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大阪東京24時間走破!キャノンボールに1年かけて復帰する話

2024年11月23~24日、大阪→東京キャノンボール 528.8km、24時間走破を達成しました! >> https://www.strava.com/activities/12967755235

思えば最初のキャノンボールに足を踏み入れたのが2014年。あれから10年の歳月と11回のチャレンジを経て、ようやく東京⇔大阪双方向達成を果たせた。これを“我が第二の青春”と言わずして何と言おう。
語りたいことは山ほどありますが、ここでは昨2023年の失敗挫折から、今年の達成を果たすまでの1年間に焦点を当てます。


※ 始めにお断りしておきますが、この noteは ACTIVIKE とその仲間たちを絶賛する内容となっています。私には ACTIVIKE のサポートが見事に当てはまり、結果も出たので、べた褒めです。案件じゃないからね。

10年間のキャノボ履歴

腰痛と年齢の壁

これまで11回チャレンジしてきた中で、24時間達成できたのはたった3回だけ。

  • 2014年、3回目の東京→大阪(東海道)

  • 2017年、8回目の東京→大阪(甲州+中山道)

  • 2024年、11回目の大阪→東京(東海道)<今回

昨年の時点で達成できていた2回は、いずれも東京→大阪のみ。逆方向の大阪→東京は全て失敗。

このままで終わることはできない、何としても大阪⇔東京双方向を果たしたい。

その想いを叶えるべく、昨2023年、大阪→東京に向けて10回目に挑んだのです。

・・・結果、達成はおろか、完走することさえできず、大船でリタイア。
この結果は大きなショックでした。というのも、このとき自分の前に“年齢の壁”が立ちはだかっていることを実感したからです。

この後、ほどなく猛烈な腰痛に襲われました。当日は気力で何とか持っていたのですが、2~3日後、歩くことさえ困難になりました。杖を付いて、足を引きずりながらやっと通勤電車に乗れるといったありさま。(ちなみに元気だったときは自転車通勤。)
で、杖を付いて電車に乗って分かったのは、席を譲ってくれる親切な人がとても多かったことです。(試しに杖を付いて電車に乗ってみてください。誰かが必ず席を譲ってくれます。いい世の中ですね!)
さらに分かったのは、譲られる側の気持ち。
 「いや、ワシはまだそんな歳ではない、まだまだ元気だから」
・・・と言いたかったところですが、現実はいかんともし難く、おとなしく席を譲ってもらいました。

過去の記録を振り返ってみると、ピークは「2017年、甲州+中山道達成」あたり。ここ数年のタイムは、少しずつ、けれど確実にジワジワ落ちる一方。もうキャノンボールは潮時かなぁ~と、「引退」の文字がチラつきます。
ただ、いざ引退を思い浮かべると、実に寂しいものがありました。

 これから先、何を目標に走れば良いのか。

それに、引き際が何とも中途半端です。やはり、ここで引き下がるわけにはいかない。10年前、最初にチャレンジしたのが大阪→東京なのだから、大阪→東京だけは達成したい。そう思い直し、もう一度、キャノンボール復帰を目指す決意を固めたのです。

沖縄キャンプで姿勢を正す

まずはっきりしているのは「腰痛を治さない限り達成できない」ということ。自転車の乗り方を根本的に見直し、腰に負担をかけない対策を打ち出す必要があります。そう思っていた矢先、絶妙のタイミングで1通のメールがやってきました。

 「おきなわで合宿を行います!
  今年こそ“1つ上”にいく1年に
  Bicycle Training Camp in OKINAWA」

見ると、以前フィッテイングをお願いした ACTIVIKE というところから送られてきた宣伝メール。なんか、沖縄で自転車の合宿やるらしい。定員12名。・・・いやいやいや、10万円も払ってわざわざ沖縄まで行くのって、絶対、ゴリゴリの奴らだけでしょ。と思って一度はそのままゴミ箱に入りかけたのですが、よく内容を見ると、自転車のことだけでなく、同時に体のメンテナンスも行うらしい。考えてみると、世に整体は多数あり、一方、自転車を扱うショップも少なくありません。しかし、両方同時に見れるところは非常に限られています。
ひょっとしてこれは、自分の目的にピッタリなのではないか。
合宿の時期は2月。10月に腰を痛めてから5ヶ月。まだ完治していないものの、普通に乗れる程度には回復しています。そう考え直し、休暇をとって、エイヤッと申し込みを決めました。

・・・で、結論から言うと、

  この合宿で、腰痛が治った。

  • これまでの乗り方では、腰と背中、太もも前面を酷使していた。
    その場でステムを交換し、ポジションを修正。
    これからは“体幹”で乗れるようにトレーニングを受けた。

  • 体への施術が効いた。
    半分腰痛で参加したのが、初日で治った!

  • ゴリゴリの奴らばかりかと思っていたら、案外そうでもなかった。
    私が最年長かと思っていたら、もっと上の年齢の方もいた。

肝心なのは体の使い方

ここで最も重要なのは「体の使い方」です。

腰が痛い!
痛くない

上が腰痛になる「改善前」、下が痛くならない「改善後」です。
上は、いかにも腰が痛くなりそうですが、下はそうでもないように見えませんか? この2枚の写真は後から思い出して、多少大げさに再現してみたものです。大きな違いは、

  •  腕が伸びきっている → 自然に曲がっており、力が入っていない。

  •  腰がうんと遠くにある → 近くなっている
    (ハンドルが手前に来ている)

もちろん自転車のポジション決めは大事ですが、それだけではありません。(この上下写真の自転車は同じポジションです。)
もっと大事なのは「体のどこががんばるか」にあります。具体的には、

  • 太ももやふくらはぎががんばる → 腹や腰ががんばる

ポジションは、腹や腰ががんばるためのお膳立てをしているのであって、単に位置を変えただけでは(腹や腰が活躍しなければ)意味が無いのです。腹や腰が活躍している状態のことを、その道の人たちは“体幹で走る”と言っています。体幹で走れるようになると、無理をかけていた部分の痛みが無くなるとのこと。

キャノンボールは、24時間、500km以上漕ぎっぱなしです。そんなに漕いでいたら、体のどこかが痛くなるのは当然と思われるかもしれませんが、

『 正しく乗れていれば、痛くなることはありません (キリッ) 』

フィッティング担当のにっしーさんは、こう断言しました。

そうなんです。上手くすれば、500km走っても体が痛むことは無いのです。そのときは半信半疑でしたが、後に、私自身が身をもって証明することになります。

“体幹で走る”とはどういうことか

ここで、分かったようで分からないのが“体幹で走る”ことの意味。“分かる”というのは、ネット記事などを見て頭で理解することではなく、体に染み込むということです。よく分からなかったので、にっしーさんに質問してみました。

Q1.体幹で走るとは、ずばり、どういうことなのでしょうか?

答は次の通り(一部抜粋)

歩いていてモモばかりが疲れると言うのはあまり経験がないと思います。これはなぜかというと、体幹を起点にした動作を脳が自動制御しているからなんです。 ・・・
体の部位でいうと、腹筋・背筋やお尻周りにじんわりと使っている感覚が得られます。 ・・・
体幹の奥の筋肉であるインナーマッスルを鍛えていくとフォームが改善されます。

Q2.動画を参考に体幹トレーニングすると、背骨の痛いところを直撃します! これが体幹というものなのでしょうか?

何とも情けない質問なのですが、それに対する答は、

今回の症状の場合、腹筋が使えていないです。おそらく腰をそってしまっているので、お尻の穴を閉めるように意識しつつやるようにしてみてください。 ・・・
腹筋と背筋の両方を均等にバランスよく使えている状態であれば、背中が痛くなることはありません。

ざっくりまとめると、

  • インナーマッスルと呼ばれる一群の筋肉の存在に気付き、ここをしっかり使えるようにする。

  • それには日々の体幹トレーニングが効果的。
    ただし、間違ったやり方ではいけない。

効果は3ヶ月で表れた

こうして教わった体幹トレーニングを2月、3月、4月と続けた結果、5月には「けっこうイケてんじゃん!」と思えるほどに効果が上がってきました。たった3ヶ月と思えば、劇的に効いたと言えます。
最初に効果を感じたのは、トライアスロン用に乗っていたTTバイクでした。

※ 沖縄合宿に持って行ったのは通常のロードバイク。その後、「ではこちらも同じように」とフィッティングしてもらったのがTTバイクです。

ここでGWを迎え、いよいよキャノンボールへの復活チャレンジとなりました。選んだのは、国道2号: 大阪→門司 530km。その経緯は、前回のnoteに記載しました。
 >> ロードバイクのフィッティングはどれほど効果があるか

なぜ、最終目標の国道1号: 大阪→東京ではなかったのか。
天候と風向きが悪かったという理由もありますが、もっと大きな理由は、まだ腰痛が心配だったこと、国道1号がクリアーできる自信が無かったことです。

  • この時点で、腰への負担が少ないと感じていたのがTTバイクであった。

  • 国道2号の方が、国道1号より走りやすい。

そうした理由から、まず国道2号に向かうことに決めました。

※ 実際に走った感想からすると、国道2号が1号より楽、ということはありません。どちらも同じようにきつい! ただ、交通量の少なさ、路面のきれいさからすると、国道2号の方が1号よりおすすめです。

国道2号は、3年前に一度走破しています。その逆コースにチャレンジするにあたって、一番起こって欲しくなかったのは、
 「前回よりも体力が落ちた結果、走破できなかった」
という結末でした。
もし今回走破できなければキャノンボールは引退しよう。
そう思い、腹をくくって臨んだ結果は・・・

 以前より良くなっている!

これ、とっても嬉しかったですね~。
低下が止まった。わずかであっても向上した。引退は無しの方向で!

その後の経緯をサックリと

  • 7月:表富士山スカイラインを登ったところ、完治していたと思っていた腰痛が再発。ロードバイクでヒルクライムすると負担がかかることを再認識する。

  • 9月: いま一度、ACTIVIKE にロードバイクを持ち込み「ヒルクライムでも腰痛にならないように」と懇願。
    調整の結果、別の自転車ではないかと思えるほど登れるようになる。
    この時点で「国道1号キャノボ行ける!」と確信する。

  • 10月: Bicycle Training Camp in 伊豆(今度は伊豆で合宿)
    最終調整。ちょっと気になっていた膝外側の痛みが、施術とクリート調整によって完全に消えた。

  • 10月: 河津フラワートライアスロンにて、Bike過去の自己最高記録を打ち出す!
    かつて無かったハムストリングと尻の痛みに見舞われる(腰痛とは別物)。今まで使っていなかった筋肉を動員したのだと、前向きに捉えることにする。

過去を越える

中間地点の比較

これは、過去にチャレンジした大阪→東京キャノンボール4回について、12時間後に通過した地点のマップです。赤線は今回(11回目)のコース。最も速かったのは1回目、最も遅かったのは2回目。その差は 13.5km 程度、時間にすれば 35分くらい。そこまで 260km以上走ってきたことを思えば、前半ではほとんど差が付かないと言えるでしょう。それでも中間点で少しでも昨年を超えたことは、気持ちの上で大きなプラスでした。
(1回目が最速というのは意外ですが、このときは強い追い風で、条件が良かったためです。)

差が出るのは、ここから先の後半戦です。
前回(10回目)の記憶をたどると・・・

  • 中間点までは良いペースで進んだ。
    このまま行けば、達成は固いと思っていた。

  • ところが、中間点から静岡にかけて、気付いたらいつの間にか時間が無くなっていた。

  • 最大の上り(熱函道路)に苦戦し、DNFとなった。

このグラフは、今回達成時の、各時間帯の平均速度とケイデンスです。

平均速度 | ケイデンス

12~15時間は掛川~静岡~沼津に相当するのですが、この時間帯の平均速度は20km以下と、ペースダウンしていることが見て取れます。
(最もペースダウンしている16時間目は御殿場への登り、続く17時間目は御殿場からの下りです。)
一方、同じ12~15時間のケイデンスを見ると、それほど落ちていないことが見て取れます。

つまり、この掛川~静岡~沼津区間は、交通事情でペースを落とさざるを得ない“魔の区間”だったのです。このことが分かっていたので、「後半戦が勝負だ!」と気を引き締め、後半ダレなかったことが大きな成功要因でした。

御殿場-町田ルート

過去、大阪→東京キャノンボールに失敗した理由ははっきりしていて、要は“箱根が越えられなかった”からです。
 上り坂に弱い。
そう考えて前回(10回目)は熱海経由を選んだのですが、箱根より緩い熱海への登りにもたっぷり1時間以上を要しました。

今回、箱根より登りが少なく、熱海より距離が短い「御殿場ルート」を選んだことが正解でした。ルート選択は最後まで迷ったのですが、この日の風向きが静岡以降、向かい風になると知って、できるだけ向かい風を避けるルートということで御殿場に決定しました。風向き、超重要。

大阪→東京、24時間風向き予測

こちらのサイトのお世話になりました。
 >> キャノンボール専用 天候・風向き予測

御殿場ルートには、最後に国道246号を通らなければならないという欠点があります。国道246号は、大型トラックもアップダウンも多い、あまり自転車では走りたくない道です。そこで今回は厚木から先は246号を通らず、ほぼ小田急線に沿った「町田>登戸>世田谷通りルート」を選びました。この町田ルート、距離は若干(4kmくらい)伸びるのですが、走りやすさで言えば断然おすすめです。

※ 町田ルートついては、別noteにまとめたいと思います。キャノンボールに、あるいはヤビツ峠へのアクセスに、お試しあれ!

痛くない!

今回の大阪→東京キャノンボールで、私自身が驚き、そして嬉しかったのは、

  『どこも痛くない!』

そりゃ、全身はボロボロに疲れましたよ。その場で寝込みたくなるくらい。それでも、腰が痛くなった、とか、尻が痛い、膝が痛い、太ももパンパン、腕ガチガチ、といった、どこか体の特定の箇所が痛くなることは全くありませんでした。

まとめ

  • 行き詰まったらプロに頼るのが良い
    自転車と整体、両方同時がベスト。

  • 体幹が重要
    だが、体幹とは何かが、なかなか分からない。
    これについても先人から直接学ぶのが良い。

  • 完璧に調整された自転車は、500km 走っても痛くない

今回私がキャノボ達成したのは 57歳11ヶ月。ネット上で知る限り、最年長から2番目です。
   >> 青の破片:キャノボデータ更新(なるさんのBlog)

最年長には、キャノボ界の長老、モニグラ~さん 61歳8ヶ月 が君臨しています。
  >> モニグラ~さんのサイト

続く3番目の s_agitoさん 56歳11ヶ月、こんな記録を残されています。       >> キャノンボール挑戦記(準備編)(中咽頭がん 肺転移ステージ4)

ガンにも負けず、死ぬまでにやりたいことを達成する、すばらしい!

  • 50代、60代であっても、キャノボいける!

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