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【ブルベ記】BRM914博多600km九州横断⑥ ~口之津港→佐賀県伊万里市~


口之津港~フォトC2ハウステンボス

フェリーを下りたことで長崎県へ入った。
まずは雲仙岳を右手に見ながら橘湾沿いを走る。
海沿いとは言え、いきなりパンチフルなアップダウンの連続。
しかも暑い。
フェリー渡る前より明らかに暑い。
あとで確認したらこの日の長崎県は熱中症警戒アラートの「危険」が出ていた。
「涼しい環境以外では、運動等を中止しましょう」ってくらいの暑さだ。
しばらくというか長崎県内はほぼこのアップダウンと暑さに苦しむことになる。

429.5km地点のセブンイレブン雲仙小浜マリーナ店で休憩。
時間は13時28分、グロスは15.0km/hで借金完済、イーブンまで取り戻す。
ここで同じフェリーに乗っていた2人(サイトウシュンスケさん、すーさん)と、長崎で走る外国人のランドヌールと遭遇。
日本語がめっちゃ堪能で長崎のいろいろな情報が聞けて楽しかった。

ここからは旧小浜鉄道の廃線跡にできた道を進む。
廃線跡があるという話は事前に聞いていたが、厳密にどこだか理解しておらず、知ったのは完走後。
知っていればもう少し味わって走れたんだろう。
しばらくゆるゆる上りが続くが、鉄道が走れるくらいの上りなのでそんなに斜度はきつくない。
そして、愛野展望台への上りで一気に斜度は2桁へ。
ためらうことなく押し歩く。
一度緩くなったところで乗車し最後まで上る。
いくらキツイとは言え、乗った方が早かった。

展望台からの眺めは道路からチラ見して終わり、下ってすぐのコンビニで休憩。
452.5km地点、ファミリーマート諫早小野町店。
時間は14時49分、グロスは15.1km/hで貯金は+0:11。
ここでも先ほどのコンビニで会った2人と外国人と遭遇。
ビタミン系ジュースにソフトクリーム、そして持っていたおにぎりを食べてあとにする。
ここから先行していたサイトウさんとすーさんと一緒に4人のパックとなって先を目指した。


ビタミンチャージっ


ポケットのおにぎりには気をつけろ!

4人になってペースは合うのだが、だんだんと苦しくなってくる。
なんか力が入らない。
おかしい、なにかがおかしい。
そして暑さは相変わらずなのに汗が出ていない。
とりあえずエナジージェルが1本残っていたはず、と思いステムバッグに手を入れるが見つからず。
補給でミスしたか、いやさっきのコンビニでカロリーも水分もしっかり取ったはず。
ではなぜ……

原因はおそらく休憩で食べたおにぎり。
この日の午前中、天草のコンビニで買ったものだが、食べるタイミングを失って時間がたち、暑さのせいでもう食べられない状態になっていた。
口に入れたときに、たしかに食べ物とは思えない違和感を感じた。
それでも食べなきゃと思い4分の3を食べ、そこからはどうにも食べる気にならず破棄にした。
さらに暑さで冷たいものや水分の量が増えてしまい、その結果内臓が冷えて活動が弱まっていた。

案の定、走り続けて再び汗が出てくると急に調子が戻ってきた。
まるで別人になったような感覚だった。

473.8km地点、セブンイレブン大村竹松本町店で休憩。
時間は16時10分、グロスは15.1km/hで貯金は+0:15。
少しずつではあるが貯金が出始めてきた。


海沿いの絶景、アップダウンを添えて

この先は大村湾をバックにJR大村線沿いを走る。
大村湾はとても広く、景色も美しい。
途中、海が見える駅で有名な千綿駅の前を通り、チラ見程度ではあったが木造の昔ながらの駅舎の佇まいがとてもよかった。
長崎のアップダウンはここに至っても続き、フォトチェック2のハウステンボスが目の前に見えているのに道が逸れて上りとなったときは「なんでこんな風に道を作ったんだーーー」とこぼれた。

それを越えて下るとフォトチェック2であるJRハウステンボス駅に到着。
ここでの写真は駅かハウステンボスとわかる建物を自転車と一緒に撮ればいいとのことだったので……、両方撮っておいた。


背景の建物はホテルらしい


駅舎はおしゃれ


その先、少し行ったところにコンビニがあるのでそこでも休憩。
505.4km地点セブンイレブン佐世保崎岡町店。
時間は18時10分、グロスは15.2km/hで貯金は+0:21。
アイスコーヒーととろろそばを食す。
まだ固形物が入ることに一安心。


ケイデンス型へジョブチェンジ

今回のブルベはオマケが5km程あるので残りはちょうど100km。
陽も落ちて、でもまだ暑くはあるけれど日中に比べれば涼しくなってきたので、ここから予定通りペースアップすることに。
平地巡航で常に30km越えで、500km走ってきた脚にはさすがにきつい。
まだ追い風な分ついていけているが、余裕はなかった。

ここで先頭を引くサイトウさんを見て気づく、やたらと高いケイデンスでクルクル回してる。
「これやってみるか」と思いギヤを軽くして回し始める。
すると明らかに楽についていける。
この時ケイデンスセンサーの接続が切れていて回転数のモニタリングはできてなかったが、回転数を意識しなくてもついていける。

実はこのブルベの前に行きつけのショップのマスターから「めっちゃ軽いギヤで一瞬でもいいからケイデンス190rpmで回すトレーニングをしておくといいよ、そうすると回せるようになるから」と言われ、何度かやってできるようになっていた。
いつもの回転数より多く回そうとすると、どこかで必ず負荷が抜けるところが出てしまい190には届かない。
しかし、一度でも190で回せるようになると身体の神経系がその動きを覚えるらしく、いつでも数字で回せるようになる、とのことだった。
これができることでクランクがどの角度でもちゃんと負荷がかかっている状態で回せるようになる。
この回せる身体であったことでケイデンスが上がってもしっかりトルクをかけられるペダリングになっていて、このハイペースについていけた。
普段は意識的にトレーニングをしていないだけに、やっていて良かったと思うと同時にちゃんとやるべきことやらないとなと思った。


意識に引かれている、という感覚

途中で先頭がKTHさんに変わり、さらにスピードが上がる鬼引きを敢行。
はっきり言って早すぎてつらい。
明らかにキャパを超えている。
でも、いつもならすんなりちぎれるころだが、なぜかついていけている。

そんな状況で後ろからトレインを見ていると、先頭の人に身体だけでなく意識でも引いてもらってることがよくわかる。
その背中から「絶対にみんなで完走するんだ」、「そのために今オレたちはがんばってるんだ」とゲキが飛んでるような感覚。
それを後ろで受けていると応えないわけにはいかないと思い、不思議といつも以上にパワーが出る。
どんなにペースが上がろうとも「ちぎれてしまうかも」、「置いていかれるかも」という不安が湧く隙すらなく、「絶対に離れねえ」ととにかく無我夢中で漕いでいた。

フレッシュを走るってこんな感じなのかな。

539.9km地点、セブンイレブン伊万里南波多店で休憩。
ここはイートインがあったので迷わず消費税10%を払って椅子に座る。
地ベタよりもぜんぜんいい、落ち着く(ヽ´ω`)フゥ-3
カップ味噌汁とマウントレーニアのカフェラテ、チョコパンで補給。
しかしなんでブルベ後半の味噌汁ってなんでこんなにおいしいんだろうか。
汗を沢山かいた身体に塩っ気が染みわたる。


ブルベの夜のみそ汁はなぜこんなにもおいしいのか again


補給を終え、出る準備をしてると防人さんと入れ違いに。
てっきり最後尾だと思っていたがまだ後ろにいたらしい。

ハウステンボスから伊万里、有田、唐津と焼き物の街を通っていく。
残念ながら真っ暗でそういった雰囲気を微塵たりとも感じなかった。
焼き物も好きなのでちょっと残念。
覚えているのは、ドライブイン鳥の人がすごかったのと、唐津湾に出る手前の虹ノ松原が真っ暗でもさぞ素晴らしい松原だとイメージできたことくらいだ。

休憩後もKTHさんの鬼引きで虹ノ松原を抜け唐津湾沿いを走る。
空には阿蘇以来、2度目の月が見えた。


福岡県に帰る、ゴールに向けて進む


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