尾道ゆらり旅。
ホテルのロビーから尾道水道を眺めながらこの旅のことをふける。
向島の造船所やその奥の可愛らしい山々。
約500mほどしかない対岸まで、渡し船が行ったり来たり、次から次へと車が乗り込み、
学校終わりの学生が自転車で乗り込み、
仕事終わりのサラリーマンが徒歩で乗り込み、
みんな慣れたリズムで。
僕にとっては見慣れない風景だが
地元民にとっては変わらぬ日常。
この尾道という町は、どこを切り取っても
なんというか「ゆらり」とした雰囲気。
JR尾道駅を出た瞬間、絶句した。
あの尾道水道が広がる景色は一つの絵画のようにも見えた。
地元民と観光客の区別がつかない。
それも無理はない。どんな人だってこの尾道という地にくれば呑み込まれてしまうから。
みんなの朗らかな表情、歩くスピード、声のトーンまですべてを尾道色に染める。
正直言って、こんな場所は初めてだ。
海岸線を歩いてみる。
垂木で整備された道をトコトコ音をたてながら歩いていく。
夏の日差しは暑いが大丈夫。小洒落たベンチとパラソルが並んでいて日陰は風が心地良く涼しい。
朝陽を望み歩き、夕陽に向かってまた歩く。ただ歩くそれだけでいい。
千光寺を目指して急坂を歩いてみる。
想像を超える急勾配で数メートル進むだけでも汗だくだく。
ふと立ち止まり周りを見渡すとなんとも趣のある古き良き住居が所狭しと建ち並ぶ。
なんなんだこの町は、、、
どこを切り取ってもいい。
港の桟橋にでも座ってビールを飲む。
別にそうしたいわけではないが、尾道の自然が勝手にそうさせるから僕はそれに従うしかない。