蝙蝠と聖レオンハルト

 社畜が夜の川崎を歩く、残業に次ぐ残業ですこし気がくるっており、夜食を買うとかそういう理由をつけて、オフィスから抜け出してきたのだ。

 すると夜の川崎の暗がりから、悪魔崇拝デスメタルバンドのベーシストが社畜の前に現れた。悪魔崇拝デスメタルバンドのベーシストは言う

 「おまえスマホ持ってる?」

 スマホを持っていた社畜はかくして、悪魔崇拝デスメタルバンドのベーシストに連れられ、「聖レオンハルトの館」にたどり着いた。

 「聖レオンハルトの館」はラブホテルだった。支配人は牧師の格好をしている。社畜は「聖レオンハルト」をググった。家畜と妊婦と悪魔に取りつかれた人間にゆかりのある人物らしい。「聖レオンハルトの館」のロビーのソファーには妊婦が座っていて、この世の終わりのような声で泣いていた。「それじゃ、俺これからライブだから」悪魔崇拝デスメタルバンドのベーシストは立ち去った。

【続く】

 

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