LINE広告における自動入札機能の攻略方法
皆さんこんにちは!
株式会社オプト アカウントプランナー 兼 株式会社アッカーマン 代表の野嶋友博です。
LINE Frontlinerとして、今までLINE広告に関する記事を数本執筆しています。
最近はLINEを活用したマーケティング手法に関するお話や、特定の業界に特化したLINEの活用方法などの寄稿が多かったのですが、今回は久々にLINE広告の運用手法について解説したいと思います。
テーマは『LINE広告における自動入札機能の攻略方法』です。
1.自動入札機能とは~機械学習を上手に扱う~
自動入札機能とは、広告運用担当者が設定した内容に基づき、インターネット広告の入札単価を自動で調整することができる機能です。
自動入札機能を上手に扱うことは、広告成果を向上させる上でとても重要です。
「誰に」「何を」「どのように配信するか」を設定し、広告を配信する運用型広告において、「誰に」「何を」の設定は、自動入札機能における機械学習の精度をいかに高め、使いこなすことができるかという考えが主流となっています。
では、「誰に」「何を」配信すべきか?は、何によって決定されるのでしょうか?
それは言わずもがな、過去の広告配信期間における実績です。この実績から自動入札機能における機械学習の精度を高めていくことが、自動入札機能を上手に扱うための基本ステップとなります。
そのため、企業様のサービスや商品に興味・関心のあるユーザーに対して、的確な広告配信を行い、実績をため、ユーザーのニーズに則した訴求を行うこと(自動入札機能の機械学習に対する精度を高めていくための工夫)が、我々広告運用担当者に求められるようになりました。
これについては、以前私が寄稿した下記記事においても同様の内容に触れています。興味のある方は読んでみてください。
2.LINE広告における自動入札機能の特徴
では、LINE広告における自動入札機能とはどのような特徴があるのか、ご説明します。
① グループ単位で40件が必要学習ライン
「誰に」「何を」を配信するか、自動入札機能の機械学習を上手く活用するために必要なコンバージョン数は、グループ単位で40件、といわれています。この40件を担保するまでは、一定期間広告効果が低い状態が続く可能性があります。この学習ステータスは管理画面上で確認することができます。
② 枠×人で最適化される
LINE広告には様々な広告掲載枠がありますが、この枠ごとの配信指定はできません。そのため、自動入札機能では、どこの掲載枠にいる、どんな人であれば広告にリアクションがされるのか、を学習していく形となります。
広告掲載枠に応じて広告の露出のされ方は様々ですので、クリック率やコンバージョン率の水準もどの配信面に広告が表示されるかによって大きく異なることが想定されます。
③ 変動が大きい
上記2点にも関連する部分ですが、40件の実績ができた後も、自動入札機能の機械学習はアップデートしていく必要があります。これは掲載枠の変化や、各LINEサービスの利用ユーザーの変化など様々な変動によって、常に「誰に」「何を」広告配信していくべきか変化していくものだからです。
40件の実績ができたからといって細かいチューニングが必要ない、という訳ではないので注意が必要です。
3.自動入札機能を活用する時のポイント
LINE広告における自動入札機能の特徴を前提に、どのように活用すべきか、ポイントを3つ解説いたします。
① コンバージョン率の近いセグメントでグループをまとめる
グループ単位で40件が機械学習完了の必要件数であると前述で説明しておりますが、そのため、グループは40件が確保しやすい設計にするためにも、年齢や性別などで細かくセグメントを切りすぎないことを推奨します。
極論、1グループだけで広告を配信することができれば、機械学習の観点では最良と言えます。しかし、クリック率やコンバージョン率の異なる各セグメントをひとまとめにする対応はなかなか難しいと思います。
そのため、グループは可能な限り1つにまとめることを心掛けた上で、コンバージョン率の近しいセグメントをまとめ1グループとすることをオススメします。
例えば4つのセグメントが、それぞれ以下のようなコンバージョン率であったとします。
当然コンバージョン率が高いセグメントBとCに広告予算を多く配分することを優先すると思うのですが、同一のセグメントに複数回にわたり同一の広告を配信することはユーザーにとって好ましくなく、広告効果も悪くなります。そのため、可能な限り広いオーディエンスを設定することが大事です。
そのため、上記のようなケースではコンバージョン率の近い
をそれぞれ同じグループに取りまとめ、機械学習を進めていくことを推奨します。
② 管理画面上のコンバージョンと計測コンバージョンの一致率を加味してチューニングを行う
(※管理画面上のコンバージョン=媒体タグで計測し広告管理画面で表示されるコンバージョン/計測コンバージョン=計測ツールタグで計測し計測ツール上で表示されるコンバージョン)
現在、3rd Party Cookieを計測するためのツールを導入しているインターネット広告利用企業様は多いのではないでしょうか。この計測ツールでの成果数をKPIとして広告運用を行っているケースは少なくないと思います。
このケースの際、広告管理画面上に表示されるコンバージョン数と計測ツール上で表示されるコンバージョン数に差が生まれることが多々あります。これは主に計測ツールと管理画面の計測定義の違いによるもので、一定数は仕方ないものと捉える必要があります。
このコンバージョン数の乖離を加味した上で、広告管理画面で正しく入札価格設定をする必要があります。
ここまでは広告運用をご経験されている方にとっては当たり前のお話かと思いますが、私はその上でOS別に綿密な入札価格調整をすることを推奨しています。
端末の仕様上、iOSとAndroidではコンバージョン数の乖離幅が大きく異なります。その要因については割愛しますが、一般的にはAndroidの方がこのコンバージョン数の乖離幅が大きいです。
つまり、Androidにおけるコンバージョン数の計測では、広告管理画面上で確認できるコンバージョン数よりも、計測ツール上のコンバージョン数の方が極端に少ない、ということが多々発生します。
このOS別のコンバージョン数の乖離幅は、広告フォーマットや遷移先ページの設定、計測ツールの種類によって異なります。
そのため一定期間配信をした上で、OS別のコンバージョン数の乖離幅を確認しつつ、グループを切り分けたり、入札価格調整の傾斜をかけたりなど、チューニングすることが非常に大切です。
③ ターゲットの誤認定を意図的に緩和させる
最後に、“機械学習によるターゲットの誤認定”について説明します。
繰り返しになりますが、LINE広告における自動入札機能の機械学習を上手く活用するために必要なコンバージョン数は、グループ単位で40件です。
最初の40件で「誰に」「何を」配信すべきか判断して広告を配信するため、その40件が意図と異なるコンバージョンになってしまった場合、誤った学習をされてしまう懸念があります。
例えば、20代前半の男性向けにコスメ商品の広告配信を行う場合、最初の40件は、20代前半の男性デモグラフィックで構成することが重要です。
しかし、思いのほか女性のユーザーが多くコンバージョンしてくれた場合、最初の40件は20代前半の女性デモグラフィックで構成されることとなります。
このグラフィックを学習した自動入札機能の機械学習を活用して広告配信を行うと、20代前半の女性を中心に広告配信を行うことになってしまいます。これは商品のターゲットと広告配信のターゲットがあっていない状況だと思います。
また20代前半の男性向けのコスメ商品であっても、最初の40件が20代後半の男性デモグラフィックで構成されていた場合も、20代前半男性への配信機会は極端に絞られることとなります。
このように、広告を届けたいユーザーに対し、思ったように広告配信ができない状態が続いてしまうことを“機械学習によるターゲットの誤認定”、と私は表現します。
このターゲットの誤認定を解除し、商品を使ってもらいたいユーザーに対して適切な広告を配信する機会を取り戻す一つの方法として、「グループの再入稿を行うこと」があります。
グループの再入稿とは、配信設定が同じ広告グループを新たに入稿することを指します。
LINE広告の自動入札はグループ単位で機械学習が発生するため、同じターゲット設定であったとしても別のグループで配信することで学習をゼロスタートに戻すことができます。これにより、一度誤認定されたターゲットを、学習をし直すことができます。
一方で、この原因がターゲットの誤認定によるものなのか、クリエイティブがユーザーの嗜好に沿っていないのか、その他の問題があるのか、モニタリングをしながら判断をしていくことが必要です。
なぜなら、リセットされた広告グループにおいては、本来意図しないユーザー(先ほどの男性コスメの例であれば女性など)への配信機会にもなってしまうからです。
少し小難しい話が続きましたが、自動化が進むLINE広告においてあるべき運用方法が毎年変化しているため、2022年初旬のこのタイミングで詳細に説明をさせていただきました。
今回は以上です。