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第六感を呼び覚ますもの

我が家にとって高尾山は散歩の範疇である。

毎年正月には家族で山中にある薬王院に初詣に行く。いわば、おらが山。

私は東京の西の端、高尾に暮らしている。

高尾山は八王子市にある標高599mの山。年間300万人もの人が訪れる。

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田舎に生まれ育ったひとには、「おらが山」ともいうべきものがあるんじゃないだろうか。

子供の頃から何度も登り遊んだ親しみ深い山。カブト虫をとったり、釣りをしたり、栗や山菜などを採った、あの山。たいていおらが山は低山、里山なのだろうな。関東だと神奈川県の大山、茨城県の筑波山、群馬県の赤城山、そして東京都の御岳山や高尾山などがそれに当たるだろう。いや、もっと無名で低い山でもいい。

俺も和歌山にはある。役行者が開いたとされる鳴滝不動尊が祀られてある、実家の背後に聳える紀泉アルプスの山々だ。しかし東京に出てきて20年以上、もはや人生の半分以上をこの地で暮らしている。いくらアイデンティティーの形成において核ともなるべき多感な10代を和歌山で過ごしたとはいえ、この歳月は無視できない。俺は和歌山人であって、東京人でもあるのだ。

いったい何回登れば、おらが山となるのだろう? 何十回、何百回......。単純に山頂に立った回数ではないのだろうし。

一方でやはり回数だともいえる。それだけ登っているからよりいっそう愛着が湧き、発見、出会いもあるということだ。

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拙著『すべての山を登れ。』より引用。

続きを読みたい方は以下からどうぞ。Kindle版もあります。全10章のうち、そのひとつが高尾山です。

とまあ本にも表しているぐらい、何回も登っている山「高尾山」、登山回数は3桁を越える。

その高尾山に、土曜日息子を連れて登ってきた。

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息子は今回のコロナ事案で小学校が休校になって以来、家に籠ってゲームばかりしている。

私と違って、インドア派なのである。一向に外の空気を吸いに行かない。

日光浴は免疫力アップにも繋がるし、だだっ広い山の中では、推奨されている他人との距離1.8mのソーシャル・ディスタンス(社会的距離)も十分保たれている。仮に罹っていたとしても他人にうつすことも、うつされることもない。

通常の同じ時期と比べると、登山者は随分と少ないけれども、

それでも思っていたよりはいた。

カップル、ファミリー、老夫婦、トレイルランナー、外国人と、様々な人達がいて少し驚いた。

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近場の山に登りに行くぐらいは、今後も許されると思う。ロックダウン中の欧州でも散歩は許されているというしね。

一日の大半を家で過ごされている方が多いと思います。山の写真を見て、少しでも癒されたら幸いです。

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山サクラが綺麗にまだ咲いていた。

樹々、土、光...

ひとも生きもの。

時に五感を解放することが必要だ。いや第六感でさえも。写真はその感覚を呼び覚まさせてくれる。

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井賀孝
頂いたご支援は取材費に充てさせていただきます。その体験を写真や文章を通じ、みなさまにフィードバックできたらなと考えます。