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想定外を想定せよ。失敗学からの提言
過去の事故の要因分析を通じて、以降の再発防止を考え続けている畑村洋太郎さんの著書。
私が一番印象深かったのはJALの事故機を社内に保存してある、という事例。こうしたものを残しておくことは、事故の悲惨さを伝える、というもっともらしいきれいな言葉で語られますが、言葉で伝えるよりも、生々しい事実で視覚で訴えられた方が、人の記憶に残るし、財産になる。動態保存はそういう意味でも意味があるというところでした。
三井物産でも、過去の数値偽装の象徴ともいえる、DPFの実機を社内研修所に飾ったと、樋口晴彦氏の不祥事は財産だ、という本にも書かれています。不祥事からの学びを風化させずに財産にしていくために動態保存している企業はそう多くはないと思いますが、有効な策であることを、心していきたいなと思います。