学校における食の安全確保!広東省が全国に先駆け100%達成!
《 福福の知りたい広州!vol.3 》
こんにちは。福福です。
『廣州日報』2021年1月19日「广东学校食堂“互联网+明厨亮灶”全覆盖」(広東の学校食堂“インターネット+オープンキッチン”フルカバー)の記事より。
広東省市場監督管理局によると、広東省は昨年11月30日までに、全国に先駆けて省内28,700全ての学校食堂の“インターネット+オープンキッチン”化を達成した。
省級の学校食堂では、“インターネット+オープンキッチン”スマート監督管理プラットフォーム構築を推進し、食の安全について次のような監督管理を実施している。
・省内各地の学校食堂の管理監督データ収集
・運営状況をリアルタイムに抽出、調査
・学校給食の調理過程におけるリスク分析
・違反行為に対し、AI識別及びリアルタイム撮影
また、関連システムの構築も進んでおり、現場の潜在的な危険の発見や解決のサポート、人手不足や過重業務の解消などにおいても、監督管理効果を高めている。
2020年12月末までに、全省各地の巡回調査で発見された問題は11,815件で、期限付きの改善通知書は4,875件、改善の督促を受けた学校食堂は3,240カ所であった。
広東省は、学校食堂でのこれらの取り組みを参考としながら、今後はデリバリー専門店や大企業の食堂などを中心に、“インターネット+オープンキッチン”導入によるスマート監督管理を推進していくとしている。
福福より☺
今回「オープンキッチン」と訳した「明厨亮灶」とは、消費者の食の安心感向上を目指し、国家食品薬品監督管理総局が2015年から展開するプロジェクトです。具体的には、食品を扱う厨房などの様子を、ガラス窓やモニターなどをとおして消費者に見せることを推奨するものとのこと。
「明厨亮灶」で厨房の透明性を高めるだけでなく、「互联网(インターネット)」をプラスし、様々な事項をデータとして可視化して監督管理することで、人々の関心が高い「学校での食の安全」を確保した意義は大きいと感じます。
別の記事で目にしたのは、そのスマート監督管理の徹底ぶり。
学校食堂管理者の携帯電話には「明厨亮灶アプリ」がインストールされていて、開くと、早期に対応が必要な事項一覧が表示され、直ちに対処へ!
全省の学校食堂の膨大なデータをとおして蓄積された様々な事例は、次々に反映され、学校の食の安全が確保される一方で、学校食堂の管理体制が一定の軌道に乗るまでの関係者の睡眠時間の確保が気になる福福でした。
ライチ局長は、食の安全に関して、市井の飲食店の変化を感じることはありますか?
ライチ局長より
これは、2015年から中国政府が進めている「インターネット+」の政策の延長線上にある話ですね。「インターネット+」とは、インターネットと他の産業を掛け合わせることで、産業の更なる発展や新たなイノベーションを進めていこうというものです。
この背景にあるのは、中国社会があまりにも急速に発展したが故に、至る所に不完全なシステムが残っていたということがあります。例えば、日本でも話題になった食の安全にまつわる数々の話。日本では「中国産食品に気をつけよう!」ということで終わりましたが、中国人にとっては、政府や業界団体が行う食品衛生管理が全く信用できないものであったことが露呈した出来事であり、それは日本人のそれとは比べ物にならない程に切実でシリアスな問題だったわけです。
こうした数々の課題を「インターネット+」で解決していくことが、中国の近年のハイテク技術の大躍進に繋がっているといっても過言ではありません。
今回の記事にある学校の食堂は、厨房が見えない作りになっている所も多く、保護者からしてみたら、きちんとした食材を使って、衛生的な環境で作られているのかどうか不安だ、という課題があったわけです。
そのため、今や食品のトレーサビリティに関してはかなりのレベルで進んでいますし、「明厨亮灶アプリ」のようにリアルタイムで可視化し、管理することが可能になることで、かつてのように、「見えなければ何をしても大丈夫」と言った感覚は淘汰されつつあります。
この点に関しては、実際のシステムに対する信頼性や、監視社会などと揶揄される管理システムの是非が重要なのではなく、「これで市民が安心感を得ることができる」ということが何よりも大事なのだと思っています。つまり、ここに政府がかけているコストは、失われた食品衛生管理に対する信頼を取り戻すためのコストです。
日本で給食センターの運営管理をIT化すると言っても、衛生管理に関する課題認識が中国ほど大きくない分、費用対コストが合わず、早急に導入ということにはなりにくいと思います。
しかし、中国の食品衛生管理が劣っていたが故に、学校給食運用システムが急速に発展し、調理現場の「見える化」に関して新しい取り組みがたくさん生まれている。日本人が今の時点で押さえておくべきポイントはこういうことなのだと思いますね。
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