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診療看護師(NP)と特定行為研修修了者(いわゆる特定看護師)の違いを具体的に言語化できず悩んでます

診療看護師を「診療看護師(NP)」、特定行為研修修了した看護師を「特定看護師」として以下記載します。
言語化が難しいことは時折耳にします。実際に診療看護師(NP)と特定看護師がいる場所で働いてみると見えてくるものがあるでしょうが、まだまだそういう場所は多くがないのが現状なのでしょう。
仮にそういった職場にいて、それでもなお上記の質問に至ったとすると、個人的には興味深いので質問者さんの現時点での両者の違いがどういったものかお伺いしてみたいですね。

さて、診療看護師(NP)と特定看護師の違いを客観的事実から考えてみます。
診療看護師(NP)については、日本NP教育大学院協議会には以下の通りにあります。
「日本NP教育大学院協議会(以下、NP教育大学院協議会)は、診療看護師(NP)、「本協議会が認めるNP教育課程を修了し、本協議会が実施するNP資格認定試験に合格した者で、患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」の育成を推進している。」
「診療看護師(NP)の役割は、医師、薬剤師等の他職種と連携・協働を図り,一定レベルの診療を自律的に遂行し、患者の「症状マネジメント」を効果的、効率的、タイムリーに実施することにより患者の QOL の向上を図ることである。医療施設や在宅医療の場で、個々の患者の症状に対応した「症状マネジメント」をタイムリーに実施していくことにより疾病の重症化等を防止し、患者の QOL の向上を図ることができる。」
(診療看護師(NP)とは https://www.jonpf.jp/document/np.pdf)

これらから診療看護師(NP)は以下のことが分かります。
・大学院におけるNP教育課程を修了して、NP資格認定試験に合格して、資格を交付された者
・患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる者
・「症状マネジメント」をタイムリーに実施していくことにより疾病の重症化等を防止し、患者の QOL の向上を図ることができる者

特定看護師については、厚生労働省HPである「特定行為に係る看護師の研修制度」を参照します。
「2025年に向けて、さらなる在宅医療等の推進を図っていくためには、個別に熟練した看護師のみでは足りず、医師又は歯科医師の判断を待たずに、手順書により、一定の診療の補助(例えば脱水時の点滴(脱水の程度の判断と輸液による補正)など)を行う看護師を養成し、確保していく必要があります。このため、その行為を特定し、手順書によりそれを実施する場合の研修制度を創設し、その内容を標準化することにより、今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくことが、本制度創設の目的です。」
「現行と同様、医師又は歯科医師の指示の下に、手順書によらないで看護師が特定行為を行うことに制限は生じません。本制度を導入した場合でも、患者の病状や看護師の能力を勘案し、医師又は歯科医師が直接対応するか、どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるかの判断は医師又は歯科医師が行うことに変わりはありません。」
(特定行為に係る看護師の研修制度の概要 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070423.html)
また、「特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A」には以下の記載があります。
Q.特定行為研修を修了すると資格を取得できるのでしょうか。
A.資格は取得できません。特定行為研修を修了した看護師には、指定研修機関から、特定行為研修修了証が交付されます。
(特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000565100.pdf)

これらから特定看護師は以下のことが分かります。
・特定行為研修の目的は今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくことなので、特定看護師は今後の在宅医療等を支えていく看護師と考えられる。
・特定行為研修は、診療の補助の一部分である特定行為を、手順書を用いて実施する場合の研修制度である。
・手順書によらないで看護師が特定行為を行うことに制限は生じないため、特定行為研の修了の有無に関わらず特定行為を実施することに制限は生じない。
・特定看護師は資格ではなく、特定行為研修修了証が交付される。

まとめると、
療看護師(NP)については…
・大学院におけるNP教育課程を修了して、NP資格認定試験に合格して、資格を交付された者
・患者のQOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる者
・「症状マネジメント」をタイムリーに実施していくことにより疾病の重症化等を防止し、患者の QOL の向上を図ることができる者
特定看護師については…
・今後の在宅医療等を支えていく者
・特定行為研修は、診療の補助の一部分である特定行為を、手順書を用いて実施する場合の研修制度である。
・特定行為研修の修了の有無に関わらず診療の補助の一部分である特定行為を実施することに制限は生じない
・特定行為研修を修了すると資格ではなく特定行為研修修了証が交付される

さらに、どれくらいの期間にどんな教育がなされているか?具体的な学習項目を見てみると、言語化がよりやりやすくなると思います。
大学院教育と指定研修期間での教育、NP教育課程と特定行為を手順書を用いて実施する場合の研修制度などそれぞれを見比べてみるとイメージが付くかもしれませんね。

ちなみに、「一定レベルの診療を行うことができる看護師」という表現に違和感を感じる人がいるかもしれません。私もこの表現については思うところはありつつも、資格を認定する組織がHPに記載しているのでそのまま使っています。

この記事を読んでいるということは、ある程度の検索する力があると思うので、あらかじめ念のために記載しておくとこの一連の文言についてはTwitterで私のやりとりが残っているでしょうから、興味があれば探して見てみると参考になるかもしれません。
過去の話題ですので何も触れずにそっと覗いていただけると幸いです。

色々情報を見て、自分で考えて、この質問のお返事が参考になったりならなかったりして、自分なりに言語化できることを願っております。

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