『非対称性の議論に関するメモ』の検討
便宜上、この記事では「非対称性の議論」の四要素の表記を統一して(1)~(4)と記述する。
顔アカウント氏の議論を踏まえると、(1)~(4)はそれぞれ以下のように改訂*される。
なお、以下に登場する諸種の「𝕏-的存在」については、すぐあとで説明が為される。
*この記事そのものも、折を見て改訂される。
改訂された(1)
現にある主体(現-的存在A)に「苦痛が生じる」ことで、この世界における苦痛の総量が多くなるので、悪い。
改訂された(2)
現にある主体(現-的存在A)に「快楽が生じる」ことで、この世界における快楽の総量が多くなるので、良い。
改訂された(3)
「苦痛が生じない」とは、「苦痛が生じ」うる主体(可能的にあるA)が存在する(有-的存在A)可能世界①(シナリオ①にあたる)と、そういう主体(可能的にあるA)が存在しない(無-的存在A)可能世界②(シナリオ②にあたる)を対比したとき、①より②の方が苦痛の総量が少ないということなので、良い。対して、(1)の主体が存在しない(空-的存在A)世界を想定することはできないことに注意されたい。
改訂された(4)
「快楽が生じない」とは、「快楽が生じ」うる主体(可能的にあるA)が存在する(有-的存在A)可能世界①(シナリオ①にあたる)と、そういう主体(可能的にあるA)が存在しない(無-的存在A)可能世界②(シナリオ②にあたる)を対比したとき、①より②の方が快楽の総量が少ないということなので、悪い。対して、(2)の主体が存在しない(空-的存在A)世界を想定することはできないことに注意されたい。
改訂された(1)~(4)へのセルフコメンタリー
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或る可能世界における裁判
殺人犯を断罪せんとする裁判において、「Aが殺されなければありえた未来の幸福(快楽の総体)がそこで奪われた」と述べられるが、それなら「Aが殺されなければありえた未来の不幸(苦痛の総体)がそこで取り除かれた」とも云えるのではないか。――殺人犯は救世主たりうる。
四種の存在に関する覚書
顔アカウント氏の議論に触発されて、四種の存在*に思い至った。ここにそれを書き留める。
*一部の語の表記をそのまま借り受けている。
⒈生前*:空-的存在
対比項なしの非存在。
言語で捉えることすらできない。
*云わずもがな、日常言語における「生前」とは異なり、これは造語である。
⒉原罪前:現-的存在
対比項なしの存在。
無垢。
私=世界としての存在。
「太初に無内包の現実性=〈私〉あり、ということに、言語的世界に参入したあとからなった*」と云われるときの〈私〉――すなわち前言語的世界内存在のこと。だがそれは、言語的世界内存在の眼に映る幻影である。
*「青い鳥構造(Blue Bird Structure)」における「始祖鳥」である。永井均 著『子どものための哲学対話』第3章2~5を参照せよ。
⒊原罪後:有-的存在
対比項ありの存在。
咎人。
言語的世界内存在。
「可能的にあるA」の顕在態。
開闢の原点でありながら、その内部にもまた位置づけられる存在であり、それは言語によって為される。言語を司るわれわれは尽く有-的存在である。
⒋生後*:無-的存在
対比項ありの非存在。
言語的世界内非存在。
「可能的にあるA」の潜在態。
言語で捉えることしかできない。
*云わずもがな、日常言語における「生後」とは異なり、これは造語である。
四種の存在の関係
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