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【ブルベ記】BRM914博多600km九州横断④ ~フォトC1→阿蘇、仮眠~


フォトC1~PC2 運命の分岐点

赤松峠を越えると別府市街地への下り。
左手には別府湾、右手には山頂に雲がかかっているが鶴見岳、由布岳が見える雄大な景色。
ここまで来て初めての素晴らしい景色に声が出た。

別府市街に入ると信号峠に。
別府って意外と大きな街なんだなとびっくり。
温泉地らしく観光バスもバンバン通っており気を遣いながらの走行に。
途中、田ノ浦公園に立ち寄り写真をパチリ。


海はいい


ボトルの水がまた底を付いたので補給すべく先を急ぐことに。
田ノ浦公園のすぐ先に道の駅があるとのことでそちらに寄ろうとしたが、あいにく対向車線にあり、渡るのも難しそうだったのであきらめる。
先に進むも海沿いの道なのでいくら進んでもコンビニはおろか自販機もなく、結局補給できたのはそこから5キロ先の大分市街のコンビニ。
通過チェック1のコンビニまで10kmを切っていたがやむを得ない。
そしておなかも空いてきたのでどこかお店で食べよう、としたらタイミング良くファミレスのジョイフルが現れたので入ることにした。

ジョイフルって名前は聞いたことあるけれど関東では見ないので、これも大きく括れば九州グルメだと適当に理由をつけて入る。
(後で調べたら普通に全国展開していたw。地元神奈川になかっただけ)
とにかく一度腰を落ち着けてゆっくり食事をしたかったし、人の手で作られ温められた食事を摂りたかった。


出会い

自転車を止めようとすると他にも一台の自転車が。
あきらかにランドヌール装備である。
店内に入り、通され席がたまたまその持ち主の方の近くで、思わず声をかけてしまう。
XにてKTH_0207A(以下:KTHさん)のアカウントで投稿していた方で、見覚えがあったのですぐにフォローし合う。
彼はまだ主催に連絡はしてないもののDNFを決めたらしく、これからどうするかスマホを見ながら考えていたらしい。
せっかくなので一緒におしゃべりしながら”すき焼き鍋定食(うどん麺入り)”をつつく。
なにを焦ったかつける用の卵を溶いたらそのまま鍋の中に流してしまった。
牛丼と間違えたのか疲れているのか……。


卵をかけた後w


しかし人と話すってとてもリフレッシュする。
ここまでほぼ一人で走ってきたし、PCやコンビニで会話はするけど、内心早くスタートしなきゃと気が競っていたから、ゆっくり落ち着いて人と話すのは走り始めてから初めてのことだった。
ここで彼とぼくの行く道は別れてしまうけどそれはそれでいいし、その分、自分もゴール目指してがんばろう、と思ったのだった。


が……


二人で外に出ると雨が土砂降り状態。
お別れのと挨拶しようとしたところ、KTHさんの口から驚きの言葉が出てきた。

「途中のコンビニで雨合羽買えば走れるでしょ」

ん?、DNFするならJR大分駅は目と鼻の先。
わざわざ買う必要なんてない。
確かにこの土砂降りの中で走るにはかっぱが必要だ。
現に自分もレインウェアを着て準備している。
そして走り出して後ろを見ると。

いるやんっ ∑(・ω・ )えっ
ついてくるやんっ  ∑(・ω・ )ええっ

どうやらDNFをやめ再度ゴールに向けて走る決意をした模様。
消えかけてたやる気に火をつけてしまったw
(彼は後に「お助けマンにジョブチェンジした」と書いている。
あたしゃダーマ神殿の神官かいっ(  ̄∇ ̄))

ということで、ここからはKTHさんとともに二人でゴールを目指すことになった。


雨は止み、風は追い風に

173.1kmの通過チェック1、ローソン 大分皆春店には19時27分に到着。
ここは軽めの休憩ですぐに出発。
ジョイフルを出るときに降っていた雨は10分ほどで止み、雲の厚みも取れてきたので雨具はここで脱いでしまうことに。
そしていつのまにかしれっと阿蘇への上りも始まっていた。
街灯もなく真っ暗な道を自分の灯りだけを頼りに進み、207.0kmでPC2ローソン豊後大野三重市場店に到着。
時間は21時06分、グロスは16.9km/hで貯金1時間32分
二人になったことに加え風が追い風基調になったことでペースが上がり始めた。


大分なのに三重だ


雨と阿蘇ヒルクライム PC2~仮眠

PC2を出発してここから阿蘇を目指す。
最高標高地点780mまで距離50km弱を使ってダラダラ上がっていく。
夜になって気温が下がり、雨も降ったりやんだりでさらに涼しくなり、風は変わらず追い風基調。
距離は長いけど、斜度5%を越えない程度と緩いので淡々と上っていくにはとてもいい条件。
ただ街灯がほとんどなく辺りは真っ暗。
あまりに真っ暗すぎてどこを走ってるのかなんてさっぱりわからない。
「今、自分が阿蘇を上っているんだ」と実感できるのは道にある看板にその文字を見つけたときだけだ。
この暗闇の向こうには雄大な景色が広がっているんだろうなあと妄想しながらペダルを踏む。

そんな真っ暗な中でも、2人で上っていると精神的にとても楽。
1人だとついがんばってしまうけど、もう一人いるとはやる気持ちを抑えられる。
232km地点にあるファミリーマート竹田玉来店で小休止。
ここから頂上まで斜度が少し上がるので、一度心を落ち着ける。

そしてここから10km進むと右手に道の駅すごうが。
例のブリーフィングで話題になったあのコンビニである。
レビューには定期的に「車で休憩していたら出ていけと言われた」とか「車叩かれた・蹴られた」いう明らかにヤバい言葉が並んでるらしいが、この日は車が何台か止まっていたもののいたって静かだ。
ちなみに自転車の姿はなかった。
あそこまで言われてしまうと怖いもの見たさもあって近くに行きたい気持ちも湧くが、それこそやぶ蛇になったら精神的ダメージがデカすぎるので、今回は遠くから見るだけにした。

しかしいい位置にあるんだよなあ、このコンビニ。
つい休憩したくなっちゃうような距離。
232km地点で休憩したのは、先に進むと次のコンビニがここだったので、それを回避する意味もあった。


サイコン、バカになる

阿蘇の上りも後半に差し掛かり、斜度が増してスピードが落ちていく。
と、ここでサイコンにトラブル発生。
どう考えても斜度表示がおかしい。
常時表示が1%で、上がっても2%まで。
いやいや明らかにそれ以上でしょというところでも、黙って1か2をひたすら表示し続ける。
KTHさんに確認すると斜度は「それくらいだよねえ」という数字を指し、さらに標高は100mも上をいっていた。
こっちが300mを指していて「この残り距離でまだ500も上るのかよー」とつぶやいたら「え、あと400ですよ」と言われてやっと確信が持てた。

どうやら気圧の影響でセンサーがバカになっていたらしい。
サイコンの表示する高度は実際の高度の変化による気圧差から割り出しているので、そもそもの気圧が低い天候だと「上ってない」と判断されて低く出る。
特にこの日は雨が降っていることに加え、九州の西海上に台風13号が居座っていた。
斜度が出ない理由もこれなら納得がいく。

あとでGarmin Connectでチェックしたら阿蘇のトップで標高342m。
実標高は780mだから明らかにトチ狂ってやがるw
もし不調に気づかなければ、実際の頂上も自分の頭の中ではまだ中間地点であり、さらに440m上がるつもりになっていた。
あー、数字って怖い。

ということでただ暗闇だった阿蘇を無事に上りきり、ここから熊本市街までの55kmはダウンヒル。
まずはつづら折り区間。
直前に「エンジンブレーキかけろ」の看板があり、斜度がきついことは容易に想像できてハンドルにも力が入る。
下ハン持ってガツガツ下っていく。

一度緩んだところで集落に入り、コンビニを発見したので休憩を取る。
259.8km地点のローソン阿蘇一の宮店。
時刻は日付が変わって9月15日0時45分、グロス16.3km/hで貯金は1時間24分である。


ブルベの夜のみそ汁はなぜこんなにもおいしいのか


阿蘇の湧き水には出会えず……

熊本と言えば水がきれいな場所として有名だ。
その水は阿蘇山にて濾過され、各地に湧き水を供給している。
県内には湧き水スポットがたくさんあるとのことなので、どこかで汲めるかなと出発前に調べてみたが、今回通る国道57号線沿いにはあいにくなかった。
もう少し南に行った南阿蘇鉄道沿いにたくさんあるようだ。
熊本市内も調べてみたが特にはなく、今回はご縁がなかった。
残念。


熊本市街へダウンヒル

真っ暗の中をダウンヒル。
ガードレールの先がどうなってるのかはさっぱりわからない。
途中新しくきれいな道もあったが、斜度もきつく気を抜いたら暗闇へダイブである。
自転車はリムブレーキだが、それでもコントロールは十分にできるので慎重にかつ大胆に下る。

大津の街に入ると先を走っていたランドヌールに追いつく。
この先でホテルを取っているとのことで、途中までご一緒する。

300kmを越えて熊本市街に到着。
ようやっと半分だ。
ここまでで貯金は下りのおかげもあり2時間ちょっとまで膨れ上がった。
そろそろ仮眠を考えるころである。
当初の予定ではコースから外れて2.6km先のスパ銭”湯らっくす”で取るつもりでいた。
湯らっくすと言えば西のサウナの聖地と呼ばれるほど人気の高い施設。
どうせ行くならお風呂もサウナもしっかり楽しみたい、そして仮眠も取りたい。

そうなると2時間ではちょっと心許ない。

いうわけで早々にあきらめ、KTHさんの勧めでもある市街を抜けた先の快活CLUBに入ることにした。快活CLUBなら会員にもなっているし、前回の300kmでゴール後に入りブルベにおいての使い勝手の良さを知っていたので大歓迎だ。


やっぱり素敵、快活CLUB

317.9km地点でコースを外れ、3時40分、快活CLUB熊本宇土店に到着。
再スタートは6時にした。
あいにく鍵付き個室は満室だったのでフラットブースを選ぶ。
こういう時間を効率よく使いたいときに勝手がわかってる場所というのは、それだけでメリットが大きい。
部屋に入ったらすぐに充電をし、シャワーを浴びてインナーを取り替え、身体をほぐしてアミノ酸サプリを飲んで目を閉じる。
神経が高ぶってるのか寝に落ちることはなくうつらうつら程度であったが、それでも1時間以上身体を横にして休めれば十分にリフレッシュできる。

5時20分に起床。
ソフトクリームマシンが動いていたのでコーヒーフロートにしてカフェイン&糖分補給。
あと余っていたおにぎりをここで頬張る。
身支度を済ませ、予定より少し遅れて6時過ぎに再スタートをした。


お世話になりました。


九州の反対側の海を目指して


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