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息子と受験と私(たち)①
【見出し画像の説明】
親として唯一やったことといえば、彼が小学生だったか中学生だったか、「友達がいない…」と言い始めた時に本を与えたくらいで。
そして、その本の著者である瀧本哲史先生が、のちに彼の人生に大いに影響を与えることとなるとはつゆ知らず。
息子を瀧本先生に会わせてあげたかったなぁ…。
その本の題名です。
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それは息子が高校3年の夏、三者面談から始まった…。
私は、初めてのガチの三者面談。
何を話していいかもわからず、何の準備もせずに臨んだ。
未だに何も分からん。
皆先生と何を話しているの??
時間が来て席に着くと、先生は、色々な書類を配布し、それらについての簡単な説明をした。
そして、最後に一番重要な志望校の確認作業へと入る。
先生が、息子が提出している志望校の一覧などをPCと代わる代わる見ながら、第一志望校についての息子の立ち位置について話し始めた。
「うーん、ギリギリかな。」
ギリギリ…。
このギリギリという言葉の持つ意味が、本当のギリギリなのか、息子にモチベーションを上げてもらうためのギリギリなのかが一瞬判断できずに息を呑んだ。
まぁ、この先生がサラッと言った感じからいって前半の意味が濃厚なんだろうけど。
この先生の説明をしておくと、明らかに聡明な人という感じ。
話す言葉に表裏が無く、ズバズバなかなか厳しい事は言うけれど、生徒の将来のことを一番に考えながら、生徒の未来に向けて言葉を選んで言ってくださっていると分かる、超信頼できる先生。
息子とも相性が良さそうだし、息子が2年の時にこの先生が担任になった時から、受験の年はこの先生に是非お任せしたいなぁと、思っていた。
だから、3年に上がって、この先生が担任になったと息子から聞いた時は大歓喜!!だった。
その先生が、ギリギリという。
表裏なしで。
カラットとしては、「ギリギリ」と言われたら即座に反応しなければならないのに!
そんな余裕は当然なくて!泣
私は、すっかり焦ってしまっていた。
もう、オタク特有の早口で先生に質問をした笑
「…先生、予備校とかに行かせた方が良いんでしょうか!?」
私のXを見た方はご存じかもしれないが、息子はド田舎の地元の塾(しかも一教科のみ)にしか行かせていない。
高校の立地が自宅とは離れているため、帰宅時間が遅くなるというのも理由としてあるにはあったが、一番の理由は、そもそもないのだ、予備校が。
そう、ド田舎には予備校に行くという選択肢すらない。
ド田舎のパボ野郎ー!!
いや、正確には1、2校(1校目の分校)だけあるにはあるのだが、やれ鉄緑会だなんだとか、よく都会にあるような立派な予備校ではない。
(なんかド田舎の予備校ごめん)
それでも、その予備校に通わせた方がいいのか藁をもすがる思いで尋ねた。
先生は、焦る私に、ちょっとばかり冷ややかな目をしながら、
「いや、行かせなくていいです。今までも(息子が第一志望にしている)大学を受験する生徒を見てきましたが、合格した子で予備校に行っている子はいませんでした。
そもそも自分で勉強ができる子でないと難しいです。
まぁ、その(今息子が行っている)塾には行っている子もいるにはいましたが…。」
先生が冷静に話す姿に、私は、すっかり叱られたような気がしてなぜかシュンとしてしまった。
そして、息子をチラッと覗き見る。
ギリギリと言われてショックを受けないはずはない…。
息子は何故かフグみたいな顔をして前を見据えて冷静にしていた…。
身長には行かなかった栄養素がこの顔と体に集まって、丸い。
その丸い顔に前に突き出した唇。
背筋はピンと伸ばしている。
(…え?なんだその顔…何を…考えてるの…??)
ちょっと、母には分からないけど、多分(多分)、落ち込んではいない感じ?
いや、落ち込んでるよね、知らんけど。
あ…!と思いだし、私は息子に話しかけた。
「○○大(第一志望ではない大学)の推薦は?受けなくていいの?」
息子の行っている高校にも私大の推薦枠というものがあった。
少し前に息子が「○○大の推薦かー。それもいいかもー。」とチラッと言っていたのを思い出したのだ、急に。
そういえば、急に話を変えるところもオタク特有だな(わたしだけ?)
ま、とにかく、国立がダメなら私大の推薦があるじゃない(byマリー風)という単純脳の母に聞かれた息子。
「あぁ!」
お、お、君も思い出したか?
「いや…」
い、いや?
ここで先生が、母の急な提案に呆れたように確認に入った。
「…どうする?○○大の推薦にする?」
先生と息子の顔を代わる代わる見る、私。
息子はいつの間にかニヤニヤしてた。
「いや…自力で行きます!!!(自信満々!)」
は??
聞いてた??
今さっき先生からギリギリって言われたよ?
もちろんその前に校内選考もあるし、必ずしも合格するものでもないんだけれど、母の心の安寧の為に受けてくれないかという自分勝手な提案は打ち砕かれた。
…しかし、なんだよその自信満々な答えかた…。
今さっきギリギリと言われた人間から出てくる自信とかある???
実は、この息子のたまーに空気が読めない感じが、私のツボで。
もう、この三者面談という場から最初から逃げ出したい私は、急に自力でどこに行くのか分からない息子が面白くなってきてしまって、つい先生の
前で笑ってしまった。
先生は、シャンとして、ニコリともしない。
そりゃそう。
すみません💦
と、ここらで時間一杯。
お開きとなった。
なーんの手ごたえもないが、淡々とオタク母の事を受け流しながら答える冷静な先生のおかげで、大したパニックも起こさずに済み、高校3年生最初の三者面談は幕を閉じた。
そして、頭の中にリフレインする「自力で行きます!!!」(マジでどこからその自信が出てくるんだよ…超面白い…この子面白い…なんなの…)
ありがとう、聡明な先生。
ありがとう、息子の丸い顔。
(ここでクプスの「うじさんのかおは、まるいです(日本語)」が脳内に流れた)
そして、結局どこを志望するかが固まっていないことに気付く夏…笑
受験まであと半年(くらい)。
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そして、ついこの前、共通テストの自己採点を終えて、また先生の「ギリギリ」をいただいてきた息子笑
先生、やっぱり本当のギリギリだったんですね笑
一生ギリギリ…笑
マジもんのギリギリ…。
時間も金もギリギリ…(私が)
ヨボセヨー!
Helloー!
もしもしー!(ギリギリに慣れてきた)
で、まだ志望校は決まっていないというね(白目)
また三者面談だよー!!!
どぉすんだよー!!!!!
(スングァンちゃんのずっとんだよー!の言い方で)
二次試験まであと一ヶ月(くらい)
【つづく(どんな結果が出ても)】