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【チェス】ブラックマー・ディーマー・ギャンビット探検隊

みなさん、こんにちは!
新企画「ブラックマー・ディーマー・ギャンビット探検隊」の時間がやってまいりました!

この企画は、普段僕が使っているBlackmar-Diemer Gambitというオープニングの棋譜を紹介して、いっしょにオープニングへの理解を深めていこうというものです。

ではさっそく行ってみましょう!

1.はじめに

ブラックマー・ディーマー・ギャンビットは、1.d4から始まるオープニングです。

1.d4 d5
2.e4

2.e4まで

クイーンズ・ギャンビットのようにポーンをぶつけていきます。
ですが、2.c4ではなく2.e4なのがポイント。
1.e4 d5のスカンジナビアン・ディフェンスに対して2.d4を指してもこの形になります。

2. ... dxe4
3.Nc3 Nf6
4.f3 exf3
5.Nxf3

基本図(5.Nxf3まで)

この形が、このオープニングの基本形です。

ここから黒の手がいくつかあって

5. … e6
5. … g6
5. … Bg4
5. … c6

などがあります。
僕の経験では、Bg4がくることがいちばん多いです。

2.このオープニングの特徴

展開の一例(11.e5まで)

上の図は、黒5. … e6と指した時の展開の一例です。

基本図からわかるように、白は1ポーン犠牲にした代わりに
展開でリードします。
すでにキャスリングの準備も進んでいますが、黒は駒の展開でいうと
まだまだ、といったところ。
この展開の差を詰められないようにしながら、キングサイドに集中砲火を
浴びせる、といった感じです。

短い手数で勝負が決まることが度々あり、攻め好きにはたまらない
ロマンある定跡だと思います。

3.こんな人に向いています(たぶん)

・攻めることが好きで、とにかく攻めたい人
・短手数で勝ちたい人
・クイーンズ・ギャンビットに飽きてしまった1.d4派の人
・スカンジナビアン・ディフェンスに対して変わった手で応じたい人
・とにかく相手の意表を突きたい人
・ブリッツやバレットで心理的優位に立ちたい人

4.このオープニングはここが難しい!

①とにかく忙しい
1ポーン損して始まり、このポーン損はすぐに取り返せないことが多いです。というか、ポーン損のまま素早く展開し、突き進みます。
ゆっくりしていると黒にしっかり守られてしまい、手がなくなってしまうことが多々あります。
ピースの効率的な展開や連携と、相手のスキを逃さない観察眼が必要かもしれません。

②変化が多い
基本形からの黒の手をいくつか紹介しましたが、他にも何種類かあります。
さらに、基本図になる前にも分岐があり、結構覚えることが多いです。

ちなみに、僕は全部覚えているかというと、
……もちろん、覚えていませんw

③簡単にトランスポーズしてしまう
このギャンビットに応じたくない場合、黒は2手目で選択権があって
2. … c6でカロ・カン・ディフェンス、
2. … e6でフレンチ・ディフェンスに変化します。

当然、これらの対策が必要になり、覚えることが増えます。

……

このオープニングを紹介すると、こんな感じです。

複雑、忙しい、覚えることが多い、と三拍子そろった
うま味のないオープニングという印象を与えてしまったかもしれませんが、
破壊力は抜群で、うまく決まったときの爽快感は特筆ものです。

また、先にも書いたように短い手数で勝負が決まることが度々あるので
短期決戦を望みたい方や、持ち時間の少ないブリッツなどの対局にも
おすすめです。

今後はシュリーマン・ディフェンス探検隊と並行して棋譜を紹介していこうと考えています。
どうぞよろしくお願いします!


《余談.この定跡の想い出》

この定跡と出会ったのは、いまから約20年前。
当時東京大田区の池上にあった、チェスセンターでのことです。

チェスセンターでは対局ができるほかに、チェスセットやグッズ、本などの販売コーナーがありました。
そこで売っている洋書をパラパラとめくりながら、指してみたい定跡や、
上達のために身につけたいテクニックを学ぶための本を探していました。

そこで出会ったのがこの本です。

↑2冊持ってます

初めて中身を読んだときは、とてもおもしろそうだと思った反面、
これは難しすぎて自分には覚えられないと感じました。
ですが、どれだけ時間がかかってもいいからこれを覚えて
試合で使ってみたい、という気持ちが勝って、購入に至りました。

買ってすぐ白内障の手術が控えていて、入院中に少しでも並べて覚えようと計画していましたが、いざ並べてみるととても難しく、とても覚えられそうにありませんでした。

※目の手術をするのに、目を酷使することを考えていた自分に呆れます。
僕は生まれつき左目が不自由で普段右目でものを見ているのですが、
その右目の手術で術後は何も見えず、目のガーゼが取れた直後に
無理矢理読もうとしたら

「まだ人生長いんだからもっと目を大事にしなさい。
右目が見えなくなったらとても困るでしょう」

と医師に止められましたw

……

退院した後、本当にゆっくりしたペースですが、読んでは指し、読んでは指し、少しずつ実戦で使うことで、初めは負けてばかりいましたが、徐々に勝つことも増え、いまではすっかりこの定跡の虜になりました。



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