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2024/6/30,7/6 NDT Japan Tour 2024

こんにちは!今日は6/30,7/6に観に行ったNDTこと、Nederlands Dans Theaterの来日公演について書きます。

NDTは名前の通り、オランダのダンスカンパニーです。バレエの古典作品は上演せず、ダンサーがトウシューズを履くことも恐らくないんじゃないかな?という、世界屈指のコンテンポラリーダンスのカンパニーです。

本日本ツアー、当初は1公演だけ観に行く予定でした。
しかし、高崎であった本公演のプレイベントにて、上演作品(全5作)の紹介を受けたらまんまと、「全作品観なきゃ!」という気持ちにさせられ、5作品を網羅できるよう高崎と横浜の公演に1回ずつ行くことにしました。
※今回は高崎、横浜、名古屋を巡るツアーで、1会場だけでは上演作品のコンプリートができない仕様でした。

結果、大大大満足!!!「観ておけば良かった」という後悔をしないがモットーです。
情けないことに半年前の出来事になりますので、メモを頼りに作品ごとの感想を。
※byの後は振付家の名前、()内は観た日付です。


Solo Echo by Crystal Pite(6/30)
クリスタル・パイト、コンテンポラリー作品ではよく聞く名前です。
7人のダンサーで、ある人物の人生を描くというストーリー性のある作品。
隣の人が泣いていたみたいだけど、私は泣かなかった。ブラームスの曲がとても良くて心が安らぎ、ストーリーがあるからしんみりしました。
また、背景の降り頻る雪が素敵でした。


One Flat Thing, reproduced by William Forsythe(6/30)
フォーサイスは上述のクリスタル・パイト以上によく聞く名前。Blake WorksというJames Blakeの曲を使った彼の作品群は、多くのダンサーにとって是非とも踊りたい憧れの作品であるようです。

長机を使用した所謂テーブルダンスの作品でした。テーブルダンスは、Kバレエで上演された渡辺レイ振付のFLOW ROUTEで観て以来。ヨーロッパといえば、のダンスと聞いたことがある気がします。

途中途中でダンサーが机の位置を微調整するところがあったりして、私たちが日常的に行うような動作が作品に含まれていることが面白かったです。
他には、真ん中のゾーンに別の動きをしている人達がいて、その左右にいる人同士が動きを合わせる必要のある時に、互いに顔を見合わせて動いている様子が印象に残っています。
カラフルな衣装は明白に「舞台作品」を体現しているのに、机を動かす大きな音もBGMとして捉えるなど、私たちの「日常生活」にある音や動作が作品の構成要素となっている。この対照性も本作の魅力なのかなと感じました。


La Ruta by Gabriela Carrizo(7/6)
こちらの振付家は初めて聞く名前でした。
既出のプレイベントで、本作は安部公房の『砂の女』に影響を受けていると聞いたので、しっかり予習して行きました!

蓋を開けてみると、想像以上にダンス作品というよりは演劇のような作品でした。
そして、演出がとても興味深かったです。
懐中電灯を2つ用いて自動車(のフロントライト)を表現。また、車が通り過ぎる様子には照明を使う。
今度はダンサーの身体能力を活かした演出。ダンサーが「巻き戻し」を体現。立ったまま上半身を一周させる。背面の柔軟性に驚かされました。

カーテンコールまで演劇らしく、それぞれの位置でお辞儀。2回目明るくなって、フォーメーションチェンジしてまた各々の位置でお辞儀。3回目1箇所に集まって肩を組んでお辞儀。
道具の使い方、ダンサー達の身体能力の高さ、演劇っぽさが印象的な作品でした。


I love you, ghosts by Marco Goecke(7/6)
ゲッケも聴いたことのある名前で、愛犬のフンに関する強烈なエピソードをお持ちの方。
振付は彼も彼でユニーク。
嘔吐しているかのような、ゾンビであるかのような「オエーッ」という動作があったり、客席に向かって口で「ブーー」(ブーイング的な?)としたりする。
また、ゲッケが愛犬家だからか、ダンサーが「ワンッ」と声を出す場面があったりと、コミカルなムーブメントのオンパレード。
舞台演出としては垂れ幕を使って動きを作る。その様はまさにゴーストのよう。
彼の作品は、ダンス公演をあまり観ない人も楽しめそうな作品だと思いました。


Jakie by Sharon Eyal & Gai Behar(6/30, 7/6)
シャロン・エイアールとガイ・べハールは初めて名前を聞く振付家でした。でも、この作品で虜に。

この作品は格好良すぎました。
最初は『アイランド』という映画を観た時のような気色悪さがあった。その後、観客である私が作品に馴染み、舞台上にも動きが出てきてからは釘付けに。
全員でルルベ(爪先立ち)をして微妙に動き続けるようなシュールさがある一方で、ビートを刻むムーブメントはスタイリッシュ。
この作品は、シュールでありセンシュアルでありスポーティでもある。

そして、プレトーク(上述のプレイベントとはまた別。公演当日の開演前にありました)で聞いた通り、結構バレエらしい動きが出てきた。
あと、ダンサーの皆様のお尻が格好良すぎて(いやらしい意味はなく本気で)、最近サボりがちなトレーニングを再開しなくてはと思いました。やっぱりヒップラインが出る衣装=服を着る時は、ティーバックに限るんだなと思いましたよ。

本作のみ2回鑑賞することができました。そして、2回目の鑑賞後、なぜリズムを刻んでいる動きに非常に魅了されたのかわかりました。
それは、身体の前面で出来る動きだけでなく、後屈等で後ろの空間も使って音を取っていたからだと私は解釈しました。
16人程のダンサーによる作品ですが、中でもEmmitt CawleyとAram Haslerという二人のダンサーに撃ち抜かれました。

Jakieのカーテンコール

本公演では日本人ダンサーが大活躍していました。
世界のあらゆる有名バレエ団にも言えることですが、NDTについてもやはり、知名度・技術力ともに世界一といっても過言ではないコンテンポラリーのダンスカンパニーで、3人もの日本人が活躍しているのが凄すぎる。

最後に全体を通して。
3月にノエ・スーリエのThe Wavesを観た時にも思いましたが、ヨーロッパのコンテンポラリーダンスは衣装からして性差を強調せず、それが本当に心地良い。
それだけでなく、振付の面でも、リフト等がないので本当に男性と女性が同じ役割を担っていると感じた。
そもそも、性差を強調しないからこそ、人間を描けるんだと思う。「生物としての人間の生々しさ」をヨーロッパのコンテンポラリーダンスから感じる。
また、背の高さはあまり関係ない。身体条件や肌の色等、それぞれの人が持つ個性を活かせる作品を上演するカンパニーだと感じた。
この点が今回特に感銘を受けた点です。

ここで述べた全作品の紹介動画がDance Base YokohamaのYouTubeチャンネルに上がっているのでチェケラッ!
https://youtube.com/@dancebaseyokohama?si=qWBhG2IcAbgH1Gh0

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