もし自宅の水道から水が出なくなったら①
もし家の水が出なくなったら。。。
そうなることを想像するのも難しいぐらい、生活に欠かせない水。その水が義父母の家では少しずつでなくなって行った。
理由は水源の湧き水。夫婦は田舎に一軒家を建て、山の斜面の湧き水から生活用水を得ていた。春には山菜を取り、夏は冷たく、冬は温かい湧き水で生活を回していた。
築30年になろうとする2019年ごろ、その湧き水が段々出なくなった。ちょろちょろからポタポタへ。水を汲みに車で市営公園まで行くようになる。洗濯は人目を避けて、深夜3時のコインランドリーへ。水が出ない哀れな生活を噂話の飛び交う周囲に知られては困るからだ。
85歳を過ぎた父母の苦境を知り、海外単身赴任する連れ合いは、私に家の家計からお金を工面してほしいと言ってきた。近所の水道管から分水してもらうのに、地元の水道工事業者は100万強円の見積もりを出してきた。
生活に必要な水、誰もが享受できるこの恩恵を得るのに、個人がそれほど高額な費用を払うのか。公的資金は当てられないのか。
国内に残る私は、高すぎる見積もりをらどうにかしたいと、近所にできたばかりの「シニアサポートセンター」に相談した。ある程度知り合いで、ワンストップでなんでもやりますよと意欲的。二つ返事でOKしてくれる。
その後彼の支援を得て、隣家に分水の交渉をするところから計画は始まった。2022年秋のことである。その頃はまさかこれほど計画が難航し、費用が跳ね上がるとは思いも寄らなかった。