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Endorfin.『COLOURS』語り【.04感想:前半戦】

ついに終わりを迎えたEndorfin.のシリーズ『COLOURS
私はいまだに「はぁ?COLOURS終わってないがぁ!?」と妄執に取り憑かれていますが
終わったという現実と、COLOURS(彼女)たちの天荒破る未来を受け止めるためにも
04感想+COLOURS語り記事をしたためていこうと思います。


COLOURSはまだ終わってません。


例によって各ヒロイン達のことは以下のように呼びます。
01 ⇒ 緑ちゃん
02 ⇒ 青ちゃん
03 ⇒ 茜ちゃん
04 ⇒ 妖精ちゃん



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COLOURSは"人生"

これだけ聞けばいわゆるオタク的用法(○○は人生)の人生と思われるかもしれません。私も03の感想ツイートをした時は

こんな風に書いてました。実際これはオタク的用法だったと思います。
でもCOLOURSに関しては本当の意味で"人生"
──正確に言えば"人生の一部"でした。


COLOURSの持つ魅力

『COLOURS』とは学生生活の一部を切り取っただけの物語です。
決して特別なことはありません。
世界が怪物に襲われるなんてことは起きません。
本を読み続け病床に臥せる少女も黒猫もいません。
ただありふれた日常を送る少女たちがいただけでした。

「01」では進学による環境の変化により困難に直面し、そこから立ち直るまでの姿が描かれていました。
「02」では大切な人との突然の別れに直面し、躊躇いを振り払う姿が描かれていました。
「03」では美術部の活動でスランプに陥ってなお、情熱を燃やす姿が描かれていました。

これらは本当になんてことのない日常。誰しもが少なからず経験したであろうありふれた学生時代の1ページです。
でもそれこそが『COLOURS』の持つ魅力でした。

私は01~03の中でも「03」が一番心に響いています、今もなお。
ゆえに感想でも「03 is 人生」と書いたのでしょう。
その「03」の感想を書いてから幾日か過ぎた頃、ふと思い出したのは自身の学生時代。
美術部にこそ所属なんてしていませんでしたが、美術の授業が好きで課題に何時間もかけ──それこそ数日間19時まで学校に居座るほど──取り組んでいたことがありました。
「風景模写」の課題が1回。「美術作品模写」の課題が1回。どっちものめり込むように描いていた記憶があります。
在りもしない建物をつけ足したり、午前に書き始めたのに風景を夕暮れにしていたり。元作品に無いモチーフをつけ足したり、一部の描画を細かすぎるほど細かくしたり……
結果的に「課題の方針と違う」+「時間オーバー」+「次の課題の遅れ」ということで恐らく最低評価となったはずですが、全く後悔も反省もしてなかったと記憶にあります。

そんな思い出が「03」の茜ちゃんと重なって感じたのでしょう。
自分の感想を読み返すと、完全に記憶を重ねて書いてたことも明白。COLOURSには明確なストーリー詳細はありませんが、考察もとい推測で書いてることがそのままだったので。
特に『Untitled Sky』はEndorfin.どころか藍月なくるさんが歌う曲中で1番好きな曲
その理由がこの"思い出と重なっている"という点で顕著に見られたんだと思います。

そんな"自らを重ねる"ことができるからこそ、劇的なストーリーやドラマチックな展開がなくとも『COLOURS』は共感と感動を引き出せるシリーズなのだと思いました。


学生時代というもの

そんな学生時代を題材にしている『COLOURS』ですが
01~03ではキャッチフレーズとして「色を失った少女」という文章が付いていました。そして04では「色を取り戻した4人の少女たち」となっています。
私このフレーズがとても好きでして、人生における子供/学生時代というものをこれ以上ないほどに表現していると思うんです。

そも少女たちが色を失うまでには上に書いた通り、それぞれの"問題"が立ち塞がり、それらを乗り越えることで色を取り戻しています。

この"色を取り戻す"というのは言い換えると「才能を開花させる」「特色を出す」ことだと思うんです。
環境の変化やスランプなんてものはよくある話でしょう。子供だろうと出会いと別れは付き物です。
ならそれを乗り越える方法がみんな同じか、というともちろん違います。
01では転校や中退する選択も、02では諦めて踏ん切りをつけるという選択も、03ではありのままを表現せず優等生な作品を描くという選択も、数多の可能性としてあったでしょう。
でもそれを自分なりに乗り越えた時こそ本当に自分が持っていた色を出せるんだと思います。

それに彼女たちが色を失ったのは確かに"問題"に直面してからですが、それは色を"取り戻す前"と""で同じ色をしていたのでしょうか?
年齢を重ねるにつれ周りの友人たちから影響を受けたり、学業に追われたり、そうしているうちに自分が持っていた元の色が滲んで混ざっていたのではないか。
そんな時に大きな"問題"に直面して、自分の持っていた色をついに見失ってしまったんじゃないかとも思えます。

だからこそ"色を取り戻す"ということは、"昔から自分の奥深くにあった個性""秘めていた想い"を蘇らせたことだったんじゃないか。
そしてそれこそが真に成長するということであり、学生生活/子供時代の持つ大きな意味合いなのではないかとも思いました。
01の『アンチグレーズ』「僕らもいつかこんなに透明で」という歌詞にもあるように、幼い頃はまだ色付いていない無色だったのでしょう。
それが年月を重ねるにつれ自分の色を見出し、
01では芽吹きの薄緑が濃い新緑に、02では暗い青が透き通る青空のように、03では滲んだ赤が真っ赤な炎のように
本当に生まれ持っていた、それぞれの色を見出し、取り戻したんだと思います。

学生時代に色を取り戻した彼女たちはもう、大人になっても自分の色を見失うことはないでしょう。


"妖精"という存在

さて、そんな何気ない日常風景の中に居た不思議な存在「妖精」
学生生活『COLOURS』という現実にとって特別なフレーバーです。
結局この「妖精」という存在がなんだったのか明確には分かりませんが、彼女はこの物語においていくつかの意味を持つ存在でした。

そして04ではついに「妖精」という存在にスポットが当てられています。
なのでここからは04の感想に合わせ、中盤~後半くらいに「妖精」という存在について拾いながら、感想を書いていきます。
(概ね〈曲の感想→歌詞を読んでみて〉みたいな感じです)



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01. 水彩のカナリア:4人の少女たち

ッスーーーーー……………(喜)(尊)(感謝)(笑)(泣)(目覚)

あまりにも幸せ、そして意外過ぎたMVによって手離しで聴き入っていた1曲目『水彩のカナリア』
そう、コレです。この光景、コレが見たかったんです!


また巡り会えた四つ葉たち

ほんと良いイラストですよね~~~…………
あのCOLOURSの3人が集まってるだけじゃなく、妖精ちゃんも一緒になって仲良く笑ってる姿が見れるのがね、あまりに嬉しい。
緑ちゃんと茜ちゃんが手に四つ葉のクローバー持ってるんですよ。これ『サニーサイドクローバー』の「離れ離れの四つ葉たち」なんですよね。また巡り逢えてよかった。
しかも妖精ちゃんの花冠に挿してあるクローバーが四つ葉じゃなく、あえて三つ葉なのもまた最高に良いところ。これ妖精ちゃんが3人に囲まれてるみたいな表現で大好きなんです。
きっと01~03で、この中の誰か1人でも別の選択を(上でもちょっと書いたように)して何かを諦めていたら、きっとこの光景には辿り着けてなかったんです。

そんな映像だけでも既に万々歳の幸福空間なんですが、もちろん歌も幸せの塊みたいな曲。でも"今を大切にしたい"という寂しさのような思いも混ざっている、そんな歌詞があまりにもキレイ。


幸福の音色

ある意味で"sky_delta節"とも言えるスタートのEndorfin.らしい曲調。これまでいく度となく翻弄されてきた系統ですが、カナリアは群を抜いてます。
少しこもったイントロから始まり、弾むようなメロディラインがはしゃいで笑ってる妖精ちゃんそのものです。Aメロに入れば穏やかさが前面に押し出されつつも、鳥のさえずりとクラップ音がまた楽しそう。
Bメロは少し緊張感があって、少女たちの成長と、これまでの事とこれから訪れることへの期待と不安が感じられるパート。
だからこそサビが本当に嬉しそうなメロディ。なのに「グラデーション」の部分で落ち着いたギターの音だけになって急にグッと来る
『COLOURS.04』というシリーズ終わりにピッタリな1曲。カナリアはこのメロディの緩急がめちゃくちゃ好きですね。

とは言え、ここまでならまだ「春の訪れらしい曲」なんですが、なくるさんの声が乗ると一気に切なさの部分が強調される。サビの「澄んだ風と声が混ざる」の"澄んだ風"ってこの歌声ではというくらい、サラサラとした聴き心地の良い歌。
その"風"以外にも「水彩絵具」や「鈴の音」と出てくるモチーフと声が似合うんですよね。春×なくるさん、いつ聴いてもつよい。
そんなベストマッチの中でもやっぱり「ラララ カナリアは歌う」から始まる落ちサビが一番の聴き心地の良いパート。あのラスサビに入るまでのだんだんと勢いは上がるのに、それでもゆったりとした歌い方がタイトルの『水彩』な感じがして好きなんですよねー…
ラスサビも流れるようにいくんですけど「閉じ込めたら」の1番サビよりもちょっと強く区切られているのがまた良い。

そのままラストなくるさんの「笑う」の伸びが区切られると同時に、deltaさんにノータイムでバトンタッチしてメロディが始まるところも大好きです。


歌詞で感じる"廻った春"

そんな幸福を詰め込んだような歌ですがそう、歌詞です。
この『水彩のカナリア』は何に置いても歌詞に注目したい
順に追っていきますと

まず出てくる『鳥の子色』という色。

鳥の子色

玉子の黄身を指して "鳥の子" と名付けられた色みたいなんですが、温かみのある淡い黄色で04を象徴するような色に思えます。
タイトルの "カナリア" とも最適ですし、聞こえてくる鳥のさえずりがキレイなシーン。こういう環境音の使い方がいつも素敵なんですよdeltaさん。
『🖊と🍎』でもそうでしたけど再確認しました。


次に「小さな大きな世界を飲み込んだ」という歌詞が出てきて、ここを皮切りにカナリアは少女たちの成長を語ってくれます。
特に"小さな大きな世界"という歌詞が学生という存在が見ている「多くを知って世界が広がる」+「それでも知らない世界がまだまだある」ことを描いている点。

そして、ここで出しておきたいのが『花残り、蕾ひとつ』の歌詞の一節なんです。ポイントが2つあります。

花残り、蕾ひとつ:2番Aメロ

1つは花残りの「世界はあまりにも大きいけれど」という箇所。
ここで言っていた"大きい"の部分を、学生生活で経験して、ここまで成長してきたのがカナリアでの彼女たちに思えます。
ゆえに「小さな大きな」なのでしょう。

2つ目が、上の一節にある「足跡」もカナリアの一部とリンクしているという点。それがちょっと飛んでカナリア2番の歌詞。

水彩のカナリア:2番Bメロ

花残りで未来に馳せていた思いが、04ではしっかりと芽吹いているんですよねー。ほんとこういう演出ズルいよEndorfin.さん
加えて言うと「小さくなった靴の数だけ」っていう言葉選びが、直感で彼女たちが"成長した"ことを感じ取れてすごく良いと思ってます。

さて、ここからサビの話なんですけど……

サビの歌詞が大好きです。

まず出てくる単語の1つ1つが尊いんです。
もう"04"ということでCOLOURSも終わりじゃないですか。そんなアルバムの1曲目サビに「一瞬のピースを 宝箱に閉じ込めたら」なんて言われたら落ち着いて受け止められるわけないんですよ。
しかも光景となっている「はしゃぐ鈴の音が笑う」はMVの妖精ちゃんじゃないですか。この場所を永遠にしたいとも思います、みんな思います、現在進行形で思ってます、なんで04で終わるんですかね?
1番サビ後に続く2番Aメロの歌詞は私の天敵です(爆 泣)

ちなみにここで出る「鈴の音」という単語は03の『雷花』でも出ていたので、妖精ちゃんにとって"縁深い/思い出深い物"なのでしょうかね、気になるところ。
「日々の喧騒をはぐれた」(ココモダイスキ)という歌詞もどこか気になる。なんだか別世界に居るような言い方…?

そんな風にサビですでにやられてましたがCメロ/落ちサビでも再度やられます。私も涙が出そうなくらい 「この日々が続いてほしい」 そう願ってしまってます。
あと『音色』って…""""ってあーた……天才ですか?
ああ、Endorfin.だったわ(納得)

『水彩のカナリア』は04のテーマとも言える曲。
また一緒に揃ってこの場所まで辿り着けた4人へのご褒美のような、でも近づく終わりの始まり(春)を遠ざけようとするような、幸せ切つない良い曲です。

ちなみに私は「水彩のカナリア」については【ひとつの可能性世界】みたいな見方をしています。これについては追々で。


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02. citron:残された時間、やり残した事

甘酸っぱく光る曲

カラコロと、パチパチと、転がったり弾けたりするような、どこかあどけなくて可愛い『citron』
Aメロに入るカチカチとした音も、子どもの頃にガラスコップをスプーンやマドラーで打楽器のように鳴らしてたことを思い出して、なんだかとても懐かしい気分になってしまう。
サビや間奏で鳴るストリングスは透明なはちみつレモン水みたいなイメージが出てくる綺麗で麗らかな空気。まさに青春の1ページのような爽やかさ、これをBGMに3人が仲良く登校してたりしてほしいよねー!
それでも2番Bメロの上下に波打つようなところはちょっと神秘的で、不安定だったりモヤモヤしていたり、ふと立ち止まって思いを馳せてるようなシーンが思い浮かぶ。
ハニーシトロンティーの香りを感じられそうなふんわり可愛い曲。

このメロディに乗るなくるさんの歌い方もまた楽しそうで可愛くて良いもの。全体を通してお茶目で陽気な感じに聴こえるけど、歌詞によって少し憂鬱に見えたり、Cメロでは優しく聴こえたり。
特に2番Bメロがすごい複雑な心境に感じるところ。振り分けてるアレンジ由来な感覚もあるんですが、感傷に浸って揺れてるようなパートと今を楽しんでるようなパート。
この楽しい一瞬をずっと感じているような感覚が歌から入って来るんですよねー…これまでの『COLOURS.01~03』という道程よりずっともっと長い時間全部を積み重ねてきたんだなぁ…と思ってしまう。
そしてラスサビ。ここの「フレー↑バー」「多め↑に」ってトーンが上がるところ好きです!一番お茶目さが出てるのか、可愛いというかまだ子供らしさはあれど酸いも甘いも感じてきた、という歌い方で気分が弾むポイント。


近づく終わりを感じながら

可愛い曲調よりも一回り物憂げな3行で始まるcitron。
なかでも2行目の「本音」については03『雷花』にあった「本音さえ飲み込んで」と対応していそうな歌詞。仮に04の時点で3人が再会し、和解やまた仲良くなっていたとしても、まだわだかまりのようなものがあるあるのかもしれません。
それでものらりくらりと過ぎる時間、限りあるこの日々は終わりに向かっていく。残された時間は少ないながらも、少しでもやり残したことや悔いのないように。
そんな中でそれぞれの夢や理想を描いて進路でも決めているのかな、と。現実(果実)と理想(ハチミツ)を混ぜ合わせる時はできるだけ甘く、理想を溶かしながら。
でも甘いだけじゃなくて果実(現実)の中にある酸味(欠点)それすらも大事な一部なんだと大事に抱えて最後の一滴まで味わっている、そんな歌詞に思えました。
特に「作り笑いで"実"を守る」という一節が("実"って"(自)身"なのでは?)と思えて。いくら受け入れたと言っても欠点は隠したくなりますからね。それがCメロの「欠けたわたしを ぎゅっと抱きしめて」からより感じられる点。
またCメロは妖精ちゃんの励ましや応援みたいにも読み取れて素敵。

ちなみにcitronの中で一番好きな歌詞は「運命のリハーモナイゼーション」
【リハーモナイゼーション:Reharmonization】って「コードを追加したり、組み替えてアレンジする手法」みたいなんですが
この"運命の"はつまり、選択によって変わった未来(現在)のことなのか
本来あった筋書き(運命)を現在の状況にまで変えたということなのか
さすがに深読み?でもこの部分が妖精ちゃんの役割みたいな感じがして好きなんですよね。


そんな『citron』ですが、どことなく『秒針とソーダフロート』にとても親和性があるなと感じてます。
言葉のみでは「ティーグラス」くらいなんですが
citronの「途方もない宇宙の~グラス浮かんだシトロン」の節を聴いた時に、ソーダフロートの「水流に投げ込んだ~僕ら出会った」の部分を思い出したんですよね。
ソーダフロートの歌詞については「地球の誕生する確率が、プールの水流で勝手に時計が組みあがるのと同じ確率」という喩え話から来てる歌詞だと思うので、citronの「途方もない宇宙の ほんの一瞬」という一節がリンクしたのかもしれない。

そのうえ、もう少し後の歌詞には「いつも気まぐれな運命 私の手を引いて何を見せるの?」という一文もあり【気まぐれな運命=妖精ちゃんの仕業】と考えると、「運命のリハーモナイゼーション」とも接点があるように思えるところ。

また歌詞だけじゃなくてメロディや曲の展開もソーダフロートとメロディ相性?がいいような?という印象。
もしかしてcitronってソーダフロートをリハーモナイゼーションして作られてる…?(音楽コードとか全く分かりませんが)

そして更にひとつ。2番Aメロの歌詞に「詰め込んだカバンは重くて」とあり、ここが『シュガーレスレイン』の「日に日に重さ増してく荷物」と似ているなと感じたところ。
なんだか02との接点が多い気がする?


『citron』はそれぞれの問題を乗り越え、落ち着いた彼女たちが未来のことを考えながらも、現在を楽しんでいるような曲。曲調も明るく前向き。
でも着実に時間は過ぎていく中で……学生最後の日常を謳歌している。そんな一曲に思いました。


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03. フラフィ:二つ色の少女

柔らかな春風

穏やか~な春の陽気に包まれた一曲。
始まりから終わりまでゆるやかに流れるメロディが「冬から春になるなぁ~」と思わせる、柔らかな日差しに当たりながら午後の教室で窓からグラウンドを眺めてる気分になれる。曲名さながらふんわりした感触に包まれます。
好きなところは2番終わりにある間奏(2:03~2:18くらい)にある「p↑p↑np↑p↓p↓np↑p↑np↓p↓n」とでも書けばいいのか、校内放送のアナウンス音を柔らかくしたような音。曲中でも一番ゆるくて、落ち着いた感じ。でもどことなくノスタルジックかも。
このインスト聴きながらちょっと肌寒いくらいの春の時期に、サンルーフでゴロ寝でもしながら聴いてたらクセになりそう。あったかいねー。

…というインストはそんな感じですよ?ここにね?なくるさんの声が乗るじゃろ?そしたらすっごい切なさに拍車がかかるんですよね~…!
温かくて優しい歌い方が"昼下がりの陽だまり"っていう感触がありますし、高すぎないけど澄んでるマイルドな高音(「鼻↑先撫↑でる南⤴風」とか)が耳に優しくて聴きやすい。そして、それこそが"穏やかさと切なさ"に拍車をかけてる要素なのかな、と。
加えてサビの語尾が上がる歌い方が好きでしてね、ここもまたフワッと弾む感覚があるんですよ。
でも一番好きなのはこの後のCメロなんです!あの掠れて消えそうなくらいの声が歌詞とピッタリすぎて、フラフィの中でも大事な描写なんだなとすぐ理解できるんです。あの色が濃すぎない、絶妙な儚さの出し方がなくるさんの魅力なんですよねー。


揺蕩う白色

「フワフワした」という意味の言葉が曲名になっている『フラフィ』。
歌詞にも"綿毛"と出て来ており、04カラーの黄色も含めて考えると春の花である【タンポポ】がこの曲のモチーフになっているのでしょう。花の"黄色"と綿毛の"白"。2つの色を持ち合わせたナイスチョイス。

歌詞を辿ってみれば、このフラフィは「妖精ちゃんの歌」と言っても過言ではないほど、妖精ちゃんの想いや心境について書かれていそうです。
そして個人的な見解ですと、03の茜ちゃんに少し焦点が当てられてそうな気もしてます。

まずAメロでは「瞳+輝いている」フレーズが2,3回出てきます。
また最後の方には「真っ白なくもり空 消えた」ともあります。
ここの瞳+輝きで思い出したのが『Untitled Sky』MV、1番サビ手前とラスサビ入りのワンシーン(以下の画像)です。

MV 『Untitled Sky』より

そして「真っ白なくもり空 消えた」の部分は『ハートレス・トリコロール』の最初に出てくる歌詞「晴れた空を塗りつぶすような 曇天の下」に対応していそうな箇所。
トリコロールは03において、茜ちゃんが抱えている悩み/スランプについて深く触れている歌になっており、その表現で"曇天"が使われています。
そしてフラフィでは「曇り空が消えた」と綴られているので、茜ちゃんが前向きに歩んでいるような描写に受け取れます。

ここまで『水彩のカナリア』『citron』『フラフィ』と3曲の歌詞を読んできましたが、それぞれ『01』『02』『03』の要素が入っていたように感じました。
こういう過去曲とのリンクを探れるのがシリーズモノの良いところであり、Endorfin.はそういった要素を歌詞に落とし込むのが上手いので勝手に信頼している点だったりします。


「こういう見方も出来るよ!」といった話は一旦置いておき。
歌い方でも触れましたが"Bメロ、サビ"の言葉選び。ここの語感の良さと、どこか不思議さを纏った単語(特に「束の間に白昼夢」&「春色の境界線」)が耳馴染み良いんですよね~…!
この曲の持つ内容/雰囲気において、これ以上ないほどにピンとくる表現。
あと「或る日の"弧を描い"て」を「後悔」とのミーニングだと勝手に聴こえてしまってます。(これは根拠もないただの深読みというもの)
そして2番ではEndorfin.名物(?)【呪い】が登場しています。
言い方は悪いですけど『Horizon Claire』の以下の歌詞を聴いて以来、記憶の端で呪いのように覚えているので……
(というか呪いだったり、鈴の音に振り向いてたり、Claireが親和性高いのよ。同アーティストだから当然ですがね)

いつかの音がふわり漂う
記憶の端で呪いのように
いつまでも覚えている
その旋律に振り向いた

『Horizon Claire』Cメロ より

そんなサビから強く表現され始める妖精ちゃんの心境
1番の「心残る その空っぽな器」は、3人が立ち直ったことで実質役目を終え残された妖精ちゃん(器)の抱える空虚さ、を表現しているのではと想像している点。
そしてCメロではハッキリ書かれている「二色の願い」が妖精ちゃんの本音でもある。

ここで少し疑問に思えることがひとつ。
それが「忘れないでいてほしい」と「忘れて歩んでほしい」という"二色の願い"について。
これは「歩む(前に進む)」ためには、妖精ちゃんを「忘れる」必要があること。言い換えるなら「妖精ちゃんを記憶に留めて、未来に進むことは不可能」ということです。
そんな『妖精』という存在であり『未来に進むと覚えていられない』この2つの要素を分かりやすく表現できる現象があります。

それが【イマジナリーフレンド】

この妖精ちゃんに関しては"空想の存在(イマジナリー)"ではないと思いますが
これまでのCOLOURSシリーズにて

・3人は高校生になった現在、妖精ちゃんを認識できていない
・『雷花』にて「鈴の音+影ぼうし」という過去に関する描写がある
・『サニーサイドクローバー』では「離れ離れの四つ葉」だった

以上のように「昔は一緒に居た4人目(四つ葉)の少女」が妖精ちゃんだ、というイマジナリーフレンド然とした描写もあります。そういった意味でも"妖精"なのでしょう。
ゆえに子供(学生)時代を終了──つまりは卒業してしまうと、完全に3人とは関われなくなってしまうと言っても過言でありません。
これが妖精ちゃんの"揺れ動く想い"と"二色の願い"の正体なのでしょう。

そんな妖精ちゃんが見る記憶の中に光る4人との思い出は、たしかに世界の優しさでもあり、つらい現実と向き合わせる呪いなのです。


フラフィ最後の2行では、小指で結んだ約束の答え合わせをどこかで…と言う風に締めくくられています。
いったいどんな約束で、それがどこで、果たされた時にどうなるのか、妖精ちゃんだけが知っているのでしょう。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐🍀‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐-


ここで一旦区切りです。
前半戦では、01~03のその後・学生生活の終わりに向かう3人の姿を交えつつ
4人目の少女である妖精ちゃんの葛藤する姿が描かれているような3曲でした。

これまで妖精ちゃんと一緒に3人を見守ってきましたが、今度は決断をする彼女を聴き手である私達が見守る番だと思います。


それでは続きは後半戦で──。🍀


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