「自立のトリセツ」を子ども本人も親もつくる、という意識 ~病気を持つ子を育てる親の会にて~
『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』著者のライチです。
出版後、さまざまなところでご縁をいただき「思春期」についての講演・講座をさせていただいています。
先日は、小児慢性疾病の子どもを育てる親の会・神奈川県域支部で行われた教育懇談会にて、オンラインでお話させていただきました。
「大人になるということ 思春期から自立へのサポート」と題し、子どもの発達と関わりの変化や、思春期の意味、その時期のコミュニケーションのコツなどをお伝えしました。
少人数での懇談会でしたので、おひとりずつの関心事についても事前アンケートや当日の対話の中で出していただき、それぞれお話しできました。事後アンケートでは、「子どもが大きくなってくると、なかなか親同士の交流が少なくなってくるので、よい機会でした」とのお言葉をいただきました。少しでもお役に立てていたら嬉しいです。
お子さんが病気や障がいを持っている/持っていた場合、保護者のサポートは多く必要になります。あまたのご心配・ご苦労を超えての今。まずはここまでの成長に労いと祝福を、ご家族とご本人にも贈りたいです。
そのうえで、あらためて目指すところは、この子の自立。そう意識を切り替えると、どういう状態が浮かんできますか?
【体調や体質、症状を本人が自分のものとして理解・把握し、気に掛け、必要な時に同行者や医療者などに説明し、必要な助けを求められること】
例えば、こんなふうに定義してみるとどう感じますか。ぜひお子さんとも話し合ってみてください。
保護者が管理してきたことを、自分で管理・自己決定する。このような言語化されたゴールをお子さん本人と共有できると、日常の場面ごとに何を確認しあえばよいかがわかりやすいですね。
タイミングや、やり方、経過については、きっと百人百様の【自立のトリセツ】があることでしょう。親にとっても子にとっても。
自立心の芽生えてきた子どもにとっては、心配されることが「信頼されていない」と感じられることがあります。そこに反発して、体調不良をおして無理してしまっては本末転倒です。「あなたが自分で自分を心配できるようになったら私は安心して見守ることができる」と伝えると、「自己管理できると自由は増えていくんだな」と予測がついてくるでしょうか。これも、いろんな言い方で言い続けて、あるとき急に理解するとか、急にやる気になる、などタイミングがあると思うので焦らずに…。
また、親から見て大丈夫そうなのに、子ども本人が自分の体力などに自信が持てず何かにチャレンジできない場合もあると思います。そんな時も、どんな症状、体感になったら何をするか、の対処の度合いとバリエーションを自分でつかんでいくことが大事で、今は「練習期間」だから、いつでも中断して大丈夫、手伝ったり迎えにいったりできることを伝えて、少しづつ経験や頼る相手を増やしていくことができるといいですね。
身体の病気について私は何の専門知識もなく、ずっと寄り添ってきた親御さんのほうがお詳しいはずですし、こうした当事者会での交流も、みなさんのご経験からの情報共有ができてとても価値ある活動だと思いました。
思春期という新たな成長のステージにおいても、会をはじめ、横のつながり、ななめのつながりを活用しながら、社会で子育てしていけるのが理想的ですね。
今回、私は多くの方の子育てのお話を聴いてきたカウンセラーの立場から、「思春期のコミュニケーション」を中心にお話しさせていただきました。私自身もあらためてさまざまな状況で迎えられる思春期について考える機会となりました。
ご縁をいただき、ありがとうございます。
心配を信頼に代えて、思春期という大切なときを、関わる人びとと手をつなぎながら過ごされますように。
きみトリプロジェクトでは、著者による講演や、ワークショップなども承っています。各著者までお気軽にお問合せください。