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2025.02.23 祖父と私
Twitterに残すには長くなりそうなことをどこかに置いておきたいのでnoteを始めました。
読んでも読まなくても大丈夫です。
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【祖父】
去年、90年の人生の中で初めて入院したという祖父に会いに宮崎へ初めて行く機会があり、先日その祖父が霊山へ旅立ちました。
祖父は絵を描くのが若い頃から大好きで、入院する前は通っていた絵画教室も協力してくれて個展などひらいていたようです。本当なら大学に行って絵を学びたかった祖父です。地元の新聞にも載ったんだよと自慢げだったのをよく覚えてます。
私も幼く物心ついた頃にはお絵描きばかり一生懸命やっていたものですから遺伝のようで不思議だなといつも感じます。
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【帰省】
私は昨夜から実家に帰ってきています。
大して遠くもない実家へやれやれやっとかえってきまして久しぶりに脚を伸ばせる温かい風呂から上がりダラダラしていたら、父から祖父の遺品であるクレパスとスケッチブックを受け取りました。
どちらもまだ殆ど未使用でした。祖父には家に帰ったら描きたいものがまだまだたくさんあったんですね。
祖父の家にある他の画材は絵画教室の先生が引き取ってくれることになっているそうですから、父の選択には本当に感謝しています。まだ新しいクレパスは、独特の油の香りがしました。
【祖父の暮らし】
伯母夫婦の家のすぐ隣に住んでいた祖父は戸建ての2階にアトリエを構えておりました。
もとは家業であった和菓子屋を継いで営んでおりましたが転職し、定年までタクシードライバーとして活躍した祖父。定年後は地元の幼稚園のバス運転手として採用され、リタイアしたのは70代後半。それからの祖父は半日かけて散歩(というにはかなりの距離のようでした)をし、出先でモチーフを見つけては絵を描くという日々を過ごしていたようです。タクシードライバーをしていただけあって運転はかなり上手かったようで、愛用していた中古車で様々な場所へ出向いてもいたようです。こうしてあちこち行きたがるのも私と似ていると思います。
完成した作品は別の部屋に置かれていました。油絵、色鉛筆で描いた絵、水彩画など様々で、モチーフも風景、人物、静物と様々ありました。
祖父は夜になると私の幼い頃や成人式の写真をよく眺めてはニコニコして、時には写真を撫でる姿が見られたそうで、あの大きく広く薄暗いアトリエ部屋でひとりそうしていたのかと思うと私に何かできることはあったんだろうかと考えます。会いたいと思ってくれていたのだろうと。しかし及ばない私に祖父に会いに行くということは、父に誘われるまでありませんでした。それでも祖父が生きてる間に会えたのは本当に良かったです。
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【麗かな季節】
昨年の春、およそ30年ぶりに祖父に会った時の、祖父が私を撫でてくれたこと、手が柔らかくて力強かったこと、その祖父が大泣きして看護師さんが慌てて飛んで来たこと、病室にいたみんなが泣いていたことを思い出しました。
会いに行ったその日の夜、祖父のスケッチブックを借りて1枚なにか祖父へ残して欲しいと父に言われて絵を描いたんですが、うっかりして祖父のスケッチの裏に描いてしまったんです。
で、昨日受け取ったのが実はそのスケッチブックでして、見返した時に「私がうっかりして間違ったなって思ったことはあながち間違いではなかったんだ」と感じました。祖父の作品の裏にある孫の私の作品はこれひとつだけ。それを祖父が見てくれたこと、私の手元に舞い戻ってきたことは私にとって嬉しいことでした。
祖父が描いた桜の木の色鉛筆の絵の裏には、私が鉛筆で描いたペンギンの絵があります。
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【何を描こうか】
スケッチブックは2冊、画材もふたつ受け取りました。うち1冊は思い入れがありすぎるのでおそらくこれから先なにか描くことは絶対にできないですが、もう1冊はまっさらでした。せっかくなので何か描いてみようかと考えてます。
アナログで絵を描いていた期間をデジタルで描いていた期間が上回ってしまい不慣れなこと、またアナログ絵に苦手意識もあるので上手くいくかは分からないですが、初めて触れる画材への期待もあり楽しみです。
祖父は何を描きたかったのか、私が残せるものは何か、よく考える機会にします。
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