LINE公式アカウント企画室長の妄想日記➂――メッセージ配信のすごさを伝えたい
LINE公式アカウント企画を担当している企画室 室長の門田勘太朗です。
本コラムでは、LINE公式アカウントの企画チームが描く妄想劇場を発信していきます。
前回の記事はこちらをご覧ください。
今回はLINE公式アカウントの中核を担う機能の一つ、メッセージ配信の「効果」にまつわる妄想と、配信効果を計測するための「分析機能」の誕生秘話を紹介します。
メッセージ配信の効果を伝えるには?
「やはりメッセージ配信がLINE公式アカウントにおいて一番破壊力のある機能、この機能によってオーナーさまのビジネスに貢献できていると言っても過言ではありません!!!!」
私がLINEに入社した2018年頃はそうした主張がありましたが、当時の私はそれを聞いてこんな妄想をしていました。
いや、クリーニング屋だったんかい!!!
飲食店感出してたやないかい!!!!
クリーニング屋なら雨の日が続いた方が客足増えるんじゃないんかい!
言葉の「定義」にまでこだわり抜く
話を戻します。
実際に新しいツールを導入する時って、色々考えて二の足を踏みそうだよなあという感覚があります。なおかつ、私が入社したタイミングから料金プランもリニューアルをして、現在はプランごとに決まった数以上のメッセージを配信する場合に費用が発生する従量課金制の仕組みになっています。
つまり、メッセージ配信にかかる費用以上の価値をビジネスオーナーさまに提供する必要がある。では、その効果をどうやって伝えていけばいいのか。街の全クリーニング屋に熱く説明をしにいけばいいのか。
「LINE公式アカウントのメッセージは読まれるんです!配信すれば、みなさんが出し忘れていた冬物のコートを持って来てくれます!LINE公式アカウントのメッセージでクーポンを配信すれば、衣替えの前に一気にクリーニングだしちゃうか!ってテンションになります!」
しかし、これを一人ひとりに伝えていくのには限界があります。
LINE公式アカウントのリニューアル直後はまだ分析機能も発展途上で、メッセージ配信の効果をビジネスオーナーさまに十分に伝えられていない状態でした。
それでも、メッセージの価値を主張する同僚一人ひとりを問い詰めていこうか悩んでいた時に、「分析機能」の企画を担当していたメンバーから自信満々の言葉を聞きました。
「あ、それでしたら、Message Event Trackingできるようにしますよ」
「……あ、はい、そうなんすね」
めっせーじいべんととらっきんぐ?
あー、あれね、メッセージのイベントをトラッキングするやつね。
いいよねー、あれ、本当にいい、なんなら肌にもいい。
朝はやっぱりシリアルとメッセージイベントトラッキングだよね。
「あ、Message Event Trackingってなんすか?」
「ああ、配信したメッセージの開封数とか、もしメッセージ内にリンクを貼っていた場合、そのリンクがクリックされた数とかを見れるようにしようかなって」
最初っからそう言えや!なんやねん、”Message Event Tracking”って!かっこつけんなや!これだからITの人は!全然クリーニング屋の気持ちになれてない!
「それ、めっちゃいいすね。メッセージ配信効果の証明になるじゃないすか」
「え?あ、はい、そりゃあないと難しいですよね。メッセージ配信で課金していただいているから」
いや思ってたんかい!
言って!仲間はずれにしないで!淡々と喋ってないで!言葉にしてくれないと分からないタイプ!察するのって難しいから!気持ちを表現するために言葉ってあるから!人類の大発明だから!
そして「めっせーじいべんととらっきんぐ」という名の開封数とクリック数(ちなみにあと動画の再生数とかも)を取得するプロジェクトが始まったのです――。
「便利」とか「効果がある」とか「全米No1」とかの言葉の実態がどういうことなのかを伝えるのは本当にとても難しいです。とても難しいのですが、その可視化にこだわり続けることで、使ってくださるビジネスオーナーさまが「次、なにをしたらいいか」が分かること。
これが分析機能の実現を妄想する時の一番のポイントであり、もし、そういう使い方をしてくれていたら我々も全米No1級の喜びです。
このプロジェクトでも、言葉はとてもシンプルに見えますが、例えば「開封」をどう定義するか?非常に難易度の高いプロジェクトでした。
メッセージを開いただけでいいの?吹き出しがスマホ画面の中に収まってなくても見たことになるの?それって本当に見たって言えるの?でも興味持って開いてくれたんだし、全部見えてなくてもいいんじゃない?ってか「開封」って言葉でいいの?
本当に正解のない、人によって定義が異なる世界です。決め打ちすればいいって人もいるとは思いますが、こだわることがビジネスオーナーさまのビジネスの成功に直結します。
分析機能の企画リーダーは目を血走らせながら、思いつく限りの「開封」の定義を一度全部集計して比較するプロセスをとりました。その結果、自信をもって「開封」は定義されていったのです。
もう一点、数字を出すということは当たり前のように聞こえますが、その数字に「責任を持つ」ということです。
そのサービス品質の担保ももちろん本気です。そこが誤っているだけでビジネス判断を間違えることにつながると思っています。「あのー、数字ずれてるんですけど」は世界三大聞きたくない用語の一つです。妄想するのも嫌な問い合わせです。
我々企画メンバー、および開発メンバー、品質担保メンバーは一体となって死に物狂いで日々向き合っています。
そして、言葉の定義とサービス品質担保と日々戦い続け、1年がかりのプロジェクトは2019年にリリースされました。
これで!あのクリーニング屋も売上拡大間違いなし!間違いなし!
これからも、皆さまに「次、何をすべきか」を伝え続けるために、我々の思いと妄想を分析機能にのせていきたいと思っています。