質問:診療看護師(NP)は10年後に何人になっていますか?また、診断や薬の処方はできるようになっているでしょうか?
・10年後の診療看護師(NP)の数
昨年度は70名が新規に認定されており、毎年10名程増加している現状を踏まえると、これからはおおよそ毎年100名の新規認定者が出ると考えてます
現時点での会員校は11大学院、各大学院で数名から20名近くを養成していることを踏まえても、毎年100名前後は的外れではないでしょう
ちなみに、募集要項やネットの情報から推察すると今年度のNP資格認定試験受験者は96名前後かと思います
なので、その仮定で考えると10年後の診療看護師(NP)は1500名程でしょう
現時点の国の方針は特定行為研修を増やす考えですので、これからどんどん新規会員校が増えるとは私は考えていません
・診断や薬の処方について
現時点では何とも言えません
色々な人や団体の、様々な考えや都合がありますし、視点によって見え方は変わってくるでしょう
例えば、医師の働き方改革において、「まずは現行制度で出来る事をする」方針なので、診断や薬の処方といった法律改正の議論は十分には行われていません
なので、現在は現行制度下でタスクシフト・シェアをしてどうなるか?看護師の特定行為研修修了者によってどんな効果がもたらされるか?といった現状の出来る事をした結果によって先々の話が変わってくると考えてます
2024年以降は医師の時間外労働は「原則、年間960時間以内」
これを超えると罰則が科せられるので、今のうちから準備、対策を検討したり、試行錯誤をしています
なので、診断や薬の処方などの法律改正の議論はもっと先の話でしょう
また、例えば医師の需給に関する視点です
医師需給分科会で議論されている中で、労働時間を週60時間程度に制限する等の仮定をすると、2023年(令和5年)の医学部入学者が医師になるであろう2029年(令和11年)頃に医師の需給は均衡すると推計されています
なので、令和4年度以降の医学部定員等の医師養成に関する方針については、「医療従事者の需給に関する検討会」において将来的な減員に向けて見直していくべきとの考えが示され
ています
つまり、近い将来に医師の数は過剰になるだろうと推察されています
今は医師不足と言われていますが、医師過剰となっている将来に、果たして看護師に診断や薬の処方といった議論が起こるでしょうか?
しかし、一方で医師需給分科会の議論で、改めて医師の地域間偏在、都道府県間偏在が明らかにされています
そして、医師が不足している地域で医師確保がされないまま時間外労働の規制が推進された場合、医師が不足している地域の医療提供体制はどうなるでしょうか?
医師過剰となった将来でも、医師の偏在により医師不足の地域は変わらず存在するかもしれない
そういった地域でも看護師はある程度の数はいるから、看護師の役割を拡大して今まで以上に医師と協働するのはどうか?といった議論があるかもしれない
この他にも、人口動態、医療費、医療施設の統廃合・集約化、オンライン診療、AIと医療など様々な要因でどうなるかわかりません
なので、要所要所の議論はチェックしてみても良いかもしれませんね
医師の時間外労働に対して罰則が適応される2024年前後
医師の時間外労働が960時間で統一される2035年前後
ちなみに、看護協会が掲げるナース・プラクティショナー(仮称)の制度創設は2040年頃を目標としています
現時点では何とも言えませんが、可能性はゼロではない
ただ、仮に看護師に診断や薬の処方が可能となったとしても、それに見合う能力が無ければ判断、実施はできないでしょう
この先どうなるにしても、今のうちから出来ること淡々とやっていった方が無難でしょう