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#46 遠い星で、また会おう。

※この作品は、フィクションです。




 児童相談所という建物に入った。少し広いロビーから左に入ると「○○県児童相談所」という簡素な看板が見えた。カウンターの向こうでは、たくさんのスーツを着た大人がデスクに座っている。訝しげな顔でパソコンを打っている人もいるし、電話で話をしている人もいる。コール音が鳴っては消えて、また鳴っている。みんな、楽しくなさそうだ。仕事だもんな。

 奥から、篠原さんがやってきた。

 「やあ。無事に移送できたみたいだね。」

 「特に問題ありません。お母さんから、保険証を預かりました。」

 「うん。じゃあ、受診券と措置決定通知書の作成は僕がやっておくから。後で確認してハンコだけお願いね。」

 「ありがとうございます。」

 すると、篠原さんが「栗原さーん。」と奥に向かって声を上げた。すると、ごちゃごちゃしたパソコンの中から、背の低い女性と若い男性の二人が立ち上がって、僕らに近寄ってきた。

 「こんにちは。」

 「…こんにちは。」

 「私は、心理士の栗原と言います。こちらは、同じ心理士の前田さん。」

 「こんにちは、前田です。」

 「私たちが、今から、君たちの『心理判定』の担当をします。よろしくね。」

 「はあ…」

 「洋介君の担当は栗原さんで、浩介君の担当は前田さんね。じゃあ早速だけど、お願いします。」

 松ヶ枝さんが「頑張ってね。」と言ってくれたけど、何を頑張るのだろう?

 心理判定室、と書かれた看板のところに来た。浩介は前田さんに連れられて、「判定室B」と書かれた部屋に連れていかれた。

 「じゃあ、洋介君は、こっちのAの部屋に入ろうか。」

 栗原さんが扉を開けてくれた部屋に入った。部屋の中は、ダイニングテーブルみたいなものが1つ、椅子が6つ置いてあった。一面真っ白な部屋に、油絵っぽい風景画が1つ、カレンダーが1つ、掛かっているだけ。母さんの病院の面会室のような感じがした。閉鎖的で殺風景で、閉じ込められたような気がした。


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この物語は、著者の半生を脚色したものです。




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