2022年の記憶:音楽
2022年にリリースされた好きな音楽たち
2022年にちなんで22枚+αの感想文
だいたい聴いた順番に書いたので順位はないけど、一番聴いたし好きなのはLUDMILLAです。
時間かけて書いたり、読んで欲しいモノには画像を付けるのでこれからもよろしくお願いします!
(2023/03/14/27:22更新)
注釈のようなものをオマケとして足しました。
・Earl Sweatshirt『SICK!』
西海岸の大人気ラッパー、OFWGKTAの一員。
The Alchemist制作「Old Friend」、Earl sweatshirtの変名含む連名による制作、客演にArmand Hammerの二人を迎えた「Tabula Rasa」、Alexander Spit,Kgositsile(Earl Sweatshirt)制作の「God Laughs」みたいな近年のブーン・バップらしいドラムレスのビート、Black Noi$e制作「2010」、「Titanic」みたいな手数の多い808(?)ドラムが入り混じる感じが楽しい。「Titanic」では今まであまりやってこなかったような小節のケツにアクセントをつけるフロウをやってる。The Alchemist,Black Noi$e制作、客演にZeloopersを迎えた「Vision」、前述した「Tabula Rasa」、The Alchemist制作の「Lye」が特に好き。
・猫戦『蜜・月・紀・行』
「鶴」が一部で話題だった日本のバンド。
カッティングやメロウネス、8cmCDでシングルを販売していたり、どこか80'sっぽい要素が垣間見える。都会的な大衆音楽(シから始まるアレ。もはやその言葉を用いることすら何となく憚られる)がチラつきそうになるけど、10's〜っぽい歌い切らない感じとか一定の距離を置いてるように思う。食傷しない程度のメロウ。都会的な大衆音楽の影響を強く感じるバンドは嫌いなことが多いんだけど、猫戦は素直に聴けた。音楽は好きなだけで詳しくないので、純粋に曲が良いからなのか、歌詞がちょー好きだからなのか、やっぱり音楽的にも影響源が違うのか、、素直に聴けた理由は分からない。表記されていないが、シングルCDでリリースされていた曲たちは恐らく再録している。ミキシングやり直したのかもだけど、たぶん再録。
“手を繋ぐだけで焦るような歳"でも“お酒に頼ってしまうような歳"でもない自分をチョコレイトの甘さ、苦さに喩えた「Pap Love!」などなど歌詞がホントに冴えてる。たっぷり7分間、確実な演奏と展開していく歌を聴かせてくれる「蜜月」、上半期ヘビロテした「キャビア〜Black Pearl〜」が特にお気に入り。
・LUDMILLA『Numanice #2』
2022年、最も聴いたのは多分LUDMILLA。ブラジルのシンガー。
MPBっぽいミュージシャン聴くのも良いし、Carlos Aguirre,Mono Fontana,Cribasみたいなアルゼンチンのミュージシャンを聴くのも良いけど、それってエキゾチズムなんじゃ……?と、ふと思った。で、ブラジル/アルゼンチンの売れているミュージシャンをしっかり聞こう!と思ってSpotifyのランキングから聴いたり〜ってのをしていた。そこで知ったミュージシャン。このアルバムはパゴージ(サンバの親戚らしいけど正直まだ分かってない。)なのでブラジルの伝統的な音楽を演ってるんだけど、ブラジル/ラテン圏で永遠に流行ってる気がするレゲトンっぽいドラムパターンだったりオートチューンかけたコーラスだったり、今っぽい要素もあって感動した。そして、近年のブラジル音楽のキーワードとも言えるファンキ畑の人らしく、2022年も『Back to Be』ってファンキのEPもリリースしていた。Akonが客演していたり、これもかなり良かった。ファンキやってたり、しっかり若者に聴かれている人がサウダージ感のある、MPBみたいな音楽をしていて良いネ😊、となった。どういうスタンス!?って感じだけど。(2021年にはAnittaが「イパネマの娘」カバーとも言える「Girl from Rio」って曲を出してて、それも良かった。カリオカがポルトガル語と英語のちゃんぽんでワールドワイドにブラジル音楽をやっていた。)
婚約者と新婚旅行でモルディブ行くんだ〜♪激しい夜になるよ!パーティは続くよ!っていう個人的過ぎる歌詞がサイコーな「Maldivas」が一番のお気に入り。夏休みの実家でも免許合宿でも聞きじゃくった。
Ao Vivo、つまりライブバージョンも出ていてこれも良い。Youtubeに映像付きでそのまま上がってるんだけど、ほば海!って感じのステージでロケーションが最高。あと、恐らく「Maldivas」のクライマックスでキスするためだけに毎回婚約者をステージに上げてる(一節歌ったりもしている)っぽくてマジでサイコーだ。MVもキュート。どっちもYoutubeのリンク貼り付けときます。
・稲葉曇『ウェザーステーション』
2019年頃から改めてボカロを聴くようになって、2020年からは毎年1枚は新譜を買っている。2022年のボカロ枠。
とにかく音数が多かったり、求心力あり過ぎる主旋律だったり、進化したJ-POPの一つの形って感じが楽しい。「きみに回帰線」、「ハローマリーナ」、「ひみつの小学生」を家で爆音で流してバカみたいに踊り狂っていた。その3曲とアンビエント路線の「レーダー」が好きだった。次に書いてるKAIRUIとかもだけど上で挙げたような、いわゆる「ボカロっぽい」に当てはまらないような曲も増えている(気がして)良いな~って思う。AOTQ、衿、etc.
・KAIRUI『海の名前』
ボーカロイドを用いたミュージシャン。
ボーカロイドの文脈ってよりも、オルタナティブな日本の音楽って感じ。ウ山あまね、hirihiri、つまりPASTASTA周辺とか、tamanaramenとかみたいな。
丁寧に音作りがなされていて、テクノ/エレクトロとして聴いてもめっちゃ気持ち良い。陽性なメロディ、パーカスと上モノが心地好くて心が洗われるような「汀」、しんみりラストの「哥」が好き。アルゼンチン音響派が好きな人にも聴いてみて欲しい!
・The Sophomores,TisaKorean『Hope v2』
TisaKoreanはテキサスのラッパー。
今調べて初めて出身地知ったんだけど、テキサスなんだ!?LAだと思ってた。2022年にチェックしたTisaKorean関連作は全部良かったけど、中でも一番聞いたのがこれ。Neptunes〜ODD FUTURE〜の流れにある感じがする。でもBROCKHAMPTONよりもhIPHOP濃度高い、みたいな。DaBabyとjetsonmadeが流行ったり、Ambjaayの『Uno』がプチバズりしてた頃に、2020年代はスカスカビートが来る!って思ってた。TisaKorean、Vouchie Pの音はおれが想像していた20年代の音。スカスカ。頭4曲が特に好きだった。6曲入って13分のEPサイズ。頭4曲に参加しているSunny Galactic『Galactical』(TisaKoreanも関わってる)も良かった。そっちは「Marshmallow」、「U Know」が好き。
・Leikeli47『Shape Up』
NYのラッパー。
東海岸らしいブーンバップやブルックリンドリル……ではなく、クラブミュージックの系譜って感じのビートに、時に的確に、時に歌い、時にNYっぽい(「LL Cool J」なんて曲も。)間のフロウを聞かせたり……って感じ。リリース元のHardcoverってレーベルを調べたらMusic for DJsって書いてたし、やっぱりクラブを意識してるのかもしれない。同じくNY出身、Astrolith『Yo Ma』にて共演経験もあるCakes da Killaも2022年の新譜ではクラブ音楽っぽいビートを聴かせていた。クラブミュージック全然知らないし、まじでテキトーだけど多分この辺のLGBTQを背負ってる人らで小さい潮流になってる気がする。Larry Levanの頃からハッテンバとクラブは密接に関係してるし、恐らく昔から同性愛とクラブ音楽は強く結びついてる、、んだと思うけど、如何せん自分は無知すぎるので何も言えない。誰かまとめて下さい。または、そういう文献を教えて下さい。
2020年にリリースされた時から好きだった「Zoom」、アブストラクトな上モノ、高速ハイハットに歌フロウを聞かせる「Done Right」、4つ打ち+低音の感じがモロにクラブ音楽(絶対もっとちゃんとした名前ある)な「BITM」、チカチカウェーン声ネタが楽しい「New Money」、一番NY感じるフロウの「Chitty Bang」が好き。
・Babyface Ray『FACE(Deluxe Edition)』
デトロイトのラッパー。
ビートもフロウもデトロイトでかっちょいい。
オンでハメたりオフでハメたり、何気にフロウの引き出し多いし、さらっと何食わぬ顔して凄いことしてる。客演でもめちゃくちゃ名前を見かけた。
デラックス版で追加された「A1 Since Day 1」〜「RIP, Pt. 1」がすごく好きだったので通常版じゃなくてこっち。
デトロイトが熱いってことを2022年の正月辺りに、たぶん1年ぐらい遅れて知った。ジャージークラブが熱いってことも昨年の下半期に知った。流行りに付いていけないトコロに加齢を感じる。が、そもそもトレンドを追うタイプではないので本当は関係ない。恐らくこれからも色んな物事を加齢のせいにする気がする。
前半を808mafia、ビートスイッチしてからをATL Jacobが制作して客演にIcewear Vezzoを迎えた「6 Mile Show」がめちゃくちゃ好き!怪しく危険な上モノ、2人が落ち着いて軽くスピットする感じにめちゃくちゃGを感じる。ビートスイッチ後のバウンスする感じも渋カッコいい。リモート面接を終えた後に爆音で流して踊り狂った。その企業は落ちた。他には制作にDJ ESCO、客演にLil Yachtyを迎えた「Congratulations」が好きだった。そういえばLil Yachtyは2021年にラブDetroit Gラップって感じの『Michigan Boy Boat』をリリースしていた。いつか聞こう!と思い続けて今現在。
・Flo Milli『You Still Here,HO?』
アラバマのラッパー
ほっとけば好きな人ばかり聴いてしまうので、新しい人も聴かなきゃな〜と思ってXXLのFreshmanサイファーを見て知った。バウンシーなビートにタカタカとフロウする。Rico Nastyからの影響が強いと思う。「PBC」(Young Fyre制作)、「On My Nerves」(Caston,Jeff “Gitty"Giteman制作)、「Big Steppa」(Dr.Luke制作)とかとか、クラブミュージック、ハウスっぽいので一部でそういう潮流がある(Leikeli47の項で書いた)んじゃなくてただ流行ってるだけなのかも。ハウスっぽいビートは実際に流行ってる(た?)らしいし。OG Parker制作の「Pretty Girls」が一番好きだった。歌詞でCyndi Lauperの名曲「Girls Just Want to Have Fun」とOutkastの名曲「Rosa Parks」からのラインを引用していて、この2曲同列なんだ!?って思った。カッコいい。(「F.N.G.M.」では歌詞でも、声ネタでもJunior Mafiaのあの曲をサンプリングしていた。)
他には、どことなく上モノからもドラムパターンからもTimbalandを感じるYoung Fyre制作の「Bed Time」、客演にBabyface Rayを迎えて呼応するようにデトロイトライクなビート(Bizness Boi, Reese LAFLARE,Derelle Rideout制作)の「Hottie」が好きだった。
・Joey Bada$$『2000』
NYの人気ラッパー
正直そこまでJoey Bada$$に思い入れはないけど、2012年にリリースしたミックステープ『1999』は好きだったし、何となくNYの気分だったので帰りの電車でふと聴いたら良かった。全曲Statik Selektah制作。ラッパーとプロデューサーが組んでがっぷりと一枚のアルバム作るやつ、減った気がするけどやっぱカッコイイよねー!!、、と思ったけどAlchemistとかMuggsとかは、まだがっつり組むやつやってるし、ブーンバップではまだまだ主流かも??
Westside Gunnがイントロから例のアドリブで盛り上げてくれる「Brand New 911」が大好きだった。Joey Bada$$の歌hookもキマってる。
他にはイントロの声ネタからがっつり胸キュン出来て、客演にLarry Juneを迎えた「One of US」、「Zipcodes」、ちょっぴり寂しい「Cruise Control」が好き。
・DJ Premier『Hip Hop 50:Vol.1』
NYの人気大御所プロデューサー
確かYoutubeのサジェストで見たRemy RapのMVがめっちゃ良くてEP聴いたら、皆カッコ良かった。
他人よりもプリモのこと好きじゃないし思い入れもない(とは言えGangstarr2nd,3rdは好きだしJeruの1st、Group Homeも持ってる)自分がカッコいいって言うからホントに良かったよ!5曲14分なので短くて聴きやすい。
何と言っても「Remy Rap」と「The Root of All」、この2曲だと思う。「Remy Rap」は つんのめったRapsodyのフロウも、ケツでハメるRemy Maも(入りからヤラれる)めちゃくちゃイケてる。「The Root of All」は未だに曲出してくれて感謝!声質良すぎるSlick Rick、Tyler the Creator「HOT WIND BLOWS」の客演とか、ブーンバップ路線ではバチバチ詰め込んでかましに来るLil Wayneが聴けて嬉しい。Lil Wayne、詰め込みフロウかっこいいな……ってなってたら巻き舌のやつ長過ぎて爆笑した。Slick RickはMethod Manと共にDJ Muggsに乗った「Metropolis」もめちゃくちゃカッコよかった。
・P-Lo 『STUNNA』
ベイのラッパー兼プロデューサー
ベイエリアGへのラブソングだと思う。ハイフィーっぽいベースラインの「Stunna Anthem」(P-Lo制作、ビートスイッチもある)からベイエリアHIPHOPの祭典って感じで楽しい。「Good」(P-Loら制作)に客演しているLarry Juneもいつも以上にケレン味ある気がしてGを感じる。
客演にToo $hort(!)、Mitchael Sneedを迎えたP-Lo制作「The Roof」が一番好きだった。「Viral」でもサイコーに楽しいhookをくれたMichael Sneedに導かれてワサワサコーラスする男女たちのhookが楽しい。近年の西海岸らしい音数少なめでバウンシーなビートも良いし、何よりもToo $hortがいつものフロウでバッチリかましてくれる。好きだ……!
他には客演陣が己のフロウをバッチリ聴かせてくれる「My Bitch」(Kamaiyah)、「22nd Ways Interlude」(ALLBLACK、22nd Jim。ビートスイッチしてからもカッコいい)が良かった。どちらもP-Lo制作。正直言うと22nd Jimはこの曲で初めて知った。
・Emilia『Tú crees en mí?』&『Emilia en vivo』
アルゼンチンのシンガー
モデル、女優、作家としても活躍しているらしい。めちゃくちゃマルチに活動してる。すごい。
この人もLUDMILLAと同じ方法で知った。(Spotifyのランキング〜)「La Chain」という曲で知り、アルバムも出たので聴いたら良かった。
note書くに当たって、クレジット調べた今知ったんだけど全曲Big Oneってプロデューサーが制作している。幅広っ!すごい!ビックリした。
一曲目の「latin girl」からレゲトンのドラムパターンで、やっぱり現行のラテン音楽はレゲトンが強い。「cuatro veinte」もレゲトン。
刺々しいシンセにハイパーポップを感じる、同じくアルゼンチン出身のスターシンガーNicki Nicoleとの「intoxicao」、客演にTiao PZKというシンガーを迎えた「rápido lento」、ドリーミーな上モノが夢かわいくて、Gラップにも通ずるサビの高音シンセに胸キュンする「mi otra mitad」、アコギに導かれて徐々に打ち込みが加わる「la balada」が好きだった。
特に「la balada」が良い意味で浮いてて、アルバムの幅の広さに繋がってると思う。ティーン向け映画のサントラで聴きたい感じで好きだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ズルいけど9曲中6曲が『Tú crees en mí?』からの選曲だし、2つ合わせて17曲で50分ちょいなのでまぁ良いだろって感じで『Emilia en vivo』もまとめた。ライブ。
で、このライブがマジで良くて!!音源は打ち込み主体だったり、すごく現行の音楽って感じなんだけど、ライブはアルバムからの曲もアコギでやってたりすんの!ホントに同じ曲!?ってくらい違った魅力があって良いの!!みんなに聴いて欲しい!!幅広〜スゲーってなるよ。アルバム版と聴き比べてみて欲しいな。
生楽器を用いた編曲ゆえに感動的なバラードになっている「mi otra mitad」、ストリングスに土着的なパーカスが加わって180度異なる魅力を放つ「rápido lento」、ライブの魅力バツグンな「Perreito Salvaja」、「como si no importara」が好き。
・Carly Rae Jepsen『The Loneliest Time』
カナダ出身の大人気シンガー
(面倒くさいのでソングライトしててもシンガーって表記します。)
カーリー、ずっと良いよね〜。本作も好きだった。
みんなが何か言ってるだろうし、正直そんなにおれが言うことはない。
『Emotions』の「Boy Problems」、『Dedicated』の「Julien」みたいにそんなにスポット当たらない(気がする)けど、とてつもなく胸キュンでおれを掴んで離さない曲がアルバムに一曲はあるんだけど、本作では「Shooting Star」だった。なんという胸キュンメロディ……。ヘビロテしました。
他には夢のように弾けるポップス、アルバムタイトルでもある「The Loneliest Time」、『Emotions』と地続きの雰囲気がある「Talking to Yourself」、ドリーミーでかなり胸キュン度数が高い「Sideways」、物事を諦めなければならなくて、それでも上向こっ!って感じ(歌詞読んでないので曲がね。)のミディアム「So nice」、バラード「Go Find Yourself or Whatever」が好きだった。
・ポルカドットスティングレイ『踊る様に』
日本のバンド
実家近くのゲオでレ落CD漁ってる時に、そういやどんなもんかな〜って初めてちゃんと聞いた『ハイパークラクション』ってEPがめちゃくちゃ良くて、そこからずっと好き。
EPとしてリリースされていた時から好きだった曲たち(「青い」、「ダイバー」、「トーキョーモーヴ」)はやっぱり好きだった。けど、シングルとして聴いてた時にはピンと来なかった「dude」、「hide and seek」もめっちゃ好きになった。中でも一番好きなのは「SURF」。「トーキョーモーヴ」路線の曲で、歌詞がめちゃくちゃ好きだ。これもめちゃくちゃヘビロテしたし、風呂で歌いまくった。
ポルカドットスティングレイ、純粋に演奏ヂカラ強すぎるし歌も上手すぎだし表現の幅広いし、ちゃんと歌い切るのも良い。
・DJ Muggs,Rigz『Gold』
DJ MuggsはNYクイーンズ出身のプロデューサー、RigzはNYロチェスター出身のラッパー
調べて知ったんだけど、MuggsってNY出身なんだ!?Cypress Hillがカリフォルニアだから西海岸出身だと思ってました。。
MuggsはCypress Hillで90年代から活躍してるけど、近年のブーンバップを代表するプロデューサーだと思う。「Eastside Blues」みたいなドラムレスのビートも、「Every Season」みたいな重いドラムのビートでも常に高水準でカッコいい。Rigzは高めの声質でNYらしいラップ(語彙力🥲)を聞かせてくれる。
客演にMayhem Laurenを迎えた「Cook Offs」、客演にRome Streetzを迎えて比較的早いBPM、ピアノの上モノでスタイルウォーズな「Heads On the Wall」、重いドラムにループする上モノが渋い「Fool's Gold」辺りが好きだ。
中でも一番好きなのは、ピアノの上モノがシブい「Supreme」で学校帰りとかにめちゃくちゃヘビロテした。Rigzも激カッコいい。NY!!
・Soulzay,Slim Guerilla『Nothing's Changed』
Soulzayはテキサスはダラスのラッパー、Slim GuerillaはテキサスはヒューストンのラッパーでRaider Klanの一員。
調べているとSoulzayはPhonk Wikiなんて言うサイトでまとめられていたし、Slim GuerillaもRaider Klan(知らなかった……)なので普段はよりメンフィスGとかフォンクをやっているのかも知れない。が、今作はテキサスGにも繋がる哀愁のあるビートに3連符などのメンフィスGなフロウを聞かせてくれる。
90年代のGラップを聴いているようでかなりグッと来る。フォンクはそこまで好きじゃないんだけど、808のカウベルもあんまり目立たないし、フォンクっぽくない、メロウだったり哀愁のあるビートばかり。これもフォンクに入るんですか?
音数少なく、Marvin Gaye『I Want You』をより乾いたHIPHOPにした感じのビートに、ヘタウマな歌サビの「Got Wants,Got Needs」、女性のコーラス+高音シンセ+メンフィスGなラッピン+ヘタウマ歌サビの悪いわけがない「Rep The 3」、「Change The World」が好き。ベースの鳴り方に90'sを感じる。
・DOMi&JD BECK『NOT TiGHT』
DOMiはフランス出身のキーボーディスト、JD BECKはアメリカのテキサス州ダラスのドラマー
このアルバムも各所で色々言われてるだろうし、熱意を持って何か言えるほど入れ込んでいる訳じゃない。
ブルー・ノート(とanderson.paakのレーベル)からリリースされている様にジャズだったりフュージョンっぽくもあるけど、ソウルだったりヒップホップぽくもあったり、っていうジャンルレスな感じが良かった。夢かわジャケも良い〜。
これだけ手数多いドラムなのに崩れないのが凄い。一番好きな曲は「SMiLE」で、これもかなりヘビロテした。他には客演にHerbie Hancock(!)を迎え、ボコーダー(か?)かませたボーカルが心地好い「MOON」、Anderson.Paakを客演に迎えた「TAKE A CHANCE」、1分未満のアウトロ的な小品「THANK YOU」、1分ちょいのイントロ「LOUNA'S iNTRO」、2曲目でバッチリ2人に期待していた聴きたい音楽を聞かせてくれる「WHATUP」が好きだった。
JD Beck&DOMiはfnmnlの企画で高橋アフィさんが紹介していた下のライブ映像で知った。乾きに乾いてとにかく手数の多いドラムが激烈にクール!今見て/聞いてもカッコいい。それと、adult swimのthunder catとariana grandeとのやつが良かった。二人に呼応するようにサンダーキャットが、〜『The Beyond/Where the Giants Roam』みたいなジャズ/フュージョンなベースやってて良かった。本作でも表題曲「NOT TiGHT」で速弾きベース聞かせてくれて嬉しい。
・Lil B『Call of Duty Task Force』
ベイエリアの人気ラッパー、ex.The Pack
2022年も2021年もSpotifyで一番聴いたのはLil Bだったし2022年リリース作品では『The Frozen Tape』を除いた『Frozen』『Thraxxx Kiss』本作、『Afrikantis』は一周以上は聴いた程度にLil Bは好き。中でも一番良かったのが『Call of Duty Task Force』。今更?なクソコラジャケも良い。最初にLil Bのインスタで本作のジャケを見た時は、いつものクソコラでアルバムのジャケとは思わなかった。
Keak da Sneakオマージュの「Blackout」みたいなベイエリア直系の曲、オートチューンがかってレイジ(一瞬で廃れませんでした……?)のようなフロウを聞かせる「Gotham City」、4つ打ちポップス「Nike Air」、ブーンバップなビートに声を張り上げてしっかりとフロウする「No Doubt」、ドリルっぽいビートにオートチューンを伴った歌サビっていう歪な「Dub」、Ella maiの人気曲のビートジャック、というより替歌に近い「My Bad」などなど、かなり引き出しが多い。全てが歪で作家性に満ちている。(ビートジャックでは他にもGloRillaのヒット曲をジャックした「Go Ho」が収録されている。)
他には「BasedGod We Need You」、「Mac Dre」、「The End of War」が凄かった。
2時間超えは当たり前、アルバム/ミックステープ1枚で100曲以上あったりするLil Bのディスコグラフィーの中では、60分未満でサクッと聴けるのでオススメ!
久しぶりのBased God名義作『Afrikantis』はアンビエントではなく、乾いた音色の激キモフュージョンって感じだった。PS1とかよく分からない昔のPCゲームのサントラみたいだった。「Cricket」「Jack London Square Oakland Ca」「West Berkeley Ca Waterfront」辺りが良かった。
・Connie Diiamond『Flow of Forum』
NYはブロンクスのラッパー
現行のNYシーン、どんな感じだろー?って漁ってて知った人。ブルックリンドリル〜って感じのBPM早めのビートに鼻声でドスの効いたフロウを聞かせる。4曲9分で、ちょーコンパクト。『Gift Rap』(これも4曲9分)に加えて、他の単曲も良かったのでぜひ!
ジャージークラブな手数の多いドラムの「Hood Celebrity(Shake it)」(タグ的にDenalo何たら制作。調べたけど出なかった。たぶんDenalo,where is love?みたいなプロデューサータグ使ってた人だと思う。時間あればまた調べる)、BPM早すぎて等速でノるのも大変そうな「Toot That(Nene Bomba)」が特に好きだった。
笛の上モノとか、2017年辺りのオーソドックスなトラップって感じの「200k」(Kajun Waters制作)もカッコいい。
『Flow Of Forum』と違って『Gift Rap』はDef Jamレコードからのリリースで、調べたら2022/10/13にDef Jamとサインしていたっぽい。
Connie Diiamondでは他に、早回し声ネタも良いドリル「Dance 4U」(Constance Burns制作?)、ドリルらしいうねるベースが強力な「Gift Rap」(Homeyhill制作)、機械音のような上モノが怖い「Mood」(Chrissaves制作)、Jim Jonesへの客演「Militant」(Bordeaux,Non Native制作)がカッコいい。
・Bala Desejo『SIM SIM SIM』
ブラジルはリオデジャネイロのバンド
すごく話題だったと思うし、各所で色々言われてるので調べた方がいい文章読めるかもしれないです。
実際めっちゃ良かった!録音、ミックスが良くて聞いてるだけで気持ちいい〜。ボッサとかMPBといった音楽をいつまでも聞き続けるのはエキゾチズムからくるもので、本当にブラジルを理解してるとは言えないんじゃ……?という気持ちが芽生えた結果、現行の音楽も聞かなければ!という結論に至った。わけだけど、未だにMPBを演ってくれるのはめちゃくちゃ嬉しいし、ありがたい。現地の若者は聞かない(かもしれない)音楽たちをしっかり拾って聞くことは現行の音楽を聞くことと同じくらい、海を隔てた遠い国に住む自分のようなリスナーにとって大事な行為なのかもしれない。(なので、日本のプレスにプッシュされていない音楽も聞かなければいけない)
中でも一番好きだったのは「Lua Comanche」。コマシュコマシュ♪コーラスが楽しい。弦楽器が鳴るとMPBを感じる。他には陽性メロディが気持ち良くてアメリカのポップスに大きく影響された70年代初頭のMPBって感じの「Lambe Lambe」、「Passarinha」が好きだった。
・Slim Thug『BIGslim』
テキサスのラッパー
ヒューストンGらしい、低い声でねっとりとフロウする。ヒューストンGらしい、と言うかH-townのGを作り上げてきたレジェンドの一人。
デカいSlim Thug(とクルマ)がデーンと中央を陣取ったジャケも良い。
ヒューストンのGラップはこの世で最も好きなものの1つ。幾度となく胸キュンを経験し、膝から崩れ落ち、ソファをG泣きで濡らしてきた。
近年最もP-Funkっぽくてナゾに激バズりしたあの曲や、UGK「It's Supposed to Bubble」やGeto Boys「Mind Playing Tricks on Me」といったテキサスGのクラシック(の元ネタ)を弾き直したビートばかり。
アイズレーの名曲を弾き直した曲など、哀愁系の良曲が多くて楽しめた。
Le$を客演に迎えた「BHO Sessions」、歌詞の引用もある「Made It」、「Driftin」、「On Go」が好きだった。
(「No No No」聞いたことある気がするのに思い出せない>< 元ネタ分かる方こっそり教えて下さい)
最後の駄文
アルバム未収録だったり、上では挙げなかったけど好きな曲たちをまとめたプレイリストを作りました。もしよかったら、こっちも聞いてみて下さい。このプレイリストも22曲です。何曲かを取り上げて感想文書きます。
・VOLOJZA「松戸にいる」はSpotifyでもapple musicでも聞けないけどYoutubeでまだ聞けます。2022年の正月にリリースされた曲で、その時にはあんまりピンと来なかったけど、ジワジワと好きになってきて下半期ヘビロテしました。F*ck!DHC! そういえば、この曲がリリースされた時にはまだTom Verlaineは存命だったんだな……ってふと思いました。
・LNDN DRGS×Larry June「Leave it up to me」はアルバムもめちゃくちゃ良かったけど先行曲のこれがまじで良かった。深夜から朝に片足突っ込んだ時間帯にクラブで流れたらめちゃくちゃ沁みるんだろうな〜って思う。
・IZA「Sem Filtro Remix」ブラジルのシンガーが2021年にリリースした楽曲にLuccas Carlosっていうブラジルのラッパーを客演に迎えた曲。歌謡曲みたいな馴染みやすいメロディ。めちゃくちゃ好きでこの曲もヘビロテした。
・Domo Genesis「Victories & Losses」全曲Evidence制作のアルバムも良かったけど、Evidenceがラップでも参加したこの曲が圧倒的過ぎた。というかEvidenceがカッコ良すぎる……。入りからイケまくってて、多くの胸キュンを与えてくれる。胸キュン製造機。
・Rome Streetz「Brick Lesnar」Stack Moolah制作。ドラムが奥にひっそりとある近年のブーンバップ。hookがない構成がシブいし、Rome Streetzのラップが冴えまくってる。Rigz×Muggs「Supreme」と共に学校帰りによく聞いた。
・valknee「Luvbug」Shampoo制作
3曲入りのEP『SPRING2022..u_u..vV』もレイヴ越しにハイパーポップが透けて見える『vs.』もめちゃくちゃ良かった。“Clippings in a Scrapbook 全部 your mook×2 I make your mook あたしだけが見るyour 1st look”なんて歌詞がサイコーな「Scrapbook」、『vs.』の「DESTROY!」「BET ME!」とかもめちゃくちゃ良かった。
「恋で頭がバグった 愛を見つけたいだけなのに」「普通じゃないこんなの あたしはあいつのアンチ これ以上は危ないからラブ・シャットダウン」
実は2018年頃から毎年、年間ベストを書こうという気持ちだけはあってリストアップだけはしてた。その内メモとして出すかも。
2020年以降はSpotifyで好きな楽曲をまとめたプレイリストを作っていたので、ついでに載っけておきます。あと気が向いたら2022年全体の音楽に関する思い出を書き足すかも。
サクッと書いたつもりでも2日間かかったし、年間ベスト系書くのめんどくせ〜って思った。今まで読んできたブログの人たち、こんなに頑張ってたのか……ってね。実際に自分がやってみて苦労を知る感じね。とりあえず今はこれでおしまい!また書き足すかも!!
オマケ
音楽知らない時に音楽ブログを読んで、SSWって何だ……?となった(シンガーソングライターの頭文字)記憶があるので、そういう人に向けて簡単な言葉の説明みたいな。悪く言うと知識自慢、知識披露。出典とかちゃんと明記するのが面倒だったのであまり調べてないです。テキトー。あくまでオマケなので!!でも、これ違うよ!ってのはどんどん下さい。(なんかもっと良いまとめ方ある気がする。ノート上級者は教えて下さい。)
ブーンバップ
HIPHOPの一大サブジャンル。噛み砕いて言えば90'sNYっぽいスタイル。ただ、90'sNYでもRuff Ryders周辺とか、ブーンバップではないスタイルのラッパーもいたし、NY以外でも西海岸のHieroglyphics、シカゴのCommon、南部では『We Can't Be Stopped』辺りまでのGeto Boysなどは広義のブーンバップなスタイルだと思う。
MPB
Música Popular Brasileiraの頭文字。読み方はエミ・ペー・ベー。狭義ではブラジルの伝統的なリズムに西洋のポピュラー音楽を混ぜたような音楽。めーっちゃ簡単に言うとブラジル版のJ-POP。ただ、今回はレゲトンとか2014,5年以降のトラップライクなHIPHOPといった現行の音楽の対義語として、ブラジルの伝統的な音楽〜くらいの意味で使った。ちなみに日本ではボサ・ノヴァって一大ジャンルだけど本国ではMPBに含有されている。らしい。
レゲトン
ラテン圏の音楽ジャンルの一つ。正直あんまり詳しくない。ボンッパッポンパッ,ボンッパッポンパッってドラムパターンよく聞く。
ファンキ
バイレファンキ。ブラジルのファンク。正直あんまり詳しくない。めっちゃ気持ち悪くて尖ったダンス音楽って印象がある。ドラムの音色もパターンも歪でカッコいい。日本でもアフロポップとかと同時期(2017,18年辺り)にプチ流行りした印象がある。
カリオカ
リオデジャネイロ生まれって意味。リオっ子。
サウダーヂ
Saudade。郷愁とか哀愁とかって訳されることが多い気がする。≒ワビサビ。ブラジルの心。サウダーヂはサウダーヂでしか表せないと思う。郷愁といった寂しさだけじゃなくて明るさとかも含まれてると思う。ブラジルの音楽にはサウダーヂ感覚がある。
アンビエント
音楽ジャンルの一つ。環境音楽。テクノとかエレクトロ系のサブジャンル。Brian Enoとかとか。
アルゼンチン音響派
たぶん日本だけで使われるまとめ方なので本当は使ってはいけない。シカゴ音響派(これも恐らく日本だけ)って言葉があり、それに対抗してアルゼンチン音響派。安直。Juana MolinaとかMono Fontanaとか『Crema』『Rojo』辺りのCalos Aguirre。
ブルックリンドリル
HIPHOPのサブジャンル。ブルックリンで生まれたドリル。POP SMOKEとか。正確にはブルックリンで生まれた、というよりもブルックリンに流れ込んだドリル。ドリルとは2010年代初頭にシカゴのChief Keef、Young Chop、Lil Bibby辺りを中心に生まれたトラップの亜流ジャンル。Chief keef「I don't Like」とかに比べたらより硬派なLil BibbyとかのスタイルがUKに飛び火(この辺の経緯は忘れた)して、イギリスのラップを取り入れたクラブ音楽:Grimeと合わさってUKドリルが生まれる。それがType Beat文化(インターネットを通して無名のプロデューサーが自身のビートをアップして、無名のラッパーはそれらを買い取ってラップを乗せて〜みたいな。)と合わさってNYのブルックリンでブルックリンドリルって形で花咲いた。……って感じだったと思う。ブルックリンとUKとではレゲエを通じて似通った文化があって〜みたいな文脈もあったと思う。間違ってたらごめんなさい。
ジャージークラブ
音楽のジャンル。Baltimore Clubってのから派生して生まれた。早い。ドラムの手数多い。
XXL Freshman
XXLっていう米のヒップホップ雑誌(今でも雑誌なの?)が毎年(確か読者投票)発表する、今来ているラッパー達!!みたいなやつ。サイファーとかフリースタイルとかがYoutubeにも上がる。
バウンシー
バウンス:Bounceは跳ねた、とかそういう意味。ダンサブルで跳ねたビート、みたいな意味で使ってるけど、バウンスと言えばNew Orleansのあの感じ。Mannie Fresh。
ハイフィー
HIPHOPのサブジャンル。Hyphy。00年代半ばにベイエリアで流行った。スペイシーなシンセだったりバウンスしたビートが特徴。代表曲はKeak Da Sneakの「Superhyphy」などなど。
ハイパーポップ
10's〜の音楽ジャンルの一つ。代表的なミュージシャンは100gecs。全然詳しくない。
フォンク
HIPHOPのサブジャンルの一つ。Phonk。ただ、近年はHIPHOPから離れて、よりクラブ音楽寄り(HIPHOPもクラブ音楽だけど)になって来ている。ロシアでの流行りが凄まじいっぽくて、アホみたいに再生数回ってるPhonkプロデューサーのインスタ見ると大抵10代で驚く。ロシアでPhonkが流行った経緯、めちゃくちゃ知りたいので教えて下さい。またはそういう文献を教えて。90'sのMemphisのGラップ(666 mafiaとか)が大きな影響源。フォンクの代表的なミュージシャンはSpaceGhostPurrpとか$uicideboysとかとか。
Gラップ
HIPHOPのサブジャンル。Gangsta Rapとは違う。Gラップも実は日本だけのまとめ方かも?狭義にはGangstaluvっていう日本のHIPHOP専門雑誌に乗っていそうなHIPHOP。だけど、自分は①何となく悪そうで②何となくB級で③地域性を強く感じるラップ(これが一番大事!)くらいの意味で使ってる。
オートチューン
ボーカルのエフェクター。T-Pain、Future、etc.
レイジ
HIPHOPのサブジャンルの一つ。Playboi Carti『Whole Lotta Red』が代表的なアルバム。シンセの使い方が特徴的。
ボコーダー
ボーカルのエフェクター。チューブみたいなやつ。Roger、Zapp、日本ではLUVRAWが有名。