特定行為研修は修了していないが、診療看護師(NP)の資格はあるので、麻酔補助行為の実施や麻酔管理料Ⅱは算定可能ですか?
この場合の加算とは「麻酔管理料Ⅱ」として以下、記載します、
質問内容から察するに、「全ての特定行為研修を修了していない診療看護師(NP)は麻酔管理料Ⅱを算定できるのか?」という内容かと思います。
結論から言うと、質問者さんの言う診療看護師(NP)が麻酔管理料Ⅱの算定できる条件を満たしていれば算定可能です。
麻酔管理料Ⅱの算定要件は医師側の勤務や手技など色々記載されていますが、今回の質問に関連する部分として、「(4) 担当医師が実施する一部の行為を、麻酔中の患者の看護に係る適切な研修を修了した常勤看護師が実施しても差し支えないものとする。また、この場合において、麻酔前後の診察を行った担当医師又は麻酔科標榜医は、当該診察の内容を当該看護師に共有すること。」が関係してくるでしょう。
つまり、質問者さんの言う診療看護師(NP)が全ての特定行為研修は修了していないが、「麻酔中の患者の看護に係る適切な研修を修了」していれば麻酔管理料Ⅱを算定できると思います。
ちなみに、「麻酔中の患者の看護に係る適切な研修」とは「特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定 する指定研修機関において行われる以下のいずれかの研修である。①「呼吸器(気道確保に係るもの)関連」、「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連」、「動脈血液ガス分析関連」、「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」、「術後疼痛管理関連」、「循環動態に係る薬剤投与関連」の6区分の研修、②「術中麻酔管理領域パッケージ研修」、なお、①については、6区分全ての研修が修了した場合に該当する。」となっているそうです。(日本NP教育大学院協議会-令和2年度 診療報酬改定への疑義解釈- https://www.jonpf.jp/files/SpcDocumentsDetail/3/SpcDocumentsDetail_3666_file.pdf)
また、麻酔管理料Ⅱや他にもいくつか算定できるものもあるので、よかったら以下の厚生労働省の資料も見ていただけると幸いです。
厚生労働省-特定行為研修制度の概況について- https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000914854.pdf
さて、せっかくの機会なので、特定行為という診療の補助の一部分と、診療看護師(NP)という資格についても見てみます。
特定行為とは、診療の補助の一部分を指す言葉です。厚生労働省HPには「特定行為とは、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為」と記載されています。(厚生労働省-特定行為に係る看護師の研修制度-特定行為とは https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html)
また、「現行と同様、医師又は歯科医師の指示の下に、手順書によらないで看護師が特定行為を行うことに制限は生じません。本制度を導入した場合でも、患者の病状や看護師の能力を勘案し、医師又は歯科医師が直接対応するか、どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるかの判断は医師又は歯科医師が行うことに変わりはありません。」とも記載されています。(厚生労働省-特定行為に係る看護師の研修制度-制度の趣旨 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070423.html)
なので、全区分の特定行為研修の修了の有無に関わらず、国家資格の上では看護師である診療看護師(NP)は特定行為を実施することは制限されていません。
診療看護師(NP)とは、日本NP教育大学院協議会が認定する民間資格を取得する必要があり、日本NP教育大学院協議会は診療看護師(NP)を「本協議会が認めるNP教育課程を修了し、本協議会が実施する NP資格認定試験に合格した者で、患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」としています。(日本NP教育大学院協議会-診療看護師(NP)とは https://www.jonpf.jp/document/np.pdf)
なので、少なくとも診療看護師(NP)は特定行為と呼ばれる診療の補助の一部分を実施する者では無いことは読み取れると思います。
長々と書きましたが、お返事になっていれば幸いです、
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