児童養護施設だけじゃない〜社会的養護が必要な子が生活する場所〜
こんにちは、ヨウです。
児童養護施設について、いつもくどくど書いていますが、それ以外にもいろんな施設があるんだぞ!というところを、紹介します。
参考資料↓
1.児童養護施設
児童養護施設は、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、家庭環境の調整等を行いつつ養育を行い、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援する機能をもちます。(資料より抜粋)
現在、児童養護施設は全国に600か所を超えており3万人近くの子どもが入所しています。
私が生活していたのも、児童養護施設です。現在も、社会的養護を必要とする子どもの大きな受け皿になっています。
2.乳児院
乳児院は、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設です。乳幼児の基本的な養育機能に加え、被虐待児・病児・障害児などに対応できる専門的養育機能を持ちます。(資料より抜粋)
乳児院は、基本的に満2歳未満の児童を預けることが出来ます。短期で一時的に利用する方も多いのです。
2歳を超えて、長期で入所が必要な児童については、児童養護施設に措置変更することが多いです。
3.児童心理治療施設
児童心理治療施設は、心理的・精神的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を行います。施設内の分級など学校教育との緊密な連携を図りながら、総合的な治療・支援を行います。また併せて、その子どもの家族への支援を行います。比較的短期間(平均在所期間2.1年)で治療し、家庭復帰や、里親・児童養護施設での養育につなぐ役割をもちます。また、通所部門を持ち、在宅通所での心理治療等の機能を持つ施設もあります。(資料より抜粋)
つまり、精神的な問題で日常生活に問題を抱えた子どもの治療をするための施設、と思ってください。児童養護施設と概要は変わりませんが、医学が絡むので、その分関係機関と密に連携しており、より手厚い支援が受けられます。
専門性が高いため、その分、児童養護施設よりも数はかなり少ないです。(全国に46か所)
4.児童自立支援施設
子どもの行動上の問題、特に非行問題を中心に対応する児童自立支援施設は、平成9年の児童福祉法改正により、「教護院」から名称を変更し、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」も対象に加えました。通所、家庭環境の調整、地域支援、アフターケアなどの機能充実を図りつつ、非行ケースへの対応はもとより、他の施設では対応が難しくなったケースの受け皿としての役割を果たしています。(資料より抜粋)
非行少年が入所する施設だと思えば簡単ですが、ここは少年院とはまた違います。少年院は教育機関で、児童自立支援施設は福祉機関です。非行等の問題行動が、家庭内の問題から起きている場合、児童自立支援施設を利用します。
5.母子生活支援施設
母子生活支援施設は、従来は、生活に困窮する母子家庭に住む場所を提供する施設であり、「母子寮」の名称でしたが、平成9年の児童福祉法改正で、施設の目的に「入所者の自立の促進のためにその生活を支援すること」を追加し、名称も変更されました。(資料より抜粋)
よく耳にする、「母子寮」がこれに当たります。DVから非難するシェルターとしての機能を備えているところが多いでしょう。
本来は母子支援なので、子どもの入所が中心ではありませんが、子どもが入所することには変わりありませんね。
6.自立援助ホーム
自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)は、義務教育を終了した満20歳未満の児童等や、大学等に在学中で満22歳になる年度の末日までにある者(満20歳に達する日の前日に自立援助ホームに入居していた者に限る)であって、児童養護施設等を退所したもの又はその他の都道府県知事が必要と認めたものに対し、これらの者が共同生活を営む住居(自立援助ホーム)において、相談その他の日常生活上の援助、生活指導、就業の支援等を行う事業です。(資料より抜粋)
自立援助ホームは「児童福祉の最後の砦」と呼ばれています(多分これで合ってたはず)。22歳まで入所できます。特に、高校や大学といった所属がなくても入所することができ、就職や自立の足がかりになります。
満18歳以降は、児相の介入なく、本人契約で入所できます(細かいところは割愛)。どこも小規模なので、合う合わないが色々あると思いますが…。
7.養育里親
近年、養育里親での養育を広げています。
養育里親は、すごーく簡単に言えば、児童養護施設の家庭版といったものです。一般家庭に里親登録してもらい、児童養護施設等に措置が必要な場合、養育里親に養育してもらうことができます。特別養子縁組とは、違うんです。
私がいた児相では、施設に交渉する前に、里親養育を先に検討するように指示されていました。子どもをより家庭的な環境で育てたいという厚労省の意向を踏まえた方向性です。
里親さんは、子どもたちの様子を、施設以上によく見てくださっていて、本当にありがたい存在です。ただ、日本では里親の認知度はいまだ低く、需要に対してまだまだ里親登録が少ないのが現状でしょう。
終わりに
私は、児相で働くまで、養育里親や自立援助ホームなどの存在を知りませんでした。児童福祉は、私たちの知らないところで、たくさんのニーズに合わせた支援ができるように広がっています。それでも、まだまだ制度や支援策は不十分。それほど、児童福祉は根が深くて厄介なやつなんです。
児童福祉って、「ビジネスにできないから、行政の支援に頼らざるを得ない」というところが、1番のネックなのかな、と私は個人的に思っています。
少子化が進んでいる中でも生まれてきてくれた子どもたち、未来の日本を作る子どもたちのために、行政には、子どもへもっともっと投資(教育、福祉)をしていただきたいな、と思う今日この頃でした。
今日はこの辺で。
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