2022夏
変形性肘関節症の右肘の手術をして約3ヶ月。ぼちぼちと柔術のスパーリングを再開している。
術後2ヶ月が経過した時点で撮影したCT画像を見ながら、執刀した先生は、
「まだ結構変形してるねー」と開口一番に言った。
「マジかよ」
正直そう思った。手術したらすっきりするって言ってたやん。
まあそれでも、手術前は食事、歯磨きにも難儀してたから、それに比べれば全然ましか、と思うことにした。
ところで、
「このまままた柔術を続ければ再びより変形してくるんですよね?肘は」と一応聞いてみた。
「そうだね。そしたらまた手術したらいいよ」とあっさり言われた。
「この術式(内視鏡)は患部が癒着しないから、何回でもできるのよ。だからまあ3年後にすればいいんじゃない?」
マジかー。あっさり言ってくれるなー。
あれをまたもう一度やるのか、早ければ3年後に、、
痛くて毎日時間がたっぷり取られるリハビリを含めて丸々3ヶ月。
多大なる時間とお金をかけてもう一度、、
柔術やめようかなー。そうすればおそらく再手術をする必要もなければ、再び痛い思いをすることもない。
日常生活では案外、箸、歯ブラシ、いっても包丁ぐらいまで持てれば問題ないのである。それを今回如実に感じた。(私の場合はもう少し重いカメラまでだが)。日常生活とは本来そういうもので、肘への負担は全然軽い。
一方で、柔術である。
抗う相手を組み伏し、押さえつけ、腕を捻じ上げる。ないし首を絞めあげる。抗う、というのが肝だ。やられまいと必死で抵抗している者を、いわば力づくでやっつけなけれならないのだ。
逆も然り。相手は私の右肘を満身の力であらぬ方向に捻じ曲げてくる。あるいは全体重をかけて抑え込んでくる。そのプレッシャーから逃れなければならない。それが柔術だ。肘への負担は如何程ばかりか。想像に難くない。そうして徐々に骨が変形していく。
「どうすっかなー」と悶々とした日がしばらく続いた。しかし私は、トライフォース高円寺とトライフォース八千代で柔術を教えている。仕事としてずっと休むわけにもいかない。ありがたいことに私の復帰を待ってくれている人達もいる。
柔術をまたがんがんやるぜーとまでは吹っ切れてないものの、そうして、指導から柔術に復帰することになった。
やり始めるとやはり楽しくて、徐々に徐々に、柔術への熱が復活してくる。ガチにやればまた手術することになるのが分かっているのに(笑)人間て馬鹿である。愚か者だ。ただ、効率だけを考えて生きている訳ではないから、AIでも動物でもなく、人間なのだともいえるが。
ひとつ言えるのは、柔術が私にとって単なる趣味だったら、やめていたかもしれない。それは山で滑落して6ヶ月間柔術から離れていた時もそう思った。インストラクターじゃなかったらやめていただろうと。
フリーランスの写真家、柔術家として生きているから、続けていくのだろうと。
2022年7月21日で52歳になりました。ということで、変わらず私は元気です。右肘以外。
フェイスブックに上がってくる過去の投稿によると、45歳になった時に、「結構ポンコツになってきました。柔術はやれてあと5年ぐらいかな?」と呟いていました。
それをあっさり過ぎちゃったな(笑)良いのか悪いのか。
ただ、柔術は楽しい。それだけは言える。
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