LINE 公式着せかえ、LINE スタンプ… 様々なデザインに携わるメンバー

バリアントールつけて歩いてみた

色弱模擬フィルタ「バリアントール」とは、色覚特性を体験できるメガネのことです。

デザインチームのメンバーが実際に装着し、博多駅から自社オフィスまで歩いてみる体験会を行いました。その際の様子を動画で見ながら、実際に体験したこと、気づきなどを共有しあいました。

・(道を歩く)信号、標識などが認識しづらい

・(花屋の店頭で)自分好みのお花が選べない

・(広告を見て)食べ物が美味しそうに見えない

・(広告を見て)お肉が焼けているのか、生肉なのか判別つかない

・(飲食店にて)スイーツが何味なのか見た目だけではわからない

・・・などなど。

知識の中では文字情報の見づらさに限られていた色覚特性でしたが、体験を通じて予想もしない支障があることに気付かされました。食べもの関連での気づきが多かったのが意外でした。

飲食店の広告を見る様子。シズル感満載のお肉の写真も、バリアントールを通してみると…

ロービジョン体験キットで自分のデザインを見てみよう

参加したメンバー全員でロービジョン体験キットを装着し、視界がどう変わり、どう見づらいと感じるのか、実際に自分のデザインを見てみた感想を共有し合いました。

・「コントラスト低下」体験メガネ

・「視野狭窄」体験メガネ

・「中心暗転」体験メガネ

どの体験メガネでも共通して感じたのは、スマートフォンを利用することそのものの大変さです。自分たちの担当するサービスを利用するまでのハードルを直に感じることができました。制作を担当するものの範囲に関わらず、あらゆるタッチポイントでのアクセシビリティの配慮が必要だと感じた時間でした。

「コントラスト低下」体験メガネでスマホ見て、感想を語ってもらう

体験会をやってみた感想

アクセシビリティの基礎的な知識はあったものの、実際に体験してみると、まだまだ自身の制作物の中に配慮が足りない部分が多いことに気付かされました。

そして、自分自身は障害とは無関係で、どこか他人事のように感じていた部分もあったのですが、歳をとって視力が低下し、自分が当事者になった時のことを思うと困る場面が容易に想像できました。メンバーの一人が「この経験は、老後の先行体験ですね」と言っていたのが印象的でした。

終わりに

アクセシビリティという単語を聞くと、専門的な分野のことなのかと想像してしまいますが、すべての人間が関係している物事なのだと改めて考えさせられました。

今回のセミナーのあと、コントラストや色覚特性に問題がないかチェックするソフトを導入しているメンバーもいました。継続した取り組みが重要だと感じています。

デザインチーム以外からも参加者が多く、関心の高さが感じられた

ご覧いただきありがとうございました。