#16 遠い星で、また会おう。
※この作品は、フィクションです。
次の日、部活の終わりに「英語の点数」の話題になった。俺は、いつも点数を友達に積極的に教えたりしない。みんなは、大きな声で自分の点数を言って、「洋介はどうだった?」と聞かれて、それに返事をするくらい。部活仲間は「さすが、洋介は頭いいなぁ。」と嫌味なく言ってくれていた。
「洋介、今回のテストどうだった。」
「実はさ、やらかしちゃって。」
「え、そうなの?」
「英語、46点だった。」
「マジ?!洋介がそんな点数取るとか、珍しいね。」
「英語の平均点、低かったんでしょ?たしか、45点くらいって聞いた。」
「いや、俺やったら46点でも嬉しいけどね。」
「大輔はいつも20点くらいだからね。」
「そうだろ?洋介、お前な、46点とか高得点、自慢すんな!」
「いや、どこが高得点だよ。」
「うるせえ!俺は18点だぞ!」
「いや、低すぎだろ!」
「でも、ウェドネスデイは合ってたよ。」
「何、ウェドネスデイって。」
「は?お前、水曜日の英語、知らないの?」
「それ、Wednesdayだろ。ウエンズデイな。」
「いや、Dの発音ないだろ。ちゃんと書いてある通りに言わなきゃだめだろ!」
「18点の奴が、Dの発音気にしてどうするんだよ!」
「うるせえ!俺はまじめだ!」
部活仲間でゲラゲラ笑いながら、学校を後にする。俺の点数に対するこだわりは、大したことじゃないのかもしれない。でも、さすがに46点は痛かったから、次の日からきちんと授業を聞くようにした。
英語の勉強の甲斐があり、期末では87点を取った。英語の先生から「結構難しく作ったつもりだったけど、よく頑張ったね。」と言われた。俺は、きっと、嫌いなものから逃げていただけだったのかもしれない。
小さいことを乗り越えると、小さな達成感があった。夏休みは、部活漬けで、楽しいことしかなかった。大会は、3回戦負け。だけど、友達とたくさん遊べた。
母さんは、夏休み、ほとんど家にいた。
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この物語は、著者の半生を脚色したものです。
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