なんでつらいの？

誰かにとって当たり前のことが、別の誰かにとっては未知の世界の話だったりする。
羨ましいと思うこともあれば、それが自分じゃなくて良かった、と胸をなでおろすこともある。

自分を形作るものは、育った環境や昔からの習慣、自分の意思では選べないものが大部分を占めるけど、大人になった途端にすべて自己責任になる。考え方も、人との関わり方も全部そう。

過去を変えることはできないと分かっているのに、過去のことを考えては、煮えたぎるような怒りに呑み込まれたり、泣いても晴れない悲しみに包まれる時がある。

自分の存在を罪だと感じ、罰さずにはいられなくなる時もある。悪いことをしていなくても、焦りの気持ちでいっぱいになる。誰かに怒られることを恐れて、手のひらに汗をかく。

でもそれは全部、自分のせいじゃない。

少しだけ元気な時、周りの人が安心をくれる時、前に進もうとする足首を強く握り、離さず、引っ張ってくる記憶を、なんとか振り切る力が湧いてくる。

世の中には洗脳という恐ろしい現象がある。思想を書き換えられちゃうらしい。他人の言葉を、自分自身の考え、自分自身の気持ち、自分自身の選択だと思い込む。ほんの数年、数ヶ月の間に受けた洗脳でも、解くのはとても大変らしい。

生まれた時から何度も、繰り返し語りかけられた言葉が、宇宙まで飛んでいけるような羽根になることもあれば、浴びせられ続けた結果、心の底の光が届かない場所まで根を張ることもある。暗闇の中、その根を辿り、断ち切るには、時間もかかるし、誰かの助けを必要とすることもある。でも一度、自分の中に、自分ではない根が張り巡らされて、それに養分が吸い取られていると気付いた以上は、もう無視できない。
高く飛べる羽根を羨んでも、今さら美しい羽根は生えてこない。でも、根を断ち切れば、前に進める。飛んだことないからわかんないけど、私は、歩くのが好きだから、飛べないけど、自分の足の裏の感覚を、しっかりと感じながら、地面を交互に踏んで、楽しいって思ったり、なんかそういうことがしたい。

ここからが本題で、最近、目からウロコが落ちるような新しい発見があって、それってほとんどの人からすれば、今さら何言ってるの、と思われるようなことだけど、個人的にかなり衝撃的だったので、お伝えしたいなと思いました。
子供の頃からずっと、つらい気持ちが自分にとって普通の状態で、もはや何の疑問も持たなかったけど、なんでつらいのか考えてみた時に、自分の外側にその原因があるとずっと思っていて、確かにそれもあるけれど、自分の考え方がつらさを生んでるとは、全く思いもしなかったわけです。自分の考えは把握しているものの、考える方法について着目したことがなかったわけです。
これまで自分が物事を決める際、行動を起こす際、信じて疑わなかった「ものさし」。それは、
・してはいけない
・しなくてはいけない
・した方がよい
・しない方がよい
・してもよい
・しなくてもよい
すべて、存在しない誰かから禁止され、強制され、許可を得るものでした。私は私の人生を生きているのに、私の気持ちはどこにもありませんでした。正確には私の気持ちはずっとあったけど、無視され、却下され続けてきたのです。つらくないはずがない。でも一体誰に？
人から言われた言葉が、世間が正しいと見なしている価値観が、知らないうちに自分の中で絶対的な君主になり、それがあまりにも自然で、自分を優先するという選択肢があることにも気が付かなかったのです。
・したい
・したくない
・する
・しない
こんなにもシンプルな判断基準が、この世にあるなんて知らなかったし、自分の意思で決めていいなんて、果たしてそんなことが許されるのか、ましてや多くの人はそれを当たり前だと思っていることに、愕然としました。私のこれまでの時間、これまでの人生、一体何だったんだろう。無駄だったのではとすら思いました。でも気付かないまま、死ななくて良かった、とも思いました。
机の上に、新しいものさしが置いてあるのに、つい古いものさしを手に取ってしまうこともあります。でも、なかなか使えなくても、置いてあるのとないのとじゃ全然違います。いつか自然と使いこなせるように、なるかもしない。使いこなしていることにも気付かないくらいに。
自分が惨めな気持ちになるようなことはしたくない。絶望を感じる環境から逃れたい。楽しいと思うことに罪悪感を感じないようになりたい。毎日、毎秒、自分のためになることをして、遊ぶように暮らしたい。クソみたいな、これまでの無駄な人生を、10倍速で取り戻したい。10倍速が無理でも、10倍の濃度で生きたい。